【ライブレポート】実力の高さに裏打ちされた、デラックス×デラックスの百花繚乱ライブ

ポスト


高カロリーな音楽やパフォーマンスで人気も知名度も急上昇中のデラックス×デラックス(以下デラデラ)が、6月3日(土)に渋谷Spotify O-Crestでライブを行なった。3月からスタートさせた全国ツアー<廻れ!!百花繚乱ツアー>のうちの1本となるライブだが、ファースト・フル・アルバム『千紫万紅』をリリース後の初ライブでもある。ソールド・アウトとなった会場には、年齢層も幅広い老若男女のカロリー(デラデラ・ファンの愛称)がわんさか集まった。

ワンマン・ツアーだが、この日はオープニング・ゲストとして韓国のガールズ・バンド=Fishingirlsが登場。5月に韓国で行なわれたフェス<KUENSORI FEST>で一緒になったことから、デラデラのワンマンにゲストとして招かれたという。ライブ途中には、デラデラのSPであるシダとラシがダンサーとして飛び入り。カッコよくもコミカルな踊りでFishingirlsの曲をスパイシーに味付け、メンバーとカロリーたちを喜ばせた。

そして近づくデラデラのステージ。興味本位でドレッシング・ルームを家政婦ばりに覗いてみたら、テーブルの上には塚田農場のチキン南蛮弁当が寂しく1~2個。それとは対照的に、ゴミ箱代わりの段ボールには綺麗にたいらげられた弁当が大量に。食ったな、いっぱい。とはいえデラデラにとってそんな量は軽食レベルであろう。準備万端である。開演10分前にはライブ前のルーティーンである全員でのラジオ体操第一も行なわれ、SP以外の4人がお召しになっている長い袖の衣装が、ドレッシング・ルームの空気を勢いよくかき混ぜ始めた。



19時25分、ジュリ扇が似合いそうなSE「NOROSHI」と共にデラデラがステージに現われた。スイレン(G)、サクラ(Dr)、スズラン(B)が、カロリーたちを笑顔で歓迎しながらステージに、そしてシダとラシとコクが会場をグルリと見渡し、各所の安全とカロリーたちの表情をチェック。そして最後にカロリーたちの声援を浴びながらアサガオ(Vo)が。お花の妖精たちがここに見参である。

「お待んたせ、いたしました~ッ!」



アサガオの一声でライブは開園(開演)。2019年に発表した記念すべきファースト・シングルからの「飼いならされたいの」が今夜の1曲目となった。サクラによる4つ打ちのダンサブルなリズムに、スズランが安定したオクターブ奏法を刻み、カロリーたちを踊らせていく。しかしこれは切ない女心を歌う曲でもある。ギター・ソロでは嫉妬に狂った女心を表わすように、スイレンが激しいフレーズで狂い咲く。さらにアサガオは、歌いながら指先まで神経を行き渡らせてセクシャルな情景も描き出す。カロリーたちは喜びと官能で身もだえながら、デラデラに飼いならされるのみ。3曲を終えたところでアサガオが言う。

「1曲目からアチアチですね、みなさん。相当、酸素薄いんじゃなぁ~い? ある程度、迷惑かけるぐらい踊っていってください」


アサガオ(Vo)


スイレン(G)


スズラン(B)


サクラ(Dr)


シダ


ラシ


コク

発売したばかりのアルバムからの曲を次々に展開させる中、SPのコクはマニピュレーターとして手腕を発揮しながら、イケメン・オーラも放出。SPのシダとラシは、曲のストーリーや歌詞を彩るようにダンスを決めまくる。バンドには顔というか華のような存在が必ずいるものだ。デラデラの場合、誰かひとりということでもなく、7人それぞれが華。まばたきする瞬間すら惜しいぐらい、いちいち表情でも魅せるし、それぞれがプレイやパフォームで咲き誇る。

またライブが進む中、<廻れ!!百花繚乱ツアー>のファイナルとして、12月に沖縄と東名阪のクラブ・クアトロでライブが決まったことを発表。それについてアサガオはしみじみとした表情でこう語った。

「3年前、名古屋で初めてワンマンやったときの動員数は7人。そしてアタシたちも7人。照明でね、自分たちの影が揺れているのを見てたわよ(笑)。それから今年の3月には名古屋がソールドして、12月には7人が700人に。夢があるじゃな~い」



各メンバーのおもしろキャラクターや、どうあがいても視界に入ってしまう存在感に、まず注目が集まったであろうデラデラ。しかし曲を聴いたら、そしてライブを観たら、誰もがデラデラに首ったけ状態。

なにしろ、本人たちも言うように、日本人のDNAに刷り込まれた昭和歌謡の良さがふんだんに入った栄養満点なのがデラデラ。ライブでは軽やかに演奏していても、究極に近いフォルムを持ったメンバーゆえ、音の一発ずつがパンチも芯もある。演奏自体も、技術を前面に押し出すバンドではないものの、かなりうまい。またアサガオの歌いっぷりは、ソウルフルな地声から繊細なウイスパーまで駆使しながら、心のひだをくすぐり続けるもの。和田アキ子というかスティービー・ワンダーばりに“ハッ!”と掛け声なども入れ、曲をさらにエモーショナルに呼吸させてもいく。そして真似したくなる欲求を煽るSPたちのダンスや振り付け。ハマる魅力しかない。人気の裏側にはデラデラの実力の高さが常に光っている。











「いろんな初めてをアタシはデラックス×デラックスで経験できて、幸せ者です。このツアーも、今年も、駆け抜けていきます。振り落とされずに付いてこれますか? こんなにカラダ大っきいけど、猛スピードで行くよ」





その言葉と共にライブ後半は一気に畳みかけていくデラデラ。極まったテンションの高さを炸裂させる各メンバー。アンコールでは「おかわりのお残しは、許しまへんで~!」と、いたずらな表情で煽るアサガオ。シダとラシは、常人にはできないアクロバティックなダンスで煽りを喰らわせる。ソールド・アウトで身動きも取りづらい状態ではあるが、カロリーたちも曲と音を浴びながら一生懸命に踊り狂う。ステージやフロアに広がる光景はデラデラの7人もカロリーたちも咲き乱れ、まさに百花繚乱のライブとなった。



写真◎FUMI KOBAYASHI
取材・文◎長谷川幸信

<百花繚乱ツアーファイナル>

2023年12月9日(土)
沖縄 コザミュージックタウン音市場
開場1800 開演1900

2023年12月24日(日)
梅田CLUB QUATTRO
開場1715 開演1800

2023年12月28日(木)
渋谷CLUB QUATTRO
開場1815 開演1900

2023年12月 30日(土)
名古屋CLUB QUATTRO
開場1715 開演 1800

◆デラックス×デラックス・オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報