【インタビュー】THE BEAT GARDEN、アルバム『Bell』が運ぶ幸せ「ひとつひとつに出会って一歩ずつ進んでいく」

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THE BEAT GARDENが6月14日、通算4枚目となるフルアルバム『Bell』をリリースする。前作『余光』以来、約1年10ヶ月ぶりのアルバムとなる『Bell』には、総ストリーミング5000万回超えのドラマ『六本木クラス』挿入歌「Start Over」や、ドラマ『自転車屋さんの高橋くん』オープニングテーマ「初めて恋をするように」をはじめ、既に配信リリースされている「ROMANCE」「それなのにねぇなんで?」に加え、新曲5曲を含む全9曲を収録した。

◆THE BEAT GARDEN 画像 / 動画

新体制初、一躍脚光を浴びた「Start Over」リリース後初となる新たな始まりのアルバムには、“幸せを呼ぶ”という意味を含む『Bell』と名付けられた。強烈な追い風が吹く中で大きな飛躍を遂げるべく、今、幸福の鐘が鳴る。インタビューでは、アルバムコンセプト、各楽曲に込められた想い、3人ならではの歌唱法についてじっくりと話を訊いた。


   ◆   ◆   ◆

■未来に向けて歌った楽曲であり
■今の僕らが届けることに意味がある


──4thアルバム『Bell』の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

U:メインコンセプトをしっかり決めたかったかというと、そうではなかったです。今までのTHE BEAT GARDENを振り返ると、エレクトリックダンスロックから始まってJ-POPへ、という流れがあって。そういう中で、韓国ドラマ『梨泰院クラス』挿入歌の日本語カバー「Start Over」(※ドラマ『六本木クラス』挿入歌/2022年8月)に巡り合えた。この曲で初めてTHE BEAT GARDENの存在を知って、ポップグループだと捉えた方もたくさんいらっしゃったと思うんです。ところが、僕らはいろいろな側面を持っている。なので今回は、なにかのジャンルに偏ったアルバムを作ろうという気持ちはなくて、シンプルに、J-POPでありTHE BEAT GARDENらしいアルバムを作りたいと思っていました。

──その言葉どおり、THE BEAT GARDENの幅広さが味わえるアルバムになっています。バラエティーに富んでいると同時に、上質な楽曲が揃っていることも見逃せません。

U:アルバムに向けて、何十曲作ったんだろう?という感じでしたね。“いいメロディー”ということを常に大事にしつつ、そのうえで自然といろんなタイプの曲ができていきました。


▲U

──その数十曲から厳選した曲達を収録されたんですね。では、アルバム収録曲を揃えていく中で、キーになった曲はありましたか?

U:「心音」だと思います。アルバムにつながる最初の制作に入ったときに、「夏のドライヴソングみたいなものを作りたいね」という話になって。まず、横ノリの「夏の三角関係」(Abema『恋する♡週末ホームステイ 2023春 ~Orange Sweet Memory~』挿入歌)のメロディーを作って。次に、バラードナンバー「ラブレター」のメロディーが形になったんです。そうやってアルバムの輪郭が見え始めた頃、コロナ禍を経てライブが本格再開し、声出しが解禁され、という状況になってきた。その時、僕らの中にあったのは、“そういう状況に対する思いを言葉にしないでいるのはどうなのかな?”という気持ちだったんです。それを受けるように、去年10月くらいから「心音」のメロディーを作り始めて。最初はリード曲にする気はなかったけど、自分たちの気持ちを歌っている曲だし、みんなでシンガロングする場所もある。今一番提示したいのは「心音」かもしれないということで、「心音」をリード曲にしたんです。

REI:Uさんが言ったように、アルバム制作過程で“今回のアルバムは、これでいいのかな?”ということをみんなで話し合って。その結果、感染症対策規制の緩和タイミングで作り始めた「心音」は、未来に向けて歌った楽曲であり、それを今の僕らが届けることにすごく意味があると感じたんです。僕らはリリースイベントで全国各地をまわらせてもらっていたんですけど、ただ単に“新曲ができました”という気持ちではなかったんですね。“やっとファンの人たちと会えた”という嬉しさがある。“ひとりで飲み込んでいた痛み 聞かせてよ 押し込めるしかなかった涙を ほどいてよ”という「心音」Dメロの歌詞は、僕らの本心そのもの。それぞれの感情をアンセム(合唱)に乗せて放ってほしいし、みんなで歌えることの喜びを日々感じています。

MASATO:「心音」という曲は、たくさんのことが奪われて、失った期間があったからこそできた曲でもあると思います。同時代に同じ苦しさを共にした人たちと想いを分かち合う…この時代を歌うことはミュージシャンにとって必然なんだと思うんです。というのも、このコロナ禍という苦しい時期に、それぞれがすべきことをしたり、自問自答しながら生きてきた。生きることに精一杯な中で、“それでも音楽は必要なものだ”という言葉が綺麗事のように聞こえる瞬間があったかもしれない…不要不急という言葉ですよね。僕自身も悩みましたし。「心音」は揺らぎそうになった自分を許してあげられるきっかけになった曲なんです。ミュージシャンとして溜め込まざるを得なかったフラストレーションを、お客さんと一緒にアンセムすることで解き放つことができる。苦しい時期すら肯定できるから。


──勇壮な曲ではなく、スタイリッシュでウォームな楽曲に合唱を入れ込むセンスが光りますし、離れていった人のことも思いやる気持ちが感じられてグッときました。皆さんがおっしゃったように歌詞にも注目です。

U:僕らの本心をそのまま書いた歌詞です。たとえば、僕らにとってCD特典会はオマケではなかったんです。本当に大事な時間だった。来てくれた人と話したり握手することが…ファンの方よりも僕らのほうが嬉しいくらいな(笑)。そんな大切な時間がなくなってしまったことが、しんどかった。MASATOも言ってくれましたけど、そういう期間を抜けたからこそ書けた前向きな歌詞なんですよね。パンデミックを経験した僕ら世代は、ライブで客席から声を発することが当たり前ではないということに気づいている。「心音」はそういう意味で、みんなが作る曲。そのことをこれからもっと実感していきたいですね。

──「心音」をはじめとして、アルバム『Bell』には想いの込められた曲が、曲調のバリエーションも豊かに全9曲収録されています。それぞれ想い入れの強い曲を挙げていただくとすると?

MASATO:強いて挙げるなら、「ラブレター」ですね。以前からずっと制作を共にしてきた事務所の先輩シンガーソングライターの上村昌弥くんと一緒に作った曲で、デモ自体は2年前くらいから作り続けていたんです。その間、配信シングルのリリースもあったけど、シングルのテーマに合わないということで出せなくて。だから、ずっと温めてきたバラードを『Bell』に収録することができて嬉しい。wacciの橋口(洋平)さんが書いてくださった切ない失恋バラード「あかり」との差別化を図ろうというのがあったんですけど、そもそも僕が作っていたときも片想いとか失恋といった悲しいテーマではなかったので。2人が温かい時間を共にしている両想いの曲にしたいと思っていたんです…僕自身がそういう状態なわけじゃないんですけど(笑)。

U&REI:ははははは! つらいなー(笑)!


▲MASATO

MASATO:僕、夏に冬の曲を作りたくなってしまうようなところがあるから(笑)。「ラブレター」はもともと、両想いをイメージして制作されたものが形を変えて、ファンの方に向けて愛を歌う曲…そういうラブソングに辿り着けたことに意味があったと思うんです。自分たちが心の底に持っている感謝の気持ちを言葉に変えて、アルバムの最後に伝えられたことは、すごく自分たちらしいなと思います。

──染みる1曲ですよね。UさんはMASATOさんのイメージを聞いてから歌詞を書かれたのでしょうか?

U:MASATOと昌弥くんが作ってくれる曲は温かさというか、“想い合っている2人”が浮かんでくるので、イメージとかは聞かずにメロディーから浮かんでくる言葉を書きました。そのうえで今回は、当たり前に思っていたことが当たり前ではないということ、幸せだった風景、伝えないといけないこととかをたくさん思い浮かべて、それを言葉にしていきましたね。僕ら自身、もっと上にいきたい気持ちはもちろんあるんですけど、この曲は特に、今、来てくれている人への感謝です。「ラブレター」はラブソングであり、やっぱりラブレターなんです。

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