【インタビュー】眉村ちあき、アルバム『SAI』に宿る自信と変化「やっと“まっすぐ”の意味がわかった気がします」

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■ 生き急いでるのは変わってない

── 他の人の感性に触れながら創作するのを楽しめているのが、やはり今作のポイントですね。例えば「春一番」は、「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の特別企画<俳句で作る「ミュージッ句」プロジェクト>の曲ですけど、応募作品の中から俳人の夏井いつきさんが選んだ俳句をもとに配信番組の中で作っていったんですよね?

眉村:はい。これはすごくいいメロディだと思います。Aメロとかもキャッチーだけど唯一無二感を出せました。でも、俳句を取り入れるのは大変でしたね。自分以外の人が作ったものを広げていくのに責任を感じました。「この俳句は、こういう意味で作ったんじゃないかもしれない」っていうのがあるので。

── 「春一番」のMVは、企画、構成、撮影、編集、出演、総合プロデュースも、全部自分で手掛けましたよね? マフィンがとんでもないことになってましたが……。

眉村:大爆発して、うんこみたいになっちゃって(笑)。「こんなの足りないだろ! 絶対少ないって」ってバーッ!って材料を入れたらああなったので、「レシピの言う通りにするべきだった」って思いました。「おしゃれなマフィンを好きな人に渡しに行くわよ」っていうときめきムービーにしようと思ったんですけど、爆発ムービーになっちゃいました。しかも、デカ過ぎて袋に入らなかったので、ちょっと食べて入れました。

── うわあ……。

眉村:「好きな人にあげるんじゃないの⁉」「大丈夫。バレねえ、バレねえ」っていう感じ(笑)。



── (笑)。MVを全部自分で作った理由は?

眉村:MVをすぐに出したかったからです。春一番が吹き始めてる気候だったから、「3日以内に出さないと」っていう感じだったので。

── セルフプロデュースが、もともとお好きだというのも大きいですよね?

眉村:そうですね。演出とかを考えるのも好きだし。性格診断アプリをやったら、私は広報活動タイプっていう結果が出たので、そういうのも好きなのかも。この前、『目を閉じてお聴きください』の収録があったんですけど、「私、プロデュースも向いてるかも」って思いました。声を聴いて、「この人は、こういう曲が合う」「あと2個だけキーを上げて歌ったら、すごく合うと思う」とか、魅力を最大限に引き出すのがすごく楽しかったです。「J.Y. Parkなの?」って言われて嬉しかったし、「J.Y. Parkなんだ」って思いました(笑)。

── (笑)。誰かをプロデュースすることも、今後あるかもしれないですね。例えば仲良しの木下百花さんとか?

眉村:あの人は、我が強過ぎて何も言うことを聞いてくれないと思うので、絶対にプロデュースしたくないです(笑)。

── (笑)。ご自身のプロデュースは、絶好調ですね。ラウドロックの「neko」も、新しい作風を開拓できているじゃないですか。

眉村:これは去年の猫の日の直前に「何かしようよ」ってスタッフさんに言って爆速で曲を作ったんです。でも、前回のアルバムのリリースの前日だったので、「アルバムに入ってない曲を前日に出すのはどうなのか?」っていうことになって、22時間だけチラ見せで公開したんです。今回、ちゃんと世に放つことになりました。

── あと、フォークソングテイストの「ぢごくに落ちて心から泣け」も、不思議な魅力がある曲です。

眉村:これ、めっちゃいい曲です。味を重視して一発で録ったんですよ。

── 《もしも私の前に現れた暁には 手足拘束して頭からゲロ吐いて そのまま山手線に乗せてやる 一生一生回り続けてろ》って、とても素敵じゃないですか。

眉村:すかっとする(笑)。

── 《暁には》っていう言い方、眉村さんらしいです。

眉村:よく使いますからね。

── 《頭からゲロ吐いて》は、言わんとすることはよくわかります。

眉村:《頭にゲロ吐いて》なのに間違えちゃった(笑)。でも、頭からゲロ、吐けなくもないかも。バンドマンと喧嘩になって胸ぐらを掴まれたことがあったんです。「喧嘩で手を出す人は負けだよね」って思って。「私は音楽にしてるから、私の勝ちだけど」っていう曲です。そいつの家には確実にGがいると思います。そいつに対する偏見を全部書きました(笑)。



