【ライヴレポート】FAIRY FORE、18年ぶり1日限りの復活「お久しぶりです」

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FAIRY FOREが4月15日、横浜7thAVENUEで開催された<HUSH 3days -cocoon8414155516->にて1日限定復活を果たした。同ステージのオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆FAIRY FORE 画像

解散したバンドが再びステージに立つことは、今では決して珍しくないだろう。けれども、それぞれのバンドごとに再結成はひとつずつまるで異なる。2023年4月15日、FAIRY FOREの1日復活をその目で見て、そんな思いを新たにした。

1990年代から2000年代のいわゆるヴィジュアル系の黄金期に活動したFAIRY FOREは、耳なじみのよいメロディとサウンドで多くのファンを魅了した。エイベックスからメジャーデビューを果たしたが、2005年12月11日に解散。現在、ヴォーカルの現王園崇はJagged Little Pillとしてソロ活動を続けているが、ベースのYASU、ドラムのYOKOは第一線から退いている。


FAIRY FOREの復活ライヴは、先輩でもあるHUSHのイベント<HUSH 3days -cocoon8414155516->が舞台だ。FAIRY FOREにとっても馴染み深い横浜7th Avenueはソールドアウト。ぎゅうぎゅうの満員御礼となった観客を前に、お馴染みの懐かしい曲にパロディーを取り込んだSEが流れ、笑い声と手拍子が沸き起こる。ライヴハウスという空間は、期待でいっぱいのワクワクした気持ちが最後方まで伝わってくる。ひと際大きな歓声を受けて、現王園が登場。いよいよ18年ぶりのFAIRY FOREのライヴが始まった。

「一人でも多くの人が知っていて、喜ぶであろうと曲を選んだ」というセットリストの一曲目は、「SWEET-ness」。イントロの柔らかなサウンドと明るい光が会場に広がっていくさまが、ファンを一気に当時へ連れ去っていくようだ。現王園の変わらぬ歌声が耳に飛び込み、FAIRY FOREが目の前にいることをたまらなく実感した。

キャッチーで伸びやかなメロディと、楽器隊から生み出されるシンプルなバンドアンサンブル。サウンドもライヴに向かう姿勢も、ピュアでまっすぐだ。特段に緊張するでもなく、大仰に立ち振る舞うでもなく、感傷に浸るでもなく、ただこの瞬間に没頭する姿は潔く、スケールの大きさを感じさせる。「皆さま、一緒に踊りましょう!」と「CHILD WIZARD」が始まると、軽快なリズムに自然に体が揺れ、サビへと差し掛かると思わず口ずさんでいる自分に気づく。


「お久しぶりです」と冗談を交えつつ軽くMCを挟むと、続いて「IDOLL」へ。YASUが全力でぶつかってくるようなベースプレイを見せる後ろで、YOKOはクールにドラムプレイに集中。ファンの反応を確かめるように、フロアへ目を配っていた現王園から笑顔がこぼれた。そして「VIVID」では、勢いよく転がっていくようなテンポに合わせ、ファンも元気いっぱい声を上げる。エネルギッシュなステージはブランクを感じさせない。

「全開でやってます」というYASUのMCは、笑いを誘いながらも体力の限界を突破しているようで、この6曲に全力を注ごうとしているのが見て取れる。「楽しみたいし、楽しませたい」とは現王園の弁であり、心からの願いゆえの全開だ。ただFAIRY FOREの音楽を愛し続けてくれているファンにもう一度その音楽を届ける。復活をことさらドラマチックに盛り上げるのではなく、今日に賭ける。そんなシンプルな思いが伝わってきた。

「SEXUAL EXCITEMENT」からますます熱気が高まり、さらなる盛り上がりへ。YOKOは激しくパワフルなドラムプレイで気迫を見せ、YASUはすべてを出し尽くす。同曲が終わったところで、お互いに軽口を叩いていじり合い、笑い合い、この瞬間を噛み締める。でも、そんな時間もあと少し。最後に届けられたのは、デビュー曲である「LOVE SICK」だ。1曲目からここまで、バンドの才能に改めて目を見張り素直に楽しんできたが、ファンの合唱を耳にすると思わずぐっと胸が熱くなった。


何度も何度もファンへの感謝を口にし、互いに笑顔を交わし、じゃれ合ってはしゃぐ3人。ただ潔くまっすぐに、自分たちの音楽を奏で、現在の自分たちにできることを全うした姿は晴れ晴れとしていた。

実はこの1日限りの復活ライヴは、現王園がたまたま思い立って、HUSHの橋都章人にかけた一本の電話がきっかけになったのだという。そんな偶然によって生まれた奇跡の夜だったからこそ、ファンと共に音楽をひたすら楽しむ、かけがえのない時間となったのだろう。その時を共にできたことに心から感謝したい。最後に一言付け足すとするならば、何かが始まる予兆か?…現在のところ未来へ向けた発表はされていない。

取材・文◎村山 幸
撮影◎シュウ

■<FAIRY FORE 1日限定復活>2023年4月15日(土)@神奈川・横浜7thアベニュー

1. SWEET-ness
2. CHILD OF WIZARD
-MC-
3. IDOLL
4. VIVID
-MC-
5. SEXUAL EXCITEMENT
6. LOVE SICK

▼FAIRY FORE are...
現王園 崇(Vo)
YASU (B)
YOKO (Dr)
TACA (Support Guitar)

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