【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>Ken Yokoyama、「今日は今日ででかいありがとうを言っておきたい」

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「よし。東京のバンド、Ken Yokoyama始めます!」と横山健(Vo, G)がギターでコードをかき鳴らしながら歌い始めると、いきなり客席からシンガロングの声が沸き起こった。1曲目は「Walk」。

◆ライブ写真

拳を振る者。ダイブを始める者。そして、目をつぶって、体を揺らす者。観客それぞれに、幕張メッセに戻ってきた<SATANIC CARNIVAL>1日目のトリを務めるKen Yokoyamaのライブが遂に始まった歓びを味わっている。そこから繋げたのが「4Wheels 9Lives」。サビに入る直前、横山が上げた「Come on!」という声に応え、観客が「Walk」に続いて、またシンガロングする。

コロナ禍の中で逡巡しながらKen Yokoyamaがやっていたライブも、キャリアを重ねてきた円熟味が滲むという意味で決して悪くないと思っていたが、この光景を見てしまうと、“やっぱりこれだよ、これ。これを待っていたのだ”と思わずにいられなかった。


「あぁ、やっぱ声を出せるって最高だな!」と横山が快哉を叫ぶと、会場のあちこちから「ウォー」「キャー」という歓声が上がる。

「富士急ハイラインドもよかったけど、やっぱ<SATANIC CARNIVAL>はこれだって気がするよ! 俺達はコロナ禍の間にミニアルバム(『Bored? Yeah, Me Too』)とフルアルバム(『4Wheels 9Lives』)を出しました。(声を出せないコロナ禍中に出したにもかかわらず)一緒に歌える曲がいっぱい入っています。今日はみんなに一緒に歌ってもらおうかな」──横山健


そんな前置きをしてから演奏したのは、『Bored? Yeah, Me Too』収録の「Still I Got To Fight」。観客がシンガロングの声を上げたことは言うまでもない。この日、横山、Hidenori Minami(G)、Jun Gray(B)、Ekkun(Dr)からなるKen Yokoyamaが披露したのは、新旧の代表曲をおりまぜた全13曲。そのすべてで横山は「Come on」「Singin!」「Singin again!」と観客に呼びかけ、全員がそれに応えた。

イントロを聴いただけで歓声が沸き、筆者の隣にいる観客が「ヤバい」とため息をつくように言ったのは、Hi-STANDARDの「The Sound Of Secret Minds」。


「明日、ハイスタが出ます。だから、(この曲を)今日は俺達がやる必要ないと思ったけど、俺達、3月からツアーをやっているんだけど、3月って言ったら恒(恒岡章)がなくなった後だ。セトリに入れてなかったけど、やりたいと思って、毎晩やっていた。今日やるかどうかメンバーみんなと話したけど、やっぱり俺はやりたいと思って。それで今日を区切りにさせてもらう。今後は気が向いたらやるけど、恒の追悼のつもりでやるのは今日最後にする。あー、今の話せてすっきりした!」──横山健

そこから「食らってくれ!」と披露した「Punk Rock Dream」では、コロナ禍以前にやっていたようにマイクを客席に投げ込んで、観客と一緒に歌い、横山はギターの指板の上で指が踊るようなギターソロを弾いた。



「先月、リリースした2曲入りのシングルからやるよ。一緒に歌ってくれ」と言った「Better Left Unsaid」は、マイナー調になるサビのメロディがマージー・ビートを思わせるパワーポップナンバーだ。そこに繋げた「I Won't Turn Off My Radio」では、今日イチのシンガロングと同時に今日イチのダイブが起こった。横山の弾き語りと掛け合うように「Radio, Radio」と歌う観客の歌声が会場中に響きわたったアウトロは、<SATANIC CARNIVAL 2023>初日のハイライトとして、記憶と記録に残ることだろう。