── (笑)。このアルバム、マユムラーも大喜びだと思います。好きな曲がさらに増えるはずですから。

眉村:やったあー! 最近、自分でも好きな曲が多過ぎて、セトリを組むのが大変なんです。次のアルバムのことももう考えてて。今までは作ったのをボーン!ってありのままに入れるのをやってきたけど、次はテーマとかを決めるアルバムを作ってみたいです。早く作りたいんですけど、「『SAI』もまだリリースしてないですよ」って言われて、「ああ、そっか」って(笑)。生き急いでるのは変わってないです。出したいEPもあって、早く作りたいです。

── 5月からツアーも始まりますね。

眉村:はい。ツアー中にアメリカの予定も入ってます。

── カンザス州で開催されるジャパンカルチャーイベント『Naka-Kon 2023』ですね。2020年にこのイベントの出演のために現地に行ったらコロナの影響で中止になって、急遽、配信ライブをやったのが、もはや懐かしいです。

眉村:そうでした。1週間何もしないアメリカ生活で、ずっとマリカ(マリオカート)してたんですよ。「あのマリカしてた姉ちゃん、歌えたの?」って、アメリカのみんなをドヒャン? ウヒャン? ギャフンと言わせたいと思ってます。今、アメリカでのライブのためのアレンジ中で、毎日妄想してます。「ここでこうやって出たら、きっとフォー!って言われるなあ」って。

  ◆  ◆  ◆

取材・文:田中 大
撮影:堅田ひとみ

アルバム『SAI』


2023.5.7 Release
価格:3500円 TFCC-81009

予約: https://mayumura.lnk.to/saiPR

1.秘密の恋(Solo.ver)
2.レイニーデイ
3.肉喰え
4.ピカレスクヒーロー
5.平成黎明GAL
6.浜で聴くチューン / 眉村ちあき&TACOS BEATS
7.ナントカザウルス
8.Natto
9.春一番
10.マルコッパ
11.未来の僕が手を振っている
12.neko
13.ぢごくに落ちて心から泣け
14.秘密の恋(Band ver.)
15.十二支のアマゾン

Special Track(CD ONLY):ラジオ体操第眉

<3/26までの早期予約購入者特典弾き語りCD内容>
眉村ちあき「SAI」先行予約特典弾き語りミニライブ
1.春一番
2.トリプルキングミツバチ
3.いまのきもち
4.平成黎明GAL

全国ツアー<CHIAKI MAYUMURA Tour “一切合SAI”>

5月21日(日)千葉・柏パルーザ
6月3日(土)茨城・水戸ライトハウス
6月4日(日)栃木・ヘブンズロック宇都宮
6月10日(土)広島・セカンドクラッチ
6月11日(日)山口・周南rise
6月24日(土)新潟・GOLDEN PIGS RED
6月25日(日)埼玉・ヘブンズロック熊谷
7月15日(土)香川・高松DIME
7月17日(月)大阪・BIGCAT
7月21日(金)東京・O-EAST

9月1日(金)宮城・仙台darwin
9月2日(土)秋田・秋田スウィンドル
9月3日(日)北海道・PLANT
9月16日(土)兵庫・神戸チキンジョージ
9月17日(日)奈良・奈良ネバーランド
9月18日(月)京都・京都MUSE
9月30日(土)静岡・浜松窓枠
10月1日(日)愛知・名古屋SPADE BOX
10月13日(金)福岡・OPds
10月14日(土)長崎・STUDIO DO
10月15日(日)鹿児島・SRホール
10月21日(土)沖縄・桜坂セントラル

チケット代:4,700円 ※ドリンク別

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