【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞MONGOL800、「沖縄よりアツいぞ」

幕張メッセ・SATAN STAGEに沖縄のさわやかな風が吹き始めた。かりゆし姿の上江洌清作（B, Vo）に、沖縄のカチャーシーも織り交ぜたSE。いつもだったら、高里 悟（Dr, Vo）やサポートのKuboty（G, Cho）もカチャーシーを踊りながら登場するのだが、この日は一味違った。

◆ライブ写真

清作の合図でSEがカットアウトされると同時に、一人、歌い始めた。そこに徐々に悟とKubotyの演奏が加わり会場に広がったのは「himeyuri〜ひめゆりの詩〜」。沖縄戦の終戦日、慰霊の日を6月23日に控え、平和への願いを言葉のひとつずつに込めて歌う清作。また、6月というのはMONGOL800のサポートメンバーも務めていたシンガーソングライターのヨースケ＠HOMEこと宮内陽輔が亡くなった時期（2019年6月20日）でもある。平和と命の大切さを歌いながら、ヨースケ＠HOMEとの様々な出来事や思い出も蘇ってきたのだろう。こみ上げて、歌えなくなるときも。しかし、だからこそハートフルな曲となって響く。



「ピース！」歌い終えて清作が平和を改めて叫び、気持ちを整えるように挨拶。そして「あなたに」からライブは軽快なモードに突入した。誰もが知る曲だけに、のっけから大合唱のオーディエンス。清作のメインに、悟とKubotyで三声ハーモニーで聴かせる技は、さすがMONGOL800だ。そのメロディに引き込まれるばかり。

「＜SATANIC CARNIVAL＞、お久しぶりです。楽しんで……ますね！　もっともっと楽しみましょう。一緒に遊びましょう」


そう言いながら清作が歌やハーモニーでコール＆レスポンスを起こし始めると、会場には笑顔も広がっていく。それに誘われてなのか、ステージに突如、現れたのはピチピチなコスチュームに身を包んだマッチョ野郎＝粒マスタード安次嶺。今ではMONGOL800のライブに欠かせない盛り上げ役と言ったほうがいいかもしれない。やたらご陽気なダンスをステージのセンターで踊りまくり、笑いもかっさらう粒さん。ステージにはサックスとトランペットプレイヤーも加わり、バンドサウンドもどんどんゴージャスに。管楽器プレイヤーはダンスも決めながら吹くから、パーティーが始まったような楽しさ。オーディエンスも粒さんの真似をするように腕を左右に振ってみたり、清作と一緒に歌ったりと、休む暇なし。


「最高じゃないですか。サタニックでパーティというのも」

そう言いながら「PARTY」など、ビッグバンドや50'Sの旨味を思いっきり吸収したサウンドを展開するMONGOL800。ごきげんなサウンドや、各メンバーのカッチョいいソロ回しとくりゃ、その場にいる誰もがツイストダンスやモンキーダンス。もちろん粒さんもステージのセンターに陣取って、俺が主役だ、とばかりに踊る。

「沖縄よりアツいぞ。まだまだイケますか」そう言いながら突入したのは人気ナンバー「小さな恋のうた」。すでに20年以上も前から歌い続けてきた、老若男女に愛されている名曲だ。バンドの放つ演奏に合わせ、自分の歌とばかりに、オーディエンスそれぞれが気持ちを込めて思いっきり歌う姿は、実に気持ちよさそう。全員の大合唱が幕張メッセを揺るがし続けた。


そしてラストを締めくくるのは「DON'T WORRY BE HAPPY」。各メンバーのソロもフィーチャリングしてカッコいい展開も盛り込みつつ、やはり、出てきちゃったのは粒さん。ちょっとお下劣な動きもあるダンスソロまでやっちゃうという荒ワザ。清作の1コ上の先輩という間柄だそう。MONGOL800のステージには沖縄の風ばかりか、先輩風まで吹いていた。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎中河原理英