【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞Track's、活動休止からの復活ステージ「恩返しだと思ってここに立ってます」

ライブ直前、まだ薄暗いステージにメンバーが登場すると、フロアから熱っぽい歓声が起きた。次にEVIL STAGEに登場するのは、静岡発の3ピースメロディックパンクバンド・Track’sだ。2022年11月に活動を休止してから約半年、いよいよこのステージが復帰の舞台となる。それを知る観客からは、ひさびさのライブを祝する手拍子、拍手がどんどん大きくなっていく。

◆ライブ写真

「Track’s、よろしく」と生田楊之介（Vo, G）が挨拶をして、ゆったりとギターをかき鳴らしながら、「Shade Sun」をスタートする。大村準太（Dr）がどっしりと響かせるドラムと、メロディに沿うベースをプレイし、また歌のハーモニーも聴かせる内田優貴（B）、歌心のあるメロディを紡いでいく澄んだ生田のボーカルによるアンサンブルが、会場を明るく染めていく。


ミディアムテンポの曲からのスタートがドラマティックで、また生田のよく通るハイトーンがEVIL STAGEを超えて遠くへ飛んでいくのだろう、声に誘われるように観客の数が続々と増えていく。曲中には「帰ってきたー！」と生田の叫び、観客が喜びの声を重ねるエモさ満点のシーンもあった。


が、そこに浸ることなく、今度は馬力をあげて「17 years」「Magic」とハイスピードな曲を連投し、観客をジャンプさせ、エモさが染みた会場を一気にもみくちゃにしていく。そんなフロアを見るのもまた楽しそうで、ステージの3人から笑顔がこぼれる。そして気持ちよく滑り出した「SURF」に合わせて、会場が熱気を帯びていった。


改めて挨拶をした生田は、「ライブは楽しい」と語る。「半年くらいライブをしていなかったけど、サタニックが誘ってくれました。俺らにできるのは、ぶち上げていくことくらいなので、ぶち上げていきます」と生田が宣言し、「夏が来たね」と言ってチルアウト感満載のパワーポップ「SUMMER」を、そして「Winter I feel blue」ではシンガロングを巻き起こし、「歌ってくれ！」とさらなるシンガロングチューン「Before the night ends」を続けていく。


そしてここからは高速メロディックパンクゾーンへ突入して、ブライトなメロディが冴える「Open」や「DKNK」、大合唱を生んでいく「Special idea」やステージ前方がもみくちゃになっていく「Like a course」が続く。観客の声やつきあがるコブシが混じり合って、演奏もどんどんパワフルになっていくのがわかる。


生田は「超楽しい、ありがとう」といって、活動を再開するきっかけをくれた＜SATANIC CARNIVAL＞に改めて感謝を伝えた。また「活動休止中も誘ってくれた仲間のバンドや先輩たちもたくさんいて。それを断ってこのステージに立つのはどうなのかなと思ったけど。恩返しだと思って、ここに立ってます」と続けた。たくさんのライブ猛者が集結するこのフェスで、そしてたくさんのパンクキッズに活動再開の瞬間に立ち会ってもらったことは、彼らなりのステートメントだろう。このライブだけでなく、来年には新しいアルバムを出したいし、この先もライブはたくさんしていくと未来のビジョンも語ってくれたのも嬉しい。

「サタニックありがとう、友だちや仲間もありがとう」と生田は声を張り上げると、ラストは「Maybe」「GreenHouse」の大合唱で締めくくった。


取材・文◎吉羽さおり
撮影◎半田安政