【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞NOISEMAKER、「20年間止まらなかった俺達のありったけを食らってくれ！」

「サタニック、朝イチでやれんのか!?　着火しにきたぜ！」2日目のSATAN STAGEのトップバッターを任されたNOISEMAKERは、AG（Vo）が挑むように言った、その言葉通り1曲目の「NAME」からアンセミックなロック・ナンバーをたたみかけていく。

◆ライブ写真

「ジャンプ！ジャンプ！　よぉ、後ろまで届いているか!?」
「歌え歌え！　おまえらの歌だ！」
「20年間止まらなかった俺達のありったけを食らってくれ！」

自ら高く飛び跳ね、観客を鼓舞するように腕を振り回しながら歌うAGの言葉にもいつも以上に力が入る。

ラップロックの「SADVENTURES」、そこからぐっとテンポを上げながら、曲の中盤に差しこんだトラップ・パートで会場を揺らした「Something New」、HIDE（G）とYU-KI（B）が加えたコーラスが演奏を勢いづかせた「Flag」。NOISEMAKERが次々に繰り出すアンセムの数々はもちろん、前述したAGの言葉に応え、観客はジャンプ、ダイブ、シンガロング、ハンドクラップでバンドとともにライブを盛り上げる。




歪みと空間系の音色を使い分けながら、エモーショナルなフレーズを閃かせるHIDE、力強いピッキングで音色をドライブさせるYU-KI、そして、多彩な音色を鳴らしながらダイナミックなプレイでリズムを支えるUTA（Dr）──楽器隊3人の演奏ももちろん聴きどころだ。

「サタニック、幕張にお帰りなさい。やっぱりサタニックは幕張がぴったりですね。サタニックにはサタニックの3年間の戦いがあり、俺達には俺達の戦いがあり、みんなにはみんなの戦いがあり、いろいろ乗り越えてここに辿りついたと思います。いろいろな考えがあっていいと思うけど、普遍の（いや、この場合は不変か）ロックを聴いてきたからこそ、変わらなくていいこと、変えちゃいけないことがあると思います。朝イチからおまえらと取り戻しにきました。ロックバンドを、音楽を信じてきたおまえらと俺達。全部揃ってるぜ！」（AG）


観客の気持ちを一気に掴んでしまおうと4曲をほぼノンストップで披露してからようやくこの日のステージに臨む思いの丈を、AGは語った。そこから5月17日に配信リリースした「LAST FOREVER」──バックグラウンドにR&Bも持つNOISEMAKERらしいミッドテンポのロックナンバーを披露。そして、アップテンポの「MAJOR-MINOR」でエンディングまで突っ走るのかと思いきや、NOISEMAKERがラスト・ナンバーに選んだのは、彼らが持つポップな魅力をアピールする「Better Days」だった。

「明日はどうなるかわからないけど、明日もその先も、おまえら幸せになっちまえ！」（AG）

ひょっとしたら、今日1日、＜SATANIC CARNIVAL＞を楽しむ観客を送り出すような気持ちもあったのかもしれない。


眩い光が客席を照らす中、AGが声を上げる。「バンド最高！　音楽最高！　サタニック最高！」朝イチで観客の気持ちに火をつけるSATAN STAGEのトップバッターという大役を見事果たしながら、この日、1曲目から全曲それぞれに作ったと思しき映像とともにNOISEMAKERが印象づけたのは、アリーナ級にもスタジアム級にもなり得るアンセムを演奏するロックバンドのスケールと、そういうバンドが決して浮かない＜SATANIC CARNIVAL＞の懐の深さだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎中河原理英