【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞AFJB、「俺達のライブは好きに暴れていい」

インプロを思わせる爆音の演奏から1曲目のラップ・ロック・ナンバー「DA BOMB」になだれこんだのは、AFJB。清水英介（Vo, G）、西口直人（B, Cho）、増子央人（Dr, Cho）からなる3人組ロック・バンド、Age Factoryとラッパー、JUBEEによるオルタナティブ・ユニットだ。

◆ライブ写真

＜SATANIC CARNIVAL＞出演に繋がる登龍門的なイベントという意味合いもあったに違いない2022年10月30日開催の＜SATANIC PARTY＞から、見事今回＜SATANIC CARNIVAL＞に出演を果たした彼らが、どれだけの意気込みでこのステージに臨んだのかは、「DA BOMB」から、JUBEEと清水がともに声を上げた「A.F.J.B.」とたたみかけ、それでも「俺達のライブは好きに暴れていい。まだまだ足りない。一つになった瞬間、最高になるから今日はそれを目指します」と言ったJUBEEの言葉からもしっかりと伝わってきた。





「ここからもう一段階上げていきます！」とJUBEEが声を上げ、ハードコアを思わせる轟音のギター・リフとともにJUBEEのシャウトが炸裂する「GOD」からラッパーのkZmをゲストに迎えた「DENGEKI feat. kZm」に繋げると、観客のダイブが始まった。その光景を目の当たりにしたJUBEEが快哉を叫ぶ。「ロックの景色を見せたいと思って、kZmを呼んだんだけど、たぶん、あいつ食らってたと思う！」──選曲の妙なのか、メンバー達の肩の力が抜けたのか、そこからライブの流れが変わったのは明らかだった。

「今日、楽しみにしてきたんでしょ。普段、仕事がんばってるんでしょ。だったら、ムカつくこともあるじゃん。今日はそれをこっちにぶつけてこい！」──レゲエ風のイントロからテンポアップして、キャッチーな歌を聴かせるロック・ナンバーに変わる「Splash!!!」、アンセミックなポップ・ナンバーの「SCKOOL」と繋げ、ゴリゴリのラップ・ロック・ナンバーだけにとどまらない曲の振り幅を印象づけながら、徐々に観客の気持ちを一つにしていったタイミングで、ダメ押しで披露したのが、清水のリラックスした歌にJUBEEがコーラスを加える「Bad Morning」。

「みんなで歌って、次、やって来る“Bad Morning”を忘れよう。忘れるくらい大きな声で歌って！」とJUBEE。レイドバックした魅力もあるミッドテンポの演奏を、さっきまでモッシュ・ダイブしていた観客が手を振りながら聴きい光景は、大きな一体感を感じさせるという意味で、まさにアンセミックという言葉がふさわしかった。

思うに序盤は、ちょっと肩に力が入りすぎていたんじゃないか。しかし、5年前、幕張メッセで開催された＜Vans Warped Tour Japan 2018＞でリンプ・ビズキットとKORNのライブを見て、幕張メッセでロック・バンドをやりたいと思ったというJUBEEのエピソードを聞いたら、肩に力が入るのも大いに頷ける。



「今日、幕張メッセでライブができました！」──再び快哉を叫んだJUBEEは、しかし、満足したわけじゃないと言葉を続ける。「向こう（SATAN STAGE）にも立ちたいし、ミクスチャー・ロックのかっこよさを、ヒップホップの連中にもおまえらにももっともっとわからせたい。まだまだやるべきことがある。今後もついてきてもらえたらうれしいです」


最後に演奏したのは、「Starlight」。JUBEEと清水が歌を繋げるエモーショナルなオルタナ・ロック・ナンバーを、曲の後半、JUBEEのラップがぐっと盛り上げる。そして、メンバー達が重ねるアンセミックなコーラスに応えるように観客は拳を上げたり、ダイブしたり、それこそJUBEEが言ったように好きなように暴れながら存分に楽しんだのだった。


取材・文◎山口智男
撮影◎岸田哲平