【インタビュー 前編】百足&韻マン、若きラップスターが語る「大事なのは、ステージを下りた時にその人がどんな人間か」

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東京の百足と、大阪の韻マン。高校時代から数々のラップバトルで激戦を繰り広げてきた若きラップスターががっちり手を組んだ、それが百足&韻マンだ。YouTubeで1800万再生を突破(2023年6月現在)した超ヒット「君のまま」を筆頭に、まったく異なるラップスタイルの融合が生み出す刺激と快感は、すでにヒップホップのエリアを超えてJ-POP界へと広く浸透しつつある。

◆百足&韻マン 動画 / 画像

インタビュー前編では、百足&韻マンとはどんなユニットなのか? ユニット名の由来や出会い、それぞれの背景やふたりの制作方法について、初EP『MILLION』リリースを記念して二人に語ってもらった。


▲EP『MILLION』

   ◆   ◆   ◆

■めっちゃ波長は合うんですけど
■性格は全然違う、それが不思議


──最初に基本的なこと、聞いていいですか。アーティストネームの“百足&韻マン”は、ほかにグループ名を決めようという話はなかったんですか。

百足:それは二人で何回か話したんですけど、“百足&韻マン”という二つの言葉に力があるのかな?と。急にカッコいい名前とかにしたら、今までファンでいてくれた人たちが、なんか…。

韻マン:“百足&韻マン”のほうが、等身大やんな。カッコつけてないというか。

百足:しかも“百足&韻マン”って調べたら、“百足VS韻マン”という有名になったバトルも出てくるし、二人の曲も出てくるし。それでいいのかなっていうところもあります。



──二人がジョイントして音源になった最初の曲って、百足のアルバム『Episode III』(2021年8月発表)に入ってる「一人じゃない」と「夢物語」ですよね。その頃のエピソード、覚えてます?

韻マン:「一人じゃない」に関しては、そもそもムカちゃん(百足)のソロで出来上がっていた曲なんですけど。俺が好きすぎて、「この曲ヤバイ」ってずっと言ってたんですよ。大阪で、ムカちゃんが1週間ぐらい俺の家に泊まってる期間があって、その間ずーっと「一人じゃない」をスピーカーで流しながら聴いてたら、ムカちゃんが「入る?」って(笑)。

百足:そうそう。自分がストックとして作ってた「一人じゃない」をすげぇ気に入ってくれてて、それなら絶対一緒にやったほうがいいじゃんって。

韻マン:ガチで、そもそも俺が百足の曲をめっちゃ好きで、個人的に聴くんで。レジェンドとか、USのラップはもちろん聴くんですけど、わりと身内の、一緒にやってる地元のラッパーとか、百足とかばっかり聴いてて。身内の曲は真正面から聴けるというか、入ってきやすくて…何の話だっけ?

──「一人じゃない」をどんだけ気に入ったかと。

韻マン:そうそう。そもそも俺がムカちゃんの曲を好きで、その中でも「一人じゃない」をずっと聴いてて、「入る?」みたいな感じで入れてもらったというか。そのあと「夢物語」とか、「今の方が」とかは、1時間ぐらいで、その場のノリで出来上がった曲で。

百足:二人とも『高校生RAP選手権』で話題になって、“百足か韻マンか”みたいな感じだったんで。バックボーンも似てるんで、歌詞も似てくるというか、だからけっこうパンパン出来て、いつのまにか“百足&韻マン”で定着してたって感じです。



韻マン:本当にノリで出来てる曲が多くて、「君のまま」も、3年前ぐらいにノリで完成した曲で。「今の方が」も、「誰のせいに」っていう曲があるんですけど、それを録ってる日に「1時間ぐらい余ったから何かやるか」って出来上がった曲で。「アニメみたい」もそう。ほんまにノリやんな。

百足:こんなこと言っちゃうとアレなんですけど、「君のまま」も、お互いのヴァースはもう出来てたんですけど、スタジオの終電があって、あと20分しかないみたいな。でもヴァースの状態で持ち帰っても、楽しくないじゃないですか。やっぱり家で曲を聴きたいんで。「じゃあフック作るか。ムカちゃん入ってきて」って言われて、“♪最後に言ってよね、俺が好きだってさ”のところを5分とかで作って。

韻マン:「それ、めっちゃいいやん!」って。メロディは5分で出来て、レコーディングは20分で終わった。

百足:なので、「君のまま」が売れて最初にバーッと勢いがつきだした時とかは、不思議でしょうがなかったというか。だんだん有名になってから、なんとなく意味を持たせてるふうにしてきたけど、実は…っていう。

韻マン:そうそう(笑)。「君のまま」は、今出してるほうは、俺のヴァースを録り直してて。一個前のやつは、ヴァースを何回も変えたりしてるような、遊んでる感じの曲だったから、恥ずかしい話なんですけど、最後のヴァースの“人は尊い、I’m a cherry, sorry”のところの英語を、自分で何て言ってるかわからなくて(笑)。3年前に書いたリリックで、メモにも残ってなくて、そこをみんなで考察しながら、“I’m a child story”かな?とか言いながら。

──それはもう空耳アワー(笑)。

韻マン:結局、俺らも最初の歌詞がわかってなくて、どんな感じだったかわからないぐらい、ほんまにノリで出来た曲なんですよ。逆に考え込んで、“これ絶対バズるやろ”って自分が思った曲は、全然バズらなかったり。でも20分ぐらいで、超ラフにノリでやった曲が…。



──1800万再生されてるというのが凄いです。ここでちょっと遡って、出会いの頃の話も聞いていいですか。そもそもバトルイベントに出まくってた頃から、仲が良かったんですか。

韻マン:大阪と東京だから、普段は会わないんですけど、イベントでは仲良かったよな。

百足:一時期、大阪と東京でバトルイベントを毎週やってる時があって、その時に会う回数が多かったんで。知り合い以上、友達未満みたいな状態が1〜2年あって。『凱旋MC battle Specialアリーナノ陣2021』に出た時に、「そういえば俺たち、絶対曲作ったほうがいいよね。境遇も一緒だし」っていう感じですね。

──波長の合うところを、当時から感じていたと。

百足:めっちゃ波長は合うんですけど、性格は全然違うみたいな、それが不思議です。やっぱ似てるなと思うところと、全然違うなというところと。それが逆にいいんでしょうね。まったく違うタイプなんで、ジェラスとかもまったくない。同族嫌悪がないんで。

◆インタビュー【2】へ
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