【ライブレポート】TOMOOの歩んできた人生を辿る特別な夜

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東阪のNHKホールにて開催されたTOMOOのワンマンツアー<Walk on the Keys>。ツアータイトルはピアノの鍵盤(=Keys)は黒鍵白鍵で構成されていることになぞらえて、“人生は鍵盤の並びのように陰と日向の繰り返しであり、どちらもあるからこそ成立するものだ”という意味が込められている。彼女にとって史上最大規模のワンマンライブは、深淵から高く突き抜けた青空までも体験できるような、これまでの人生の軌跡と新しい未来を感じさせるポジティブな時間だった。

◆ライブ写真(35枚)

ストリングス、フルート/ホーン、バンドの織り成す「金色のかげ」のインストアレンジを経て、ステージ中央に配備されたグランドピアノの前にTOMOOが現れる。サポートメンバーとともに「オセロ」のイントロを弾き始め、歌い出す直前にすかさずマイクを手に持ちステージ前方へと躍り出ると、観客もそれをクラップで歓迎した。ハンドマイクで自由に身体を動かしながら歌う姿は、我々を広い世界へと連れ出すような軽やかなエネルギーに溢れる。「らしくもなくたっていいでしょう」のイントロでは完璧なタイミングでクラップを打つ観客の様子に驚きと喜びを見せ、冒頭3曲で力強く晴れやかにこの日の幕開けを飾った。



続いてキーボードの前に着くと、梅雨から夏へと移り変わる様子を4曲で表現するセクションへ。爽やかさと切なさを兼ね備えた「Shiosai」、雨上がりのムードを醸す「雨でも花火に行こうよ」などで、刻々と夏へと向かう様子を描いていく。ここ1年ほどのTOMOOのライブは、ドラマなどの映像演出をふんだんに用いたものも多かったが、この日の前半は照明演出とそのカラーリングが際立っていた。くすんだ青や桃色、エメラルドグリーンなど、柔らかさや深みを感じさせるものが多く、色の組み合わせも斬新かつキュートである。ポップネスを持ちつつも複雑に絡み合う感情を孕んだ彼女の音楽を、よりカラフルに映し出していた。


「いってらっしゃい」と「17」でしなやかかつエモーショナルに夏の風景に包み込むと、ステージに置かれた4本のルームライトの光が静かに灯る。グランドピアノの前に座ったTOMOOが観客へ「ここからしばらくひと休みしながら聴いてもらえたら」と着席を促すと、「いつか大人になったら連弾をしたいなと思っていた」と続け、サポートキーボードのメンバーと向かい合い“遠隔連弾”で披露したのは「ベーコンエピ」。彼女の歌とピアノに、煌びやかな高音のピアノが重なるのは連弾ならでは。歌詞に描かれた心情がより美しく彩られていた。

ステージにひとり残った彼女は、「今日この場所、この時間は何かと特別なので、普段のライブではあまり演奏しない懐かしい曲をやれたら」と告げる。そして10年前の今頃に制作したという「好きっていって」を弾き語りで届けた後に、東京NHKホールは彼女が中学3年生のときに人生で初めてライブを観に来た会場であること、その1年間が“光”を感じる期間だったことを明かした。すると彼女はさらに遡り、中学1年生と2年生が“陰”の期間だったと続ける。ここでふと気づいた。TOMOOは少しずつ、セットリストとMCで自身の時計を巻き戻している。


彼女は中学2年生のときに、友人からもらった手紙を読んで返信よりも先に曲が生まれたこと、それを学校の音楽室で友人へ弾き語りで聴かせ「音楽やらないの?」と言われたことがアーティスト活動を始めようと思ったきっかけであることを語ると、その友人に贈った曲であり、彼女にとって初めて人に聴かせたオリジナル曲である「ピアス」を披露する。大人の彼女に中学時代の彼女の姿や思いが重なり、友人の手紙や当時の彼女の気持ちを覗き見するような感覚になるほど、ピュアな感情がダイレクトに届いてくる。TOMOOの人生の分岐点という物語に、会場一帯が吸い込まれた瞬間だった。


そこから間髪入れずに陰と光が交錯する「ナイトウォーク」へつなぐと、バンドメンバーとストリングス隊が加わり「Cinderella」でさらに内省的な世界へといざなう。さらに「ロマンスをこえよう」では斜幕がステージを映写機のように映し出す演出が施され、より楽曲のロマンチシズムへと没入させた。そこからの「夜明けの君へ」への駆け上がり方は、この日のクライマックスと言ってもいいのではないだろうか。TOMOOにとって初の書き下ろし楽曲である同曲は、フレッシュな心情が言葉にも音にも瑞々しく反映されている。大人の彼女と少女の彼女が手と手を取り合い、彼女の歩んできた人生が波しぶきのように降り注ぐようだった。



「夜明けの君へ」について、映画の登場人物たちから言葉をもらいながら、10年間思ってきたことを曲にできたと感無量の表情を浮かべるTOMOOは、その楽