【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞Suspended 4th、「思いを背負って何か人生を変えたい」

アグレッシブなパフォーマンスでパンクキッズの度肝を抜いた＜SATANIC CARNIVAL 2019＞のステージ以来、2021年、2022年と出演し、常連と呼んでいいバンドとなったSuspended 4thが再びこの幕張の地に帰ってきた。

◆ライブ写真

サウンドチェック時から熱量の高い観客が詰めかけ本番さながらに盛り上がっていたが、パンク、ラウド系バンドが並ぶ＜SATANIC CARNIVAL＞の中では少し毛色が違うとも言える彼ら。ロック、ブルース、ファンク等をルーツにした爆発的なアンサンブルとサウンドは、コロナ禍を経てさらにパワーアップしているのがわかる。

名古屋・栄のストリートでならした“魅せる”ライブは、コロナ禍でツアー等が中止に見舞われてもなお、バンドの主柱であるD.I.Y.精神で新たな企画や創意工夫で音を絶やすことなく活動を続けてきた。今年も＜SATANIC CARNIVAL＞含め、ジャンル問わず数々のフェスやイベント、対バンツアー等に名を連ねるバンドとなっているのは、その信頼の証だろう。何しろステージでの威力が凄まじい。


Seiya Sawada（G）による高速のギターカッティングから歓声が頂点に達した「ブレイクアウト・ジャンキーブルースメン」でスタートしたライブは、頭から終わりまで濃密で遊び心に富んでいて、どこの角度から見ても旨味しかないパフォーマンスとバンドアンサンブルで、聴き手の本能に訴えかける。



悪魔的に、グルーヴィにフロアを躍らせた後は、Hiromu Fukuda（B）のスラップベースが攻撃的に空気を振動させる「97.9hz」、そしてRiku Taira（Dr）の細やかさとダイナミズムとが冴えるドラムと、Kazuki Washiyama（Vo, G）、Sawada、Fukudaのフロント3人が織りなす鮮やかなで多彩な旋律がラテンサウンドをより高温にする「Vanessa」へと続いていく。


シンガロングをし、曲間にも大きな歓声をあげる観客にWashiyamaは「ありがとう。聞こえてます。4年ぶりに幕張に帰ってこれました。ここに立っていられるのもPIZZA OF DEATHのおかげです」と挨拶をする。もともとPIZZA OF DEATHや＜SATANIC CARNIVAL＞と縁ができたのも、自分たちのD.I.Y.フェス＜ストリートミュージシャンサミット＞でPIZZA OF DEATHのTシャツを着たことが目に留まったからだったと、Washiyamaはいう。


そして「そういうきっかけをくれるロゴだと思う。その思いを背負って、何か人生を変えたい」とMCをした。そこから繋いだ「INVERSION」から「GIANTSTAMP」への流れが最高で、とくにフロント3人がぐっと前面に出て繰り出す鉄壁のリフには、観客が歓喜の拍手を送った。


そして真骨頂は、歌心のあるゆったりとした、それでいてスケール感のある「Sky」から、ラストの「ストラトキャスター・シーサイド」へとぐんぐんと上昇していくダイナミズム。「あとは暴れるだけ。サタニックらしくいこうぜ」とスタートした「ストラトキャスター・シーサイド」では、プリミティヴなドラミングに観客の手拍子が重なり、そこに心拍数が跳ね上がるようなスラップギター、またギターふたりが横並びや向かい合った形でリフやフレーズの激しい応酬を繰り広げと、極彩色の音空間でフロアを飲み込んでいく。長い長いイントロ（といっていいのかすらわからないが）で観客を爆上げし、アグレッシヴに躍らせて恍惚の彼方へと吹っ飛ばしていくという、今回もまたステージに確実な痕跡を残したSuspended 4thだった。


取材・文◎吉羽さおり
撮影◎鈴木公平