【コラム】新生BABYMETAL、「THE FIRST TAKE」出演が予感させる“さらなる躍進”

BABYMETALが、4月14日22時にプレミア公開されたYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の最新回に登場した。

4月1日・2日にぴあアリーナMMで開催した2days公演＜BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -＞にて、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人体制による新章のスタートを告げたBABYMETAL。公開されたのは“新生BABYMETAL”としての初歌唱映像となる。

「THE FIRST TAKE」とは、ミュージシャンらによる一発撮りのパフォーマンスを鮮明に切り取るYouTubeチャンネル。最新回で披露されたのは、「THE ONE - Unfinished ver. / THE FIRST TAKE」と題された、2ndアルバム『METAL RESISTANCE』の収録曲「THE ONE」のスペシャルバージョンだ。ライブでもたびたび披露され、先日のぴあアリーナMMのライブでも大合唱を生み出したグループの代表曲を、ピアノとストリングスによる壮大な演奏に乗せ、力強く、情感たっぷりに英語で歌い上げている。


映像は、真っ直ぐに前を見据え、胸のあたりに手をおいて“フォックスサイン”を見せるSU-METALの姿から始まる。キラキラと虹色に輝く新衣装を身にまとったSU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALのそれぞれの姿が映し出される。

サビではMOAMETALとMOMOMETALの2人が声を重ねて《We are THE ONE》とハーモニーを奏で、SU-METALが《We are the only one》と力強く歌う。最初は目をしっかりと見開き決意に満ちた顔で歌い始めたSU-METALが、MOAMETALとMOMOMETALの歌声を受けて少しだけ表情を和らげる瞬間にも目が惹きつけられる。

BABYMETALの「THE FIRST TAKE」への登場は、これが2度目となる。初登場は3月10日。3月24日にリリースされたコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』の収録曲「Monochrome」をドラマティックなピアノアレンジで披露した。


そのときは、もちろん、SU-METALとMOAMETALの2人だった。いつも白いスタジオで撮影している「THE FIRST TAKE」だが、このときは光量を抑えた照明による黒い空間に、向かい合うようなアングルで2人が立っていた。SU-METALが透明感あるボーカルを響かせ、MOAMETALがコーラスを歌っていた。白いローブをまといフードを深くかぶって顔を隠した3人のコーラスの姿も見えた。

こうして「THE FIRST TAKE」に公開された2つの歌唱映像を比べて見ると、単に3人編成になったということだけでなく、新章をスタートさせたBABYMETALの世界観自体が大きく変貌していて、それが映像にも反映されているのを強く感じる。

端的に言うと、ダークで謎めいていてどこか深遠な世界観から、世界に向けて力強く羽ばたいていくようなエネルギッシュなモードへと切り替わったようなイメージがある。

筆者は今年1月28日・29日に千葉・幕張メッセ国際展示場で開催されたワンマンライブ＜BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -＞の2日目、そして4月2日にぴあアリーナMMで開催された＜BABYMETAL BEGINS -THE OTHER ONE-＞の“CLEAR NIGHT”と題された2日目の公演に訪れることができた。

ライブ活動の封印期間を経て、再び精力的に動き始めたBABYMETAL。筆者としては、結果的に、アベンジャーズを迎えたここ数年の編成でのラストとなったステージと、そして新体制をスタートさせたステージという、“終わり“と”始まり“の両方を目撃したということになる。

＜BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -＞／Photo by Taku Fujii

＜BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -＞／Photo by Taku Fujii

＜BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -＞／Photo by Taku Fujii

＜BABYMETAL BEGINS -THE OTHER ONE-＞の“CLEAR NIGHT”／Photo by Taku Fujii

＜BABYMETAL BEGINS -THE OTHER ONE-＞の“CLEAR NIGHT”／Photo by Taku Fujii

＜BABYMETAL BEGINS -THE OTHER ONE-＞の“CLEAR NIGHT”／Photo by Takeshi Yao

どちらもインパクトと熱狂に満ちたライブだったが、特に4月2日の＜BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -＞を観終えて思ったのは、こんなにも華々しく、晴れやかな余韻の残るBABYMETALのライブは本当に久しぶりだったということだった。特に印象的だったのは終盤に披露された「BABYMETAL DEATH」。結成当初のライブでもオープニングを飾ることが多かった曲で、歌詞にメンバー3人の名前が登場する“自己紹介”的な立ち位置のナンバーだ。「SU-METAL DEATH!!!」「MOAMETAL DEATH!!!」に続いてMOMOMETALがシャウトした「MOMOMETAL DEATH!!!」というフレーズに大歓声が湧き上がっていた。「Mirror Mirror」などの新曲でも、3人体制のシンメトリーなフォーメーションが“映える”パフォーマンスが随所に見られ、巨大なLEDビジョンの映像や大掛かりな舞台演出と共に圧倒的な迫力で会場を一つにしていた。


この後のBABYMETALは、久々の海外公演やフェスへの出演を予定している。4月からはサバトンのUK＆ヨーロッパツアーにスペシャルゲストとして参加。5月からは＜BABYMETAL WORLD TOUR 2023＞として自身初となるアジア＆オーストラリアでのワンマンツアーを開催。8月には＜SUMMER SONIC 2023＞に出演。そして8月末からはDETHKLOK（デスクロック）と共に北米を巡る＜THE BABYKLOK TOUR 2023＞と題したコーヘッドラインツアーも決定している。

世界各国でのライブは、これまでの活動を追ってきたファンだけでなく、新たなBABYMETALの姿に魅了された若い世代のファンも集う場所になるだろう。「THE FIRST TAKE」への出演は、新体制をスタートさせたBABYMETALのさらなる躍進のひとつのきっかけになる予感がする。

文：柴 那典

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