【レポート】Rest of Childhood、<10代無料ライヴ>継続を宣言「どんなことがあっても俺たちは楽しい」

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Rest of Childhoodが4月23日、東京・Veats Shibuyaで東名阪ツアー<The Terminal Tour '23 追加公演 “CA$H BACK” >のファイナル公演を開催した。

◆Rest of Childhood 画像

本ツアーは10代に限りチケット代が実質無料。前売チケット5,000円を購入して身分証を提示すれば5,000円がキャッシュバックされる企画は、コロナ禍の様々な制限によってライヴに行きたくても行けなかった世代に向けて、「機会を失っていた10代には手厚くしてあげたい」という想いのもとメンバーから発信されたものだ。そして、もうひとつの挑戦はHAL (Vo&G)、u:zo (B, Cho)、Takuya (Dr, Cho)のトリオバンドとして活動を行なってきたRest of Childhoodが初めてゲストミュージシャンとしてKansei(G)を迎え、4人編成でステージに立ったことにもある。


声援とハンドクラップの中、4人がステージにスタンバイ。これまで上手にドラムをセッティングし、ステージ下手側を向いて叩いていたTakuyaはHALの後ろの通常のポジション。ライヴは表現力を増したギターサウンドが勢いよく溢れ出す「蛇口」で幕を開けた。続く「この夜」はパワフルなドラミングとu:zoの骨太なベースで始まるナンバー。疾走するビートと共に刺さってくるのは無力だった青い季節の痛みだ。HALが全力で歌うほど切なさが増幅する。そしてHALのストロークにu:zoのメロディックなフレーズが絡み、Kanseiのカッティングが小気味いい「Eventide」(1st EP収録)へと。間奏ではHALとKanseiが向かい合ってギターをかき鳴らし、熱いアクトに大歓声。メンバーの名前を叫ぶ場内には男子の野太い声も目立つ。

「10代のヤツ!」とHALが呼びかけ、挙手したフロアに言葉を放った。「この3年間ぐらい、すげえ大変だったな。俺たち大人ができることってこういうことしかないと思ってるんだ。だから、今日は最後まで思いっきり声出して、汗かいて、一瞬でも楽しい時間作って帰ろうぜ!」──HAL

「声を上げろ!」と叫んで笑顔を見せた「Jetlag」では高い空に昇っていくような爽快感のあるサウンドにKanseiのギターソロが加わり、景色を鮮やかに彩っていく。Rest of Childhoodの楽曲にはサム41のようなエモいメロディと痛快なビートも重なるが、水彩画の繊細さと叙情性も合わせ持つHALとリズム隊の個性が混ざり合うことによって、生まれるのは独自の温度感と世界観だ。




スピード感と青春感が加速する「Purple Star」では“GO GO Purple Stars” “GO! GO! SHIBUYA!“のコール&レスポンス。「後ろのほうに元気良さそうな学生服姿の男がいっぱいいるな。アイツら、めちゃめちゃ跳べるから、オマエらだけ行ってみようか?」とHALが10代男子を煽り、元気のいい声が響く中、続けて「シュレッダー」を投下。Takuyaの高速ドラミングとu:zoの振り切れたベースに加え、Kanseiが細やかなフレーズで色付けする役割を果たすことによって、メンバー各々がより自由に解き放たれている印象を受けたのがこの日のステージでもあった。エンディングでは全員がドラムの前に集結し、HALが背中を向けたまま座ってパフォーマンス。場内の熱気は増すばかりだ。

その熱をクールダウンさせるように、中盤では、雨上がりに一筋の希望が浮かび上がるようなミドルチューン「通り雨の歌」が披露された。ループするメロディックなベースフレーズとブルーの雨粒を落とすようなKanseiのギターソロにHALのハミングが優しく寄り添う。シンガロングの「memories」ではHALがギターソロを響かせた。アッパーで衝動的な曲を主軸にしつつ、ミドルチューンに名曲が多いのもRest of Childhoodの魅力だ。スケール感たっぷりのサウンドと切ないメロディ、リリックが胸の奥のヒリヒリした感情を呼び起こす「Theater 16」はHALとKanseiが向かい合って音を鳴らし、Takuyaとu:zoが呼吸を合わせるパフォーマンスも相まって感動的。大きな拍手が鳴り響いた。




「みんな、マスクで声を出してるとしんどくなっちゃうと思うので、ちょっと休憩…なわけねーだろ、バーカ(笑)!」──HAL

痛快パンクチューン「ブーゲンビリア」を投下し、メロディックでエモーショナルな疾走する「虹」が鳴らされた。スキルフルでありながら青さやキラキラ感が散りばめられたRest of Childhoodの歌と音を浴びていると、通り過ぎたはずの景色が不意に思い出されて、なぜか泣けてくる。深い悲しみを知る人にしか歌えないメッセージが染みる「Lamp」や4人で鳴らされることによって甘さとほろ苦さが増した最新流通盤シングル「MILK」と、後半戦ではますます彼らの世界に引き込まれ、ソロ回しが盛り込まれた「Be the Man」に雪崩れ込んだ。

「今日はホントにありがとう。<The Terminal Tour >から全国10ヵ所をまわってきて、今日を迎えたわけなんですけど。ちょうど1年前の今日、渋谷でライヴをやった後にVeats Shibuyaで打ち上げをやらせてもらって。“来年、ここでやるね”って店長と約束をしたんだけど、それが叶えられて良かったなと思います。今回のツアーでは新しい仲間、Kanseiが俺たちの船に乗ってくれて、Kanseiのおかげで俺はまたギターが好きになったし、ギターを弾くの楽しいなって。3人では気づけなかった部分が改めて見えたりしました。今、空にいるアイツだったり、アイツだったり、ここにいるひとりひとりにこの歌を届けたいと思います」──HAL

本編最後に届けられたのはシンプルなアプローチから視界がどんどん広がっていく骨太なサウンドも心地いい「Afterglow」。“君に見せたいよ 空の青さを”と歌うHALにやがてTakuyaとu:zoの力強い声が重なっていき、会場はシンガロング。ライヴは感動の内に幕を閉じた。


メンバーがステージを去るとフロアは“R.O.C.H / Rest Of Childfood”のコールで溢れかえった。そしてアンコールへと。「今日、キャッシュバッカーいますか?」と改めて場内にいる10代に問いかけたTakuyaは、ツアー中にキャッシュバックする5,000円札を作るため、コンビニでドリンクを買う時も1万円札を出していたという裏エピソードで盛り上げ、このキャッシュバック企画をしばらく続けることを報告した。

「Rest of Childhoodのワンマンライヴではこの企画、しばらくやろうかなと思ってます(拍手)。寸前で20歳になっちゃった、みたいな悔しい人もいるかもしれないですが、今日、「オギャー!」って生まれた生命がライヴハウスに来るぐらいまで続けたらどうなるんだろうって。みんなは“こんなことやってるバンドがいますよ“って伝えてもらったら嬉しい。なかなか有意義なツアーでした。ありがとうございました」──Takuya

「今、Takuyaが言ってくれたんですけど、“CA$H BACK”、まだまだ広がっていくといいなと。コロナって誰のせいでもなかったし、俺たちもパニクってた。そんな中でも大事な卒業式、入学式、修学旅行をなくしたヤツらがいて。だからその分、倍以上に楽しい場を作ってあげて。それを経験したオマエらが次の世代に”どんなことがあっても俺たちは楽しいんだぞ“って言えれば、俺たちみたいな大人より全然ハッピーでポジティヴな人になれる。そういうヤツは何でもできると思うんだよね。それを今回のツアーで伝えたかったんです。“この数年間を俺たちが責任とってやるから、また遊びに来いよ”っていう気持ちでいます。そして今回、新しい仲間、Kanseiがギター弾いてくれました。“バンドはやり尽くしたぜ”っていう男をステージ引っ張り上げて。この3本じゃ終われないよね? きっとまたこの4人でステージに立つことも近い未来にあるはずなので。あと2曲、この4人でやり尽くしたいなと思います」──HAL


u:zoの歪んだベースで始まる「Fact」では熱量マックスの演奏が繰り広げられ、フロアにヘドバン続出。ハンドクラップが響く中、投下された「春が来る」の後半ではHALが「大人になって見えないことが増えても、俺たちは諦めないぜ。だからオマエらも諦めるなよ!」と叫び、ステージと場内がひとつに溶け合った。

2曲のはずのアンコールが、急遽もう1曲追加され、ラストナンバーは「アフタースクール」だ。最後にHALが学校のチャイムのメロディをギターで弾き、4人が集結してのエンディング。全ての演奏が終わり、横一列に並んで肩を組んで挨拶する4人に惜しみない拍手と歓声が送られ、メンバーが去ったステージに本ツアーの日程とHALによる手書きのセットリストが書かれたボードが掲げられた。Rest of Childhoodの放課後はまだまだ終わらない。



取材・文◎山本弘子
撮影◎Yoko “NEKOMUSUME” Umemoto (82A)

■<The Terminal Tour '23 追加公演 “CA$H BACK” >4月23日(日)@東京・Veats Shibuya セットリスト

01. 蛇口
02. この夜
03. Eventide
04. Jetlag
05. Purple Star
06. シュレッダー
07. 通り雨の歌
08. memories
09. Theater16
10. ブーゲンビリア
11. 虹
12. Lamp
13. MILK
14. Be the Man
15. Afterglow
encore
en1. Fact
en2. 春が来る
en3. アフタースクール

■<Aniversario>

2023年7月22日(土) 東京・原宿RUIDO
open17:00 / start17:30
▼チケット
ADV¥5,000 / DOOR¥5,500 (D代別途要)
e+:https://eplus.jp/sf/detail/3867100001-P0030001
※19歳以下の方は、当日入場後に身分証提示で5,000円キャッシュバック
(問)原宿RUIDO 03-6447-5567

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