【インタビュー】GLASGOW、2nd EPに求めた積極果敢な変化「これこそが今のロックなんだよって」

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■メロディを優先しているか
■そうじゃないか、という判断


──それぞれにいろいろなバンドに影響を受けていますが、ざっくりとオルタナというところが共通点としてあるようですね?

アラタニ:僕はミスチル(Mr.Children)が一番好きで、藤本はスピッツが一番好きなんですけど、まだサブスクがなかった高校生の頃から、CDを貸し借りしながら、「あれいいぞ」「これいいぞ」ってやっている中で、藤本からthe pillowsやFoZZtoneを薦められて。歌ものみたいなイメージしかなかったところに、オルタナの血が少しずつ流れ始めたんだと思います。長谷川さんは俺達とはちょっと違うよね?

長谷川:そうですね。オルタナも琴線に触れたとは思いますけど、どちらかと言うと、熱いバンドが大好きで。それこそTHE BACK HORNが一番好きなんですけど、ミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)とかブランキー(BLANKEY JET CITY)とかに陶酔していた時期もあったし、ニルヴァーナとかレッチリ(Red Hot Chili Peppers)をきっかけにいろいろな音楽を聴くようなったってところもありますし。

藤本:それほど、オルタナという共通点はないかもしれないです。

アラタニ:歌のメロディと歌詞はできるだけ日本語でポップにしたくて、ただ音やアレンジにはUKとかUSとかの血を入れたいよねみたいのは、いつも作りながら話してますね。

長谷川:そうですね。


──なぜ音やアレンジにはUKやUSの血を入れたいんですか?

藤本:さっきの話に戻るんですけど、バンドを組んだとき、楽器を始めたのが遅かったこともあって、上手にJ-ROCKの音を演奏するのは難しいんじゃないかって思ったんですよ。UKとかUSとかのドリームポップのバンドって、こういう言い方は本当に失礼なんですけど、演奏が下手でも、音の良さだけで認められているバンドってめっちゃいると思って。それでリバービーでキラキラとした音に、わかりやすいメロディといい声が乗ったら、おもしろいんじゃないかなと思ったのが最初ですね。もちろん、そういうドリームポップのバンドが好きっていうのもあるんですけど、自分達にできて、自分が好きなものは何だろうって考えたら、それしか選択肢がなかったっていう(笑)。

──でも、やり続けているうちに、それがGLASGOWの個性になっていったわけですよね?

藤本:そうですね。曲自体、アプローチとしては歌謡的な要素もありますし、アラタニ君の声も日本人に馴染みがいいというか、メロディがすごく馴染みやすい声なので。

アラタニ:そうなんだ(笑)。

藤本:そうじゃない?

長谷川:うん。

藤本:なので、それが個性になったのかなと思います。

──なるほど。EPの6曲を聴いて、バンドサウンドに関しては、インディレーベルとかメジャーレーベルとか所属レーベルのことではなく、ジャンルとしてのインディロックというところをストイックに追求しているバンドなのかなという印象がありましたが、お話を聞いていると、それはちょっと違うのかなという気もしてきました。さっき多くの人に意識が向いた作品だとおっしゃっていましたが、今後、ドメスティックというか、J-POPとかJ-ROCKとかの要素も入れていけるなら入れていってもいいという考えもあるんですか?

藤本:それはあります。今回のEPに関して、いわゆるインディサウンドをストイックに追求したという意識はそこまでなくて。

アラタニ:今回のEPは、ひとつ前のミニアルバム『twilight films』リリース前から、2年ぐらいかけて作ったんです。なぜ2年かかったかというと、『twilight films』を出したその次はどうする?と考えたとき、もっと多くの人に聴いてもらいたいと思ったことに加え、現実的なことを言うと、多くの人に関わってもらっているわけで、結果を出さないといけないと考えたからなんです。その中で、今回のEPを完成させるまでに、たくさんの曲を作っては壊してってことをかなりやったんですよ。『twilight films』までは、“自分がいいと思った曲を自分達のアレンジで好きにやればいいじゃん”って、本当にそんなノリでやってたんです。だけど、自分達がこれまでやってきたことも大事ではあるものの、やっぱり一段階成長したいよねっていう思いから、“そうじゃない” “こうじゃない” “もっとこうできる” “もっとこうしたほうがいいんじゃないか”って悩みが出てきて。今回のEPはそれで言うと、グラデーションと言うか、これまでのものと新しいものがけっこう入り混じった作品にはなっていると思うんですよ。


▲藤本栄太(G)

──たとえば、そのグラデーションの端と対極の端に位置する曲を挙げるとしたら?

