【インタビュー】Yuhma(XANVALA)、群発頭痛を抱えながら続けるバンド活動「今は自分たちに自信を持てている」

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それは、突然の発表だった。TwitterでXANVALAのYuhma(G)が「群発頭痛」の発症をファンに伝えた。しかし今もYuhmaは、その病気を抱えながらXANVALAとしての活動を休むことなく続けている。

世の中では、まだまだ認知度の低い「群発頭痛」という病気。あえてYuhmaはその病気のことを伝え、同じ症状で苦しんでいる人たちの気持ちのつらさを知ってもらおうと、今回のインタビューに応じてくれた。

   ◆   ◆   ◆

──いつ頃からなんですか、「群発頭痛」という病気を発症したのは……。

Yuhma :症状が出始めたのは、2022年5月頃でした。あの時期は、今ほどライブの本数を多く詰め込んでいたわけではなかったのが幸いしてといいますか、寝ているときに突然頭を突き刺すような激しい痛みが起きてそれが1〜2時間続くといった、いわゆる突発的な症状が毎晩のように続きました。最初は寝ているときに起きていた痛みが、いつしか日中にも起き始め、運転中に痛みが発生した時はひとまず路肩に車を止め、痛みが去るのを待ったり。じっとしていられないほど痛いので、外でも倒れ込み、踠きながら発狂してしまいます。ただ、2022年の段階では、痛みは大きいながらも「一時的な偏頭痛かな」という感覚でいました。もともと自分自身、頭痛持ちではなかったので、「急に頭痛が多くなったけど、何でだろう?」という気持ちで、あの頃は様子を見るように過ごしていました。

──それだけ頭痛が定期的に襲いかかると、不安になりますよね。

Yuhma:そうなんです。2022年は2カ月月ほどで頭痛がなくなりましたが、今年もツアーの最中から痛みが毎晩襲いかかるようになって。ライブ中にまでその痛みが起きてしまうようになりました。本当に目を開けていられなくなるくらいの痛み。決まって必ず右側の目と脳を一緒にガスバーナーで焼きつけられるような……。本当につらい痛みが襲いかかってきます。毎日、頭痛薬を大量に飲みましたが全く効果はありませんでした。ツアー中に脳神経内科のある大きな病院に行きMRI等の検査をしたことで、初めて「群発頭痛」という診断を受けました。病名も初めて知りました。「世界三大激痛」と言われる頭痛の症状らしいです。

──それは怖い。

Yuhma:でも、僕は本当にメンバーに恵まれていて。ライブでも、症状や体調次第で立ち位置を変えてもらったり、みんなで一緒に車で移動しているときも、僕が頭痛や吐き気を覚えるたびにそれが収まるまで待ってくれたりと、メンバーがしっかりとサポートをしてくれるから安心感はあります。この病気は、頭痛と一緒に吐き気も起きます。それもあって、車にも長い時間ずっとは乗ってはいられない。もちろん運転は出来ないし、ゆっくり身体を休めようにも頭痛と重ねて吐き気が襲いかかってくる。いつもは我慢していますけど。本当に吐きそうなときは車を止めてもらい、自分は車外に出て、症状が収まるまで何とか耐えるようにしています。

──ライブ中に痛みが来たら、止めようがないじゃないですか。

Yuhma:そうなんですよ。頭痛が襲いかかってきたときは、極力痛みを隠しながら演奏しています。だけど、どうしても表情やパフォーマンスには出てしまうんですよね。今の症状をメンバーには説明し、理解はしてもらえています。メンバーのみならず、XANVALAを支えてくれるお客さんたちも本当に優しい方々ばかりで、みんな「無理しないでください」と心配の声をかけてくださいます。「群発頭痛」は、命に別状のない病気なので、僕も、お客さんには過剰に病気のことは言わないようにしていますけど。それでも報告しなきゃという状態になったので、SNSを通して病状を伝えました。

──この病気は、じっくりと静養すれば直るものではない?

