【インタビュー】KISAKI、音楽活動30周年。「“V系をやって良かったな”と思えるような生き方をしていきたい」

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■いろんな才能に触れることができて、レコーディング自体がとても楽しかった

──参加されているミュージシャンも錚々たるメンバーですよね。椎名ひかりさんとの曲も印象的でした。

KISAKI:椎名ひかりちゃんとは、曲を依頼されたことが最初の出会いだったんですけど、話してみると価値観や音楽論が合うなって思ったんですよね。そこから彼女への楽曲提供が始まって。僕も最初はモデル“ぴかりん”のイメージだったんですけど、やり取りや打ち合わせして、激しい曲を作ったらハマるんですよ。そこからライブでも共演したりした経緯があって。今回は僕から一曲歌ってみてほしい曲があると依頼して、実現しました。歌詞は彼女に書いてもらって、言い回しをちょっと僕なりに変えたりもしたんですけど、自分だったら使わない言葉が出てきたりして面白かったです。

──ひと足先に聴かせていただきましたが、2枚目は結構ライブ映えしそうな曲が揃っていますね。

KISAKI:2枚目が一番ゲストボーカルが多い作品ですしね。

──団長さんとの曲、もっとメタルな激しい感じで来るのかなって思っていたんですけど、スッと透き通るような印象を受けたのが意外でした。

KISAKI:曲に彼の声が馴染んでいるんですよ。テイクも早かったですね。団長はキーがすごい高いところのシャウトが出るんで、聴いていて楽しかったですね。ギターはGALNERYUSのSYUくんが弾いているんですけど、彼とはジャンルは違えど付き合いは長くて。今回音で合わせるというのは初めてだったんですが、僕が思っている100倍以上のいいものを持ってきてくれました。

──共演したことはあっても、一緒に作るっていうのが初めてという方も多かったのでは?

KISAKI:ほとんどがそうですね。対バンしたことがある仲間の方が多いです。戦友ですね。

──制作はスムーズでしたか?

KISAKI:はい。みんなそれぞれに経験豊富ですし、「こういう歌いまわし好きでしょ?」って僕の好きなものを提示してくれるんですよ。僕の好きなものにあわせてくれつつも、譜割りや歌い方に個性が出ていて。面白い制作現場でした。


──ここまでの大物が揃うとそれぞれの個性がぶつかり合うんじゃないかなとも思いますが……。

KISAKI いや、本当の大物ほど仕事は早いし空気読めます(笑)。

──3枚目のアルバムには、KISAKIさんと長い付き合いの面々が参加していますね。

KISAKI:アンティック‐珈琲店‐のみくくんとPsycho le CémuのDAISHIくん、GOTCHAROCKAの樹威ですね。これはもう昔っからの仲間で、樹威に至ってはレーベルメイトで一緒にKISAKI PROJECTもやったりして。樹威が参加してくれるって決まった時に、KISAKI PROJECTで初めてレコーディングした代表曲を今の僕風にアレンジしようと思ったんですよね。アンティック‐珈琲店‐のみくくんは、アンティック‐珈琲店‐っぽい、みく君が歌いやすそうな曲を作ろうかなって思ってたんですけど、みく君の方から「シャウトのある曲が良いです」って言われて驚きましたね(笑)。「KISAKIさんが90年代とか2000年代初頭にやってきたような激しい曲を歌いたい」って言ってきてくれて。それってアンティック‐珈琲店‐では出来ないようなことで、そっちの方が面白いですよね。さすが分かってるなー、と(笑)。

──みくさん自身からそんなオーダーがあったんですね。

KISAKI:実際アンティック‐珈琲店‐も復活しましたしね。確かにアンティック‐珈琲店‐っぽいものは本家でやったほうがいい。今回、曲のデモを送った時にちょっとキーが高すぎるかもなって感じのことを本人と話してたんですけど、いざレコーディングってなったら全然出てるしスムーズに終わって。本当にいろんな才能に触れることができて、レコーディング自体がとても楽しかったです。

──その時の写真がTwitterに上がっていましたよね。その時はまだ全貌が明らかにされていませんでしたが、皆さんいい顔をしていて、何かワクワクすることをやってるなっていうのは感じていました。

KISAKI:ワクワクしたのは事実ですが、大変は大変でした(笑)。本当は3部作のリリース日も、このタイミングだったら余裕で仕上げられるだろうって思ってたんです。3年前から曲自体は作っていたので。でも結局こだわってこだわって、入稿日ギリギリ(笑)。2作目、3作目もまだ100%出来上がってないんですよ。あとちょっとですけど。(取材時4月中旬)


──ドラマがある3部作ですね。

KISAKI:みんなが協力してくれたのが一番ですけどね。Leetspeak monstersとかJILUKAのSenaくんとか、若い世代で僕がかっこいいなと思った方にも参加してもらっているので、そういうとところも聴きどころではあるなと思います。あとは三枚全てに参加してくれたHIZAKI(Versailles)&SAKIちゃん(NEMOPHILA・Mary’s Blood)のギターもビックリするくらい素晴らしいです。

──3部作最後の曲になると、なんか帰ってきたなって感じもしますね。

KISAKI:僕の30周年の全体テーマはまさに「原点回帰」なんですよ。3枚目のラストの曲は10分くらいあるんです。どういう捉え方されるかは分からないけど、僕はヴィジュアル系好きだけど、業界はいい意味でも悪い意味でも狂っていると思うんで、そういうこと歌詞に入れて終わってるんです。「KISAKIはこれで終わりなのかな」って思われるかもしれないですが。

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