【ライブレポート】伊波杏樹、「みんなが楽しいと思ってくれることがいちばん嬉しいです」

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伊波杏樹が5月6日から東名阪ツアー<Re merveilleux VOYAGE>をスタート。名古屋公演、大阪公演と続き、迎えた最終の地、5月28日に昼夜2回で行われた東京の夜公演の模様をレポートする。

◆ライブ写真

今回のツアー名は伊波杏樹が2018年に行った初の単独イベントのタイトル<Le merveilleux VOYAGE>を元にしており、改めて新たな道を歩む決意を込め“Le”を“Re”とした、彼女にとっても念願のツアーであった。

客席が暗転し、スクリーンに映し出されたのは、過去のライブMCの数々。2022年12月25日に行われた直近のイベント<Mille tendresses>から過去に向かっていく構成であったが、時は違えど、彼女のMCには、常に一貫してファンに対する思いや自身の決意を生の声で届けてきた数々の言葉が溢れていた。

映像が終わると、暗闇のステージ上に伊波杏樹のシルエットが浮かぶ。ツアータイトルに込められた「最高の旅の始まり」の意味を感じさせるこの演出にファンの期待が高まる中、1曲目に披露したのは「Raise the ACE!」。この曲は2020年に開幕したものの、コロナの影響でツアー半ばで開催中止を余儀なくされた初の全国ツアー<cartes Á jouer>のテーマ曲だ。その無念を晴らすかのように1曲目にこの曲を据えたことに彼女の今回への意気込みを感じさせる。公演場所によってバージョンを変えていたラップパートは、今回、もちろんヒューリックホールのあるここ有楽町バージョン。


「愛と思いやりを持って素敵な1日にしましょう」の言葉に続いては、オフィシャルファンクラブ「Inamin Town」のテーマソングであり、フジファブリックの金澤ダイスケがプロデュース/作詞・作曲・編曲を手掛けた軽快なポップソング「街へ出かけよう」が。積極的にファンに手を振り、そして手を振り返すファンの姿をみていると、お互いにこの瞬間を待ち望んでいたことを感じさせ、そのやりとりを楽しんでいるのが伝わってくる。お馴染みのイントロが流れ、次の曲が「LOVE☆DON!!」であることが分かると、会場の熱量は序盤にして一気に最高潮へ。

続けざまの3曲後、彼女は名古屋・大阪を回ってきたことで本公演を「凱旋ライブ」と称し、「お昼の部のほうが声で出てたかな?」といった茶目っ気のあるMCで笑いを誘う。ここでライブパートは一旦お休みとなり、ファン参加のもと「W Misson チャレンジ」という2つのことを同時にチャレンジする企画がスタート。昼公演では豪華打ち上げ権をゲットしたが、この夜公演でもジェンガのピースをとりながら、「いな民発声単語」という、ファンが発する2つのキーワードを当て、みごとに2つ目の打ち上げ権をゲットしていた。

そして再びライブパートに戻り、ここで彼女とは10年以上の付き合いとなり、楽曲制作にも多く携わっている多田三洋が登場。伊波は「初めてのイベントで歌った曲も歌います」と宣言し、カバーパートがスタート。1曲目のYUI「Good-bye days」で繊細かつ抑揚の効いた歌声を披露した後は、中島美嘉「GLAMOROUS SKY」を。この曲こそが先に言っていた「初めてのイベントで歌った曲」であり、序盤、歌とピアノでシンプルに始まるものの、2コーラス目からは激しいギターとダイナミックなドラムが印象的な激しいアレンジとなり、会場の空気が確かに一変した。

この流れが続くかと思いきや、「次の曲はタオルを使います!」との彼女からのアナウンスのもと、いきものががり「じょいふる」がスタート。同時に会場いっぱいに掲げられたのは、以前に発売されていた「伊波杏樹」と大きく書かれたタオルだった。彼女の回すタオルに合わせ、ファンもタオルを一斉に回し、会場は大盛り上がり。その様は曲後、多田がファンのレスポンスのすごさと一体感に驚いていたほどであった。その後のMCでは「自分の好きな曲を自由に歌う──。20代初めの頃、初めてのイベントでは難しいと思っていたんですが、今回はうまく歌えたと思います。今後、オリジナル曲も増えると思いますけど、 “An seule étoile(アンスールエトワール/カバー曲中心で構成するライブ企画)“もまたやりたいなと思っています」と思いを言葉にした。


続く、1stフルアルバム『NamiotO vol.0.5 ~Original collection~「Fly Out!!」』収録の力強い女性像を歌ったナンバー「VICTORIA」ではステージ上が赤い照明に包まれ、それに呼応するかのように場内も赤いペンライト1色に。この曲を起点に会場全体が熱狂の渦と化し、激しく曲調とフラッシュライトがシンクロする「コカルテ」で凄みを感じさせ、彼女がTokyo 7th シスターズでジェダ・ダイヤモンドとして歌唱した「Striking Diamond」をサプライズとしてたおやかに披露。一気にファンのテンションが沸点に到達しているのを体感する。

MCで彼女から発せられた「日々前を向いて努力している自分を見せていきたいと思います」という力強い言葉には、彼女らしさ、伊波杏樹というアーティストの人間像を感じたが、それと同時にその後に続いたファンと対話するようなMCにも彼女の飾らない人柄がにじみ出ていた。最後のライブパート、「意味ナクナイ?」ではファンとのコール&レスポンスも完璧に決まり、「Fly Out!!」収録のリズミカルな1曲「GOOD LUCK, の HANDSIGN」では高音の伸びが気持ちいい歌声にあわせ、なによりライブを楽しんでいる姿を思う存分、披露して、本編は幕を閉じた。


続くアンコールでは衣装をピンクのロングスカートに替え、ピアノと歌のシンプルな構成で歌い手の表現力が問われる楽曲でもあるバラード「I promise you...」をしっとりと見事に歌い上げた。実はこのピンク色のロングスカート、初の単独イベントの<Le merveilleux VOYAGE>で着ていたものとのこと。このことからも、彼女の再び始まる最高の旅路への決意がうかがえる。
「アンコール、ありがとうございます」と深々と頭を下げ、この後のMCでは「私自身はこのまま、ありのままという感じの人間なので、みんなが楽しいと思ってくれることがいちばん嬉しいです」と正直に自分の思いを告げる。

ここで昼公演とは違うお知らせすることを告げ、喝さいを受けると、まずは公開済みの情報として自主レーベル「Queue me! Disque(キューミー・ディスク)」のロゴ、既発曲の配信情報(アルバム1枚・シングル3枚を5月14日から配信スタート)、そして6月14日に「Queue me! Disque」からリリースされるシングル「Killer Bee」のアートワークを見せていく。

そして、ここからが夜公演での初出し情報。おもむろに彼女と多田がステージ上を去ると、ステージ後ろのスクリーンに映像が映し出された。この映像はシングル収録3曲のティザー映像であり、まさしく音源としては本邦初公開となる。ロック調でダイナミックな盛り上がり必至の1曲「Killer Bee」、日常の何気ない風景を切り取ったかのような歌詞と透明感あふれる歌声が印象的なバラード曲「愛したい毎日」、そして、彼女自身が作詞作曲を手掛けたレゲエ曲「Discover」と、彼女の多様性を象徴するような個性あふれる3曲。映像終了後、彼女曰く「Discover」は野外で皆で肩を組みながら一緒に歌うことをイメージして作った曲だとの言葉にファンは大喜びし、会場のテンションは何度目かのマックス状態に。


そして最後の曲として奏でられたのは「また会えるよ。」。この曲は彼女が初めて作詞・作曲を手掛けた楽曲であり、思い入れも強い1曲。大きく手を振りながら歌う彼女の姿、それに呼応するかのように会場全体が手を振りあっている姿には「一体感」という言葉がしっくりとくると思わされた瞬間だった。歌唱後、ステージ上から届けられる彼女の満面の笑顔、客席あふれる笑顔・笑顔・笑顔、マイクを通さず生声でファンへ感謝の気持ちを告げ、客席の誰もがツアーの大団円を感じたはずだったが……。

彼女がステージを去った後も場内は暗いまま、スクリーンが再度登場。鳴りやまない拍手とアンコールの掛け声の中、誰もが何かが起こるのではないかという予感を浮かべたその時、伊波、多田の2人がステージに登場。ステージ上は暗いまま、スクリーンに先ほどのティザー映像の冒頭が映し出されると、先ほど耳にした新曲「Killer Bee」のイントロが! なんと、「Killer Bee」の初ライブパフォーマンスだ。まさにサプライズ、常にファンを思い、楽しませる彼女ならではの粋なはからいだと感嘆した。レイヴ感あふれるシンセメロにギター、そして低音の効いたサウンドに、激しいながらもキャッチ―でキュートなサビに、ファンの興奮は絶頂に到達。手に持ったペンライトをそれぞれの色に彩って盛り上がり、会場一面はカラフルな光に包まれている。こうして、東名阪ツアー<Re merveilleux VOYAGE>は真の大団円を迎えたのだった。

クールさとキュートさ、激しさとたおやかさと、まさに伊波杏樹の持ち味を十二分に発揮したこの曲を今回、起ち上げた自身のレーベル「Queue me! Disque」から第1弾シングルとしてリリースすることで、彼女は再び「最高の旅の始まり」を迎えたのだと強く感じた。

シングル「Killer Bee」

2023年6月14日(水)発売
¥2,000(税込)

収録曲:
1. Killer Bee(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:馬渕直純)
2. 愛したい毎日(作詞:川崎里実 / 渡邊亜希子 作曲:川崎里実 編曲:YUKI KANESAKA)
3. Discover(作詞・作曲:伊波杏樹 編曲:Hayato Yamamoto)

各バージョン特典(特別メッセージ入り(複製)アナザージャケット)取り扱いECショップ(Amazon除く):https://www.sma.co.jp/s/sma/music/KillerBee#/

伊波杏樹 配信リンク:https://bio.to/anjuinami


▲ニューシングル「Killer Bee」ジャケット


▲特別メッセージ入り(複製)アナザージャケット


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