藤本:「Trooper」と「vvaves」かな。

長谷川:そうだね。その2曲は、けっこう顕著だね。

藤本:「Trooper」は終始、めちゃめちゃリバービーなギターリフが鳴っていて、サビもメロディの起伏ではなく、三声のコーラスで盛り上げる、ある種、洋楽的なアプローチになっているので。

長谷川:挑戦というか。

藤本:いろいろな人達に関わってもらっている中で、こんな曲というか、好きなことをこんなにやらせてもらっていいんですかっていう(笑)。そういう曲もあれば、「vvaves」のように本当に歌を聴かせる曲もあって。

アラタニ:イントロなしで、サビからがっつり入るみたいな。

藤本:「vvaves」はメロディもすごくよくて、気に入ってはいるんですけど、そういう意味では「Trooper」とは対極にあるのかなと思います。


──「vvaves」の“w”を“v2つ”で表記しているのは、カナダのインディポップバンド、Alvvaysが元ネタですよね(笑)?

藤本:そうです。なんかかわいいと思って、そうしました。

──「vvaves」はマージービートっぽいところもありますね。

藤本:あぁ~。ただ、僕らの判断としては、メロディを優先しているか、そうじゃないかみたいなところがけっこうあるかもしれないですね。「vvaves」はもう、メロディ最優先の曲になったので、そういう意味で「Trooper」とは対極なんだと思います。僕らにとっての売れる売れない/広がる広がらないって、結局、メロディなんじゃね?という共通認識がありまして、違ったら教えてほしいんだけど。

アラタニ:いや、大丈夫。

藤本:「vvaves」は、もうメロディ、メロディ、メロディなんですよ。歌とメロディを一番聴いてもらえるようにして、あとはできる範囲で好きなことをやりましたっていう。

長谷川:歌とメロディが映えるように、ドラムもちょっと跳ねていて。基本はやっぱりメロディと歌詞が生きるような作り方を心掛けてはいますね。

アラタニ:ボーカル的には、切り裂くようなファルセットで歌うのが得意だから、「vvaves」はそれをキモにしようと思って、得意技を存分に出したんです。だけど、ファルセットに頼らずにちゃんと聴かせる歌も必要だとも思って、「Trooper」とか「Your song」…特に「Your song」はそうなんですけど、ファルセットもほぼほぼ使わずに、いいメロディをどういうふうに聴かせるかというところでは、かなり挑戦だったかなと思ってます。

──「lostmusic」はサビでドラムが4つ打ちになりますが、それもJ-POPを意識しているんですか?

長谷川:そうですね。多くの人に聴いてもらうことを意識してますね。僕の中では「lostmusic」はJ-POPの要素が一番強いという印象があったので、メロディと歌詞を邪魔しないことを第一に考えて、その上でサビでわかりやすい裏打ちを入れたかったんですよ。


──その一方で「FLASHBACK」のドラムはパートごとにリズムが変化するという。

長谷川:あれ、難しいんですよ(笑)。

──でも、ご自身でアレンジしたんですよね(笑)?

長谷川:もちろん。“ハーフビートを基調に、Aメロは倍テンしていったほうがいいだろう”とか、“サビの最後は、それまでずっとハーフできたところをいきなり8ビートに戻したらおもしろいだろう”とか、アレンジを考えながらアイデアがどんどん膨らんでいったんです。もしかしたらそのルーツはTHE BACK HORNにあるのかもしれないし、曲の最後で盛り上がるからこそ、“ライブいいよね”とか“曲いいよね”ってなるという発想は、ドラマー目線と言うか、ドラマー魂を詰めこんだところはあったかもしれないです。このアレンジを持っていった時にメンバーも「それ、いいじゃん」ってなってくれたので、いろいろな化学反応が起こって出来た曲なんだと思います。

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