【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞バックドロップシンデレラ、「言ってもいいですか？俺はハイスタと同じフェスに出たぞ！」

FOMARE、Dizzy Sunfistとストレートに歌を届けるバンドが2組続いた後、序盤からいきなりクセモノという言葉がふさわしいバンドをぶつけてくるところが、ある意味、＜SATANIC CARNIVAL＞のおもしろさかもしれない。それが06年結成のバックドロップシンデレラだ。

◆ライブ写真

奇妙キテレツなそのバンド名もさることながら、アフロヘアとヒゲがむさくるしいスカート姿の男性ギタリスト（豊島”ペリー来航”渉/G, Vo）、キンキンした歌声とデス声を使い分けながら、軽業師の如く裸足でステージを飛び跳ねるボーカリスト（でんでけあゆみ/Vo）、手数の多さとは裏腹にジャストなプレイで演奏を支える見た目は完全にヤン…いや、とっぽいドラマー（鬼ヶ島一徳/Dr, Cho）、そこになぜかセクシーな女性ベーシスト（アサヒキャナコ/B, Cho）が混じっているという4人組。そんなビジュアルと言うか、バンドの在り方がまずただ者ではないと思わせるが、そんなバックドロップシンデレラを観客が手放しで大歓迎してしまうところに＜SATANIC CARNIVAL＞の懐の深さを感じずにいられなかった。



その瞬間は、でんでけあゆみがいきなりフロアにダイブした1曲目の「バズらせない天才」から「HATEです」とダンサブルなビートを持つパンク・ロック・ナンバーをたたみかけ、観客を踊らせた直後、3曲目の「フェスだして」の曲中に訪れた。

「去年、サタニックに呼ばれなかったから焦って、俺達のサタニック・フィーバーは終わっちまったと嘆いていたら、今年呼んでもらえた。でも、わかったよ。油断してたらすぐに呼ばれなくなるフェスだってことが！　だから、今日は俺達のライブで足ガクガク、声をカスカスにして、残りのバンドを楽しんでもらいたい！　死ぬほどデカい声で歌ってもらえますか!?」

そんな豊島の呼びかけに応え、観客が突然、大きな声で歌い出したのだ。そして、豊島がクラブイベント＜LONDON NITE＞で聴いた「SATURDAY NIGHT」のカバーを聴いて、Hi-STANDARDを知り、『GROWING UP』を買ったという20年前のエピソードを語った後に言い放った「それがいまだに続いている。言ってもいいですか？　俺はハイスタと同じフェスに出たぞ！」という言葉が観客の気持ちに、さらに火をつけた。




その興奮を観客がウォール・オブ・デスにぶつけた「本気でウンザウンザを踊る」からの後半戦、観客の盛り上がりは最高潮に。「月あかりウンザウンザを踊る」では、観客が肩を組み大きな円陣ができあがった。モッシュ、ダイブはもちろん、前述したウォール・オブ・デス、そしてこの大きな円陣。「2023年のライブシーンは踊った奴がエラいのだ」と豊島は言ったが、それらはこの3年、目にすることができなかったものだ。＜SATANIC CARNIVAL＞が本当の意味で戻ってきた。そう実感した人は少なくなかったに違いない。

「サタニック出演は今回で4回目。僕ら、サタニックをホームと呼んでもいいですか？」というでんでけあゆみの問いかけに観客が歓声で応えた。「サタニックの仲間に入れてもらえてうれしいです！」（でんでけあゆみ）



ラストナンバーは、エモい歌を持つスカパンク・ナンバー「さらば青春のパンク」。観客が大きな声で歌うシンガロングが会場中に響き渡った。

取材・文◎山口智男
撮影◎瀧本“JON”...行秀