【インタビュー】Mrs. GREEN APPLE、10周年と新曲「ケセラセラ」を語る「勝てなくてもいい、負けないでいることの強さ」

Mrs. GREEN APPLEが4月25日、新曲「ケセラセラ」を配信リリースした。同曲は、4月30日放送スタートの連続ドラマ『日曜の夜ぐらいは...』主題歌として書き下ろされた新曲であり、ドラマ主題歌書き下ろしは自身初となる。「今を頑張って生きる全ての人へのファンファーレの気持ちを込めました」とは、作詞作曲を務めた大森元貴(Vo, G)の同曲に関するコメントだ。
◆Mrs. GREEN APPLE 画像 / 動画
“ケセラセラ”は“なるようになる”を意味するスペイン語だ。たとえ目の前に困難が横たわっていようとも、歩み続ける背中を優しく押してくれるような楽曲には、繊細な心の動きが歌詞に、サウンドに描かれた。イントロを色づけるハープシコード、弓で弾いたというエレキギター、サビを彩るタッピングなどなど、場面場面を演出する音色と奏法も聴きどころのひとつ。バンドとしての新たな音楽的挑戦も封じ込められている。
Mrs. GREEN APPLEは先ごろ、7年ぶり対バンライブ<Mrs. TAIBAN LIVE>を大盛況のうちに終えたばかり。7月5日には5thフルアルバム『ANTENNA』をリリースするほか、今夏開催の自身最大規模のアリーナツアーはすでにソールドアウト。さらには自身初のドームライブ<Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”>を8月に埼玉・ベルーナドームで開催することも発表されているなど、バンド結成10周年のアニバーサリーイヤーを精力的に展開中だ。新曲「ケセラセラ」はもとより、アリーナツアーやドーム2DAYS、そしてニューアルバムへの予感など10周年プロジェクトについて語るロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■10年後を見とけよ!と思ってた
■ぽっと出なら2年と続かないから
──最新曲「ケセラセラ」の話を聞く前に、今年はみなさんにとってバンド結成10周年のアニバーサリーイヤーということで、まずは簡単に、この10年を振り返っていただきたいのですが。
大森:おっ、10周年の話ですか。みんな、どう?
藤澤:あぁ、10年かぁ。
若井:う~ん、難しいなぁ。

▲大森元貴 (Vo, G)
──あっと言う間でしたか? それとも、長かった?
藤澤:それがまた難しいんですよね(笑)。
大森:でも僕は結構、妥当な速度だったかな。途中で2年間休んでるけど。
藤澤:そこなんだよね。活動休止の期間があるから、あっと言う間だった気もするし、長かった気もするし。
若井:そうだよね。
大森:でもさ、活動休止と言っても裏ではたくさん動いてたじゃない? だから実質的に10年間の活動だと思うし、その10年が“速かった/遅かった”というよりは、ちゃんと自信をもって「10年やってきました」と言える時間だったと僕は思っていて。1年前の自分、5年前の自分、そして10年前の自分に今のMrs. GREEN APPLEを見せたら「かっけぇ!」って言ってもらえる、昔の自分に恥じない時間を過ごせてきたと僕は感じていて。
──それはとても素晴らしいことですね。
大森:だからこそ、お互いを褒め称えたくもなる。「僕ら、ちゃんとやってるよね」って。もちろん、まだまだ足りていない部分もわかっていて、そこに挑戦していけるハングリーさを、10年経っても持ち続けていられることは幸せだと思っています。
藤澤:僕は最近、想い出したことがあって。バンドを組んだ時に「Mrs. GREEN APPLEで叶えたいこと挙げていこう」って、みんなで話したことがあって。
大森:えっ、うちらで?
藤澤:そう。メンバーで、当時はSkype(音声通話/ビデオ通話ツール)を使って。
若井:あったねぇ。
藤澤:「横浜アリーナのステージに立ちたい」とか、「バラエティ番組をやりたい」とか。そういう目標を、実際に一つひとつ形にしていけていて、そう考えるとすごくいい10年だったんだなって思ったんですよ。
大森:想い出した! そうだよ、ちゃんと叶えてるんだよね。若井はどう?
若井:僕は……大人になったなって。
大森:あははは。だって当時は16歳だったもんね。でも、どういうところでそう思うの?
若井:10年前は、何も考えてなかったなって(笑)。いや、もちろん16歳なりには考えていたし、視野は狭かっただろうけど、目の前のことに没頭する勢いもあったと思う。だけど、今はもっと広い視野でいろんなことを考えられるようになったから、僕はいい意味で、大人になったのかなって感じています。

▲<Mrs. GREEN APPLE 対バンライブ『Mrs. TAIBAN LIVE』>
──そんなみなさんを外側から見てきた立場からすると、Mrs. GREEN APPLEがデビューした時、10代でこんな曲や歌詞を書けるなんて、“何だ、この天才たちは!”って驚いたんです。でも先日の対バンライブ<Mrs. TAIBAN LIVE>のステージを観ていたら、いやいやこの人たちは天才というよりも、その時々できちんと考えて、選択をして、努力してきた人たちなんだってすごく感じて。
大森:うわぁ、すごく嬉しいです。あのさ、「StaRt」でデビューして、僕らすごくポップスになったじゃない?
藤澤:そうだね。自分たちの中では、すごくその感覚があった。
大森:ロックシーンの中でも異質だったというか。10代でメジャーデビューして、世間からは“ぽっと出のバンド”と見られていて。もちろん、バンドを組んで2年でデビューしたんだから“ぽっと出”ではあるんだろうけど、「とんでもない高校生が出てきた!」とか「すごい10代!」って言われた時に、それって僕にとってしっくりとくる誉め言葉ではなくて。だから“10年後を見とけよ!”って思ってたんですよ。ただのぽっと出なら、2年と続かないから。
若井:うんうん。
藤澤:そうだったね。
大森:だからさ、何十本とツアーをやりながら、1本のライブが終わるたびにホテルの部屋に集まって、夜中の3時くらいまで話し合いをして。すごくきらびやかなライブをやりながら、外の評価じゃなく、“自分たちは何をやりたいのか”ってストイックに内に向かって細かい話をして。“10年後を見とけ!”ってすごく思ってた。普段、僕は昔のことってあんまり振り返らないけど、今、その頃からいい意味で10年が経ったんだなって、改めて感じました。

▲「ケセラセラ」
──そんな10年目に、TVドラマ『日曜の夜ぐらいは...』主題歌として最新曲「ケセラセラ」がリリースされました。まず作詞作曲を担当した大森さんに質問ですが、この曲はどのようなイメージで作っていったのですか?
大森:主題歌のお話をいただいたのが今年1月頭で、脚本を読ませていただいた時に、純粋に、その内容に共感したんです。僕は日ごろから、人は劣等感や敗北感を抱きながらもその中で生きていると感じていて、そういう人たちにフォーカスした楽曲を書きたいなって思っているんです。今回のドラマが、まさにそういう内容でした。勝てなくてもいいから、負けないでいることの強さ、そのプライドの大切さをすごく感じて。脚本を書かれた岡田惠和先生からもそういうコメントをいただいて、まず言葉をしっかりと伝えることが大切だと思いました。
──具体的には、脚本に対する共感をどのように言葉にしていったのですか?
大森:例えば、“痛み止めを飲んでも 消えない胸のズキズキが”とか、“今日はちょっとだけご褒美を”といった歌詞もそうなんですけど、今って本当にたくさんの人が、ギリギリのところで頑張っていると思うんですよ。僕自身もそうですが、一歩引き下がってしまうと、自分というものが崩れてしまう。そんなギリギリのところで、何とか頑張って自分を保っている感覚。それを繊細に表現したいなと思って。そこが最初の取っ掛かりですね。
──なるほど。だからなのか曲を聴いて、“頑張ろう!”ではなく、“無理しなくていいよ”でもなく、“大丈夫だよ”と言ってくれているような、そんな温度感を感じました。
大森:僕は昔から“なるようになる”っていう言葉を信じたいと思っていて。それを掲げて、この曲を書こうと。「ケセラセラ」って、スペインの言葉で“なるようになる”っていう意味なんですね。前向きに“なるようにしかならないから”とも捉えられる言葉で、“頑張れ!”ではなく、“大丈夫”っていう俯瞰した希望のようなニュアンス。肯定もしたくないし、否定もしたくないという微妙なラインを言葉にしたいと思って歌詞を考えました。
──歌のテーマとして「Soranji」からの流れも感じたのですが、そこはいかがですか?
大森:「Soranji」は人生観や死生観まで、すべてを言い切ってしまった感覚があって。その次の曲という難しさはありましたけど、今回はもっと普遍的なものというか、生活の中の一部にフォーカスした曲にしようと思いました。今、頑張っている人が本当にたくさんいて。そういう人たちが、たまたまこの曲を耳にした時に“なに綺麗事を歌ってるんだよ”って思われない曲にしようと、それは考えていましたね。
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