Yuhma:みたいです。先にツアー先の地方の病院で診断を受けたわけですが、都内の病院でもセカンドオピニオンとしてこの病気の専門のところへ診察に行きましたけど、やっぱり治療法も予防法もないと。なので、今はいろんな薬を試しながら、効く薬をしっかりと見いだしつつ、長く治療を続けていこうと医師の方と相談をしながら日々を過ごしています。今は治療を続けながら、バンド活動も、メンバーやスタッフ、レーベルの方々や関係者のみなさん、何よりファンの人たちの理解も得ながら活動を続けています。この病気自体、どうしてもすぐに完治するようなものではないし、年に1回、群発期という周期があるそうです。2022年は2カ月くらいで終わったのですが、今年は1日でも早く終わればいいなぁという希望を持って日々を過ごしています。

──今は、自分の身体と相談をしながら活動を続けていくしかないわけだ。

Yuhma:そうなんですよね。ただ、頭痛が始まってからの1〜2時間は激痛ですから、それを耐え忍ぶだけでも、ものすごく体力を消耗するんですよ。なので今は、今以上に体力を鍛えたいなと思っています。この症状、ライブ前に来るときもあったんですよ。それを本番前に乗り越えたのはいいんですけど、激痛を耐えたことで、身体がものすごく疲れてしまうんですね。そこは正直つらいところです。

▲Yuhma

──今年はとくに、XANVALAは過密なスケジュールで動いていますよね。Yuhmaさん自身、その流れを止めたくはないからこそ、こうやって身体に鞭打ってでも続けているわけだ。

Yuhma:はい。自分がこういう病気を持ったことでわかったのですが、同じ「群発頭痛」という病気を持ちながらも日々お仕事をされている方々は、なかなか周りにこの病気の症状について理解を得にくいらしいです。僕自身、知らない病名だったこともあって尚更ですけど。まわりに病気のことを理解してもらえていない人たちが、この世の中にたくさんいる。「なんで頭痛くらいで?」と思う方も少なくないと思います。理解を得られずに苦悩している方々が実際にたくさんいるからこそ、こうしてインタビューを通して自分の病気のことを発信し、痛みの度合いや症状は違っても、同じような病気を持っている人たちの何かしら心の支えになれたらと思っています。もし身近に頭痛で苦しんでいる方がいらっしゃるなら、理解してあげてほしいと僕は伝えたいです。

──Yuhmaさんの場合、メンバーやファンがしっかり理解してくれているのが、本当に幸いしていますよね。

Yuhma:メンバー、お客さん共に、それを理解してもらえているのはとても大きなこと。僕は、本当に恵まれているなとすごく感じています。だからこそ、こうやって記事を通して発信することで、同じような症状で苦しんでいる方のためにも、この病気のつらさを世の中の人たちに知っていただきたいと思っています。この病気を避けること自体は難しいそうなので、僕自身はこの病を背負いながらバンド活動を頑張ろうと思っています。

──Yuhmaさんは、今の病気を抱えながらバンド活動を止めることなく突き進んでいくんですね。

Yuhma:その通りです。やはり、今のXANVALAの勢いを止めたくはないですからね。

──今は、ツアーも終盤。どうですか、今のツアーの手応えは。

Yuhma:ツアーを周る箇所も本数も年々増やした分だけ、目に見える形で結果がついてきています。地方の会場の規模も大きくなり始めています。ツアーごとのファイナル公演にも、各地のファンの方々が「観に行く」と言ってくださるし、ファイナル公演のステージ規模も上げていける。日数を切り詰め、タイトなスケジュールでまわっていても、各地に行くと目に見える形でしっかりと手応えを実感できる。ほんと、みなさんのおかげで疲れを忘れて、楽しくツアーをまわれています。

──地方の会場の規模が大きくなるって、すごく嬉しいことですよね。

Yuhma:本当に嬉しいです。「初めて今日、XANVALAのライブを観ました」「やっとライブに行くことが出来ました」「またかならず行きます」という手紙をもらったりすることもあって。何度も足を運んでくださる方々も増えていますね。中でも嬉しいのが、どの会場でも「初めて観ました」と言ってくださる方がいること。その言葉を聞くたびに、僕らも本当に嬉しくなるし、励まされてもいます。

──その手応えを、6月から始まる次のツアー<GARDENIA>へと繋げていくわけだ。

Yuhma:そうです。どのライブも次に繋げていけるライブにしていけたらなと、何時も思っています。もらろん、僕らもステージのレベルが上がることによって、バンドとしてのレベルも上がっていく。この先、日本武道館を目指すなど、大きい目標を掲げていけるようになったら、自然と僕ら自身の意識も変化していくんだろうなとも思えます。「XANVALAはレベルアップし続けているんだ」と感じてくれたら嬉しいですよね。

──「日本武道館を目指す」という言葉が出てくるくらい、今、みんなの意識が高くなっているということだ。

Yuhma:そうです。僕らにとって日本武道館がゴールというわけではなく、この先もずーっと長く音楽活動を続けていく意識を何よりも大切にしています。それでも、一つの大きな目標を掲げ、そこへがむしゃらに向かう気持ちを持つことも大事だなと思っています。以前だったら、「日本武道館をめざしたい」という言葉を出すことが出来なかった。だけど今は、それくらい自分たちに自信を持てているということです。ただし、日本武道館という言葉を出すことで、今の活動がそのための通過点だと思われてしまうのはちょっと違う。そこだけは勘違いしてほしくないです。

──そこは、みなさんわかっていますよ。むしろ、一緒に大きな目標に向かうためにも、目の前の一つ一つのライブを楽しめていけているのが嬉しいんですよ。

Yuhma:今のXANVALAは、何時かの日本武道館に向かって、そして、目の前の夏の恵比寿リキッドルームのグランドファイナル公演に向けて、日々1本1本、本気でぶつかっています。

──楽しみにしています。

Yuhma:今のXANVALAはすごく輝いているので、ぜひ見て全身で体感してほしいです。

取材・文◎長澤智典

<XANVALA ONEMAN TOUR「ANS」>

■#2 "NIX"
2023年
5月13日(土)金沢gateBlack
5月14日(日)長野LIVE HOUSE J
5月16日(火)新潟CLUB RIVERST
5月20日(土)札幌CrazyMonkey
5月21日(日)札幌CrazyMonkey
《#2 TOUR FINAL》
5月26日(金)渋谷clubasia

■#3 "SYMBIOSIS"
6月10日(土) 心斎橋soma
6月11日(日) HOLIDAY NEXT NAGOYA
6月13(火) 浜松FORCE
7月8日(土)福岡graf
7月10日(月) 広島SECOND CRUTCH
7月11日(火) 松山サロンキティ
7月13日(木) 岡山IMAGE
8月3日(木) 金沢gate Black
8月4日(金) 長野LIVE HOUSE J
8月6日(日) 新潟CLUB RIVERST
8月11日(金祝) 札幌CrazyMonkey
8月12日(土) 札幌CrazyMonkey
8月18日(金) 仙台spaceZero
8月19日(土) 郡山PEAK ACTION

■GRAND FINAL
8月31日(木)恵比寿LIQUIDROOM

ツアー特設サイト
https://lit.link/xanvala

<XANVALA × Ashmaze. 2MAN「ASHLA TOUR」>

2023年5月7日(日)下北沢シャングリラ
https://eplus.jp/sf/detail/3763160001

<XANVALA × 摩天楼オペラ 2MAN LIVE「斬劇」>

2023年6月19日(月)恵比寿LIQUIDROOM
https://eplus.jp/sf/detail/3811670001

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