「こんなにたくさんの方が残ってくれるなんて本当にありがとう。数年前は考えられなかった。(コロナ禍は)まだ終わってないのかもしれないけど、でも、事実この光景があるっていうのはうれしいじゃないか。ありがとう。感謝の曲をやるよ、家族、友達、今日いてくれる君らのおかげで音楽ができているという柄にもない歌をやるよ」と披露したのは、リラックスしたポップ・ナンバー「I Love」。


すでにお伝えしてきたように1曲1曲、曲の意味や曲に込めた思いを横山がていねいに語ったのは、セットリストに選んだ1曲1曲に今、演奏する意味や理由があるからだ。

「俺達Ken Yokoyamaのテーマソング」と言った「Let The Beat Carry On」を演奏する前に「続けていこうよ。続けて、続けて、自分ができなくなったら誰かに教えて、そいつが続けて、続けて。そうやって俺達は文化を繋いできたんじゃないかな」と語ったのは、我々の文化がコロナ禍によって、いや、時代のムードによって必要ないものとされかけたからなんじゃないかと思えたのは、<SATANIC CARNIVAL>が幕張メッセに戻ってきたタイミングだからかもしれない。

再びマイクを客席に投げ入れ、「俺達で歌おうぜ。下手でも何でもいい。声を張ってくれ!」と言った横山はトレモロピッキング、スウィープを交えながら、エモーショナルなソロをキメる。


「いつも見てくれる方はまた会おう。なんかハズミで見てくれた方もまた会おう。明日には何があるかわからない。次のライブの予定は決まっているけど、元気で立てるかはその日になってみないとわからない。だから、また会おうと約束しつつ、今日は今日ででかいありがとうを言っておきたい。そういう歌をやるよ。持って帰ってくれ」──横山健

最後の曲と言いながら「While I’m Still Around」を演奏したにもかかわらず、「もう1曲どうだい? 大事な曲をやり忘れてたよ!」と横山が言ったのは、天然だったのか、演出だったのか、それとも彼一流のジョークだったのか。ともあれ、「1-2-3-4!と俺が言ったら何て言うんだ?」と観客にシンガロングを求めながら、「さっきDragon Ashの「FANTASISTA」を聴きながら、この人達すごいと思った。君らのことだよ! 入れ替わったのか? 勝負じゃないけど、負けてるぞ!」と発破をかけ、渾身のシンガロングを引き出してから、「Believer」で<SATANIC CARNIVAL 2023>の第1日目は見事、大団円を迎えたのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎岸田哲平、半田安政

■セットリスト

1. Walk
2. 4Wheels 9Lives
3. Still I Got To Fight
4. Ten Years From Now
5. The Sound Of Secret Minds
6. Punk Rock Dream
7. Better Left Unsaid
8. I Won't Turn Off My Radio
9. I Love
10. Let The Beat Carry On
11. Helpless Romantic
12. While I’m Still Around
13. Believer

■<SATANIC CARNIVAL 2023>

6月17日(土) 幕張メッセ国際展示場 9-11
6月18日(日) 幕張メッセ国際展示場 9-11

▼6月17日(土)出演者
AFJB
バックドロップシンデレラ
The BONEZ
Crossfaith
Dizzy Sunfist
Dragon Ash
ENTH
Fear, and Loathing in Las Vegas
FOMARE
ハルカミライ
HAWAIIAN6
Ken Yokoyama
locofrank
MONGOL800
ROTTENGRAFFTY
SHANK
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
Survive Said The Prophet
Track's
WANIMA
Prompts (O.A.)

▼6月18日(日)出演者
04 Limited Sazabys
10-FEET
coldrain
Crystal Lake
dustbox
Fire EX.
GUMX
G-FREAK FACTORY
花冷え。
HEY-SMITH
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS
マキシマム ザ ホルモン
NOISEMAKER
OVER ARM THROW
RAZORS EDGE
SAND
SHADOWS
SiM
Suspended 4th
Hi-STANDARD

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