【ライブレポート】森 大翔、20歳の誕生日を迎え次のステージへ「今という時間を噛み締めて進んでいける」

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森 大翔が6月9日、初のワンマンライブ<69 Jewel Beetle>を、東京・Shibuya eggmanで開催した。ここでは、イベントのオフィシャルレポートをお届けする。

◆ライブ画像

今回のライブのセットリストは、5月31日にリリースされた1stアルバム『69 Jewel Beetle』に収録されている楽曲で構成された。このアルバムに収められている楽曲のほとんどは、森が2022年の春に、地元・北海道から上京した後に制作されたものであり、それ故に今回のライブは、森の最新のモードを色濃く反映した公演となった。また、ライブが行われた6月9日は、森の20歳の誕生日であり、その意味で今回のライブは、彼の10代の歩みの集大成の場であったともいえる。そうしたいくつもの意義が重なったメモリアルな一夜の模様を振り返っていく。


大きな拍手と歓声を受けながらステージに登場した森は、簡単な挨拶を挟み、さっそくアルバムの1曲目を飾るインストナンバー「Prologue〜drift ice〜」を奏で始める。左手の高速ハンマリングを駆使したブルージーな響きがとても美しく、また、彼がアコースティックギターを懸命に引き倒す姿は、華と気迫の両方を感じさせる。まさに、圧巻の幕開けだ。

続けて、エレキギターに持ち替えて「台風の目」へ。音源ではストリングスの調べが大々的にフィーチャーされているが、今回はサポートメンバーが打ち鳴らすバンドサウンドを全面に打ち出したアレンジだ。森とバンドメンバーの息はぴったりで、何より、ダイナミックに躍動するバンドサウンドに乗せて届けられる歌のたおやかなメロディーが深く心に沁み入る。

随所に挟み込まれる森のギターのプレイも鮮やかに光っていて、改めて、彼のシンガー&ギタリストとしてのポテンシャルの高さに圧倒される。「すれ違ってしまった人達へ」では、イントロや間奏で超高速フレーズを笑顔で弾き倒しつつ、一方で歌のパートでは、全方位に開かれた輝かしいメロディーに乗せて、フロア全体に晴れやかなフィーリングを共有していく。言葉にできない感情を伝えていくような雄弁なギターソロも見事だ。

最初のMCパートに入ると、森は、既に感極まって泣きそうになっていることを明かした。そして、今回の初めてのワンマンライブがソールドアウトとなったことを説明した上で、目の前の一人ひとりの観客に向けて歓びと感謝の想いを丁寧に伝えた。彼の等身大の言葉を受けて、フロアから温かな拍手が巻き起こる。

次に披露したのは、上京後に孤独を感じていた時に書いたという「明日で待ってて」だ。森は先ほどのMCで、自らが書いたこの曲に自分自身が助けられたことを振り返っていた。特に、《例えば君と僕が/離れていたとしても/僕ら背中合わせで/同じ今を生きていて》というAメロを書いた時は、気持ちが昂るあまり発熱してしまったこともあったという。そうした森の説明によれば、この楽曲は極めてパーソナルな心情をもとに作られたものであるということになるが、結果的には非常に普遍的な響きを放つポップソングに仕上がっていて、ライブで聴くとその温かな普遍性がさらに浮き彫りになるように感じた。

森自身がそうであったように、この歌に救われるような気持ちになった人はきっと少なくなかったはずだ。彼のソングライターとしての力量に改めて驚かされるような素晴らしい名演であった。


キレの良いイントロから幕を開けたブルース曲「オテテツナイデ」では、重厚なバンドサウンドの中で、時折ファルセットを交えながら強靭なメロディを情熱的に歌い上げてみせる。そして続けて、その熱量を引き継ぐ形で、爆速ロックンロールチューン「最初で最後の素敵な恋だから」へ。森の熱烈な想いに応えるように、フロアからはたくさんの拳が上がり、また、凄まじいスピードに負けないような高速の手拍子が巻き起こる。

会場全体の一体感がぐんぐんと高まっていき、森の歌やギタープレイにもさらに熱がみなぎっていく。これこそ、ライブならではのステージとフロアの熾烈なコミュニケーションだ。まるでリミッターがぶっ壊れてしまったかのような凄まじい2連打であった。

2回目のMCパートでは、この日20歳の誕生日を迎えたことを伝えると、フロアから大きな拍手と祝福の声が飛び交った。そして森は、これまでの10代を振り返りつつ、いろいろな出会いがあったからこそ今の自分があると語った。地元・北海道の景色との出会い。大切な人たちとの出会い。そうした数々の忘れられない出会いの中でも、彼にとって最も重要な出会いは、音楽との出会いであったという。そして彼は、「自分自身が音楽に救われてきたからこそ、次は自分が“音楽”になって誰かを救いたい」という胸の内の想いを伝えた。その言葉に続けて、一人一人の観客に優しく語りかけるように「歌になりたい」を披露する。

彼いわく、この曲は、「誰かに届けたい」という明確な意志をもって作った初めての楽曲であるという。《この歌が届くといいな》という深い想いが、温かなメロディと相まって心の奥底まで優しく染み渡っていく。自分自身から他者に、そしてその先に待つ広い世界にベクトルが向いたこの曲は、彼のポップアーティストとしての歩みにおいて非常に大きな意義を持つ楽曲であり、今回のパフォーマンスは、今後のさらなる躍進を確信させてくれるような感動的な名演であった。

ライブは、いよいよクライマックスへ。美しいピアノソロに導かれるように幕を開けた「たいしたもんだよ」では、切れ味の鋭いラップと、空高く突き抜けるような鮮烈な歌のメロディによって、フロア全体に果てしない高揚感が満たされていく。

「剣とパレット」におけるラップや歌、ギターソロも圧巻で、また、激しく明滅するライティング演出と相まって、彼のロックスターとしての佇まいが際立っていたように思う。その堂々たる姿に、思わず息を呑んだ。

本編を締め括ったのは、大切な故郷を思いながら書いたという「いつか僕らは〜I Left My Heart in Rausu〜」だ。「思い出や記憶は、ずっと音楽の中に残り続けると信じている」「そう思えたら、今という時間を噛み締めて進んでいける」森は、この曲を披露する前にそう語っていたが、それは、まるで自分自身を奮い立たせるための言葉のようだった。

何よりも印象的だったのは、《"今"がこんなにも愛おしくなる》と歌う時に、彼が右手で自分が立つステージを指差していたことだ。大切な故郷の思い出や記憶を音楽に託した上で、今この瞬間を大切にしながら未来へ向けて力強く歩んでいく。そうした彼の揺るがぬ決意に触れて、強く心を動かされた。

アンコールでは、まず、高校生時代、札幌で下宿生活をしていた時に書いたという「日日」をアコギ弾き語りで披露してみせる。そして、再びバンドメンバーをステージに迎え入れた後、11月に東京と大阪でワンマンツアーを開催することを発表した。観客からの大きく温かな拍手を受けた後、「音楽を通して、また出会えたら嬉しいです」という言葉と共に披露した「君の目を見てると」で、この日のライブは鮮やかな大団円を迎えた。


退場しようとするも、いつまでも鳴り止まないフロアからの拍手を受けて、森は、「最高の誕生日でした」「また、どこかでお会いしましょう」と感謝を伝え、深々と頭を下げてステージを去っていった。

総じて、これまでの10代の歩みの集大成でありながら、それ以上に、これから先の20代以降の歩みが楽しみになるような、とても未来志向のライブであったように思う。森が今回のワンマンライブを通して観客から受け取ったエネルギーは相当に大きかったはずで、きっと彼はこの日を経て、これからも変化と進化を重ね続けていくはずだ。今まさに始まったばかりの彼の20代の歩みに、とても大きな可能性と希望を感じる。

取材・文◎松本侃士
撮影◎瀬能啓太

ワンマンライブ情報

2023年11月22日(水)東京・渋谷WWW
2023年11月24日(金)大阪・梅田 Shangri-La
※チケット発売などに関する詳細は後日発表

ライブ情報

<JOIN ALIVE2023>
2023年7月15日(土)、16日(日)
北海道・いわみざわ公園
OPEN 9:00 /START 11:00
※雨天決行
※森 大翔は7月16日(日)に出演
https://joinalive.jp/2023/


<FUJI ROCK FESTIVAL ‘23>
2023年7月28日(金)、29(土)、30(日)
新潟・湯沢町苗場スキー場
※森 大翔は7月29日(土)苗場食堂に出演
https://www.fujirockfestival.com

リリース情報

■1st Album『69 Jewel Beetle』

2023年5月31日(水)リリース
M01: Prologue〜drift ice〜
M02: たいしたもんだよ
M03: 剣とパレット
M04: 明日で待ってて
M05: オテテツナイデ
M06: すれ違ってしまった人達へ
M07: 歌になりたい
M08: 台風の目
M09: 最初で最後の素敵な恋だから
M10: いつか僕らは〜I Left My Heart in Rausu〜
M11: Epilogue〜evening calm〜
--Bonus Track(CDのみ収録)
M12: 日日
M13: 君の目を見てると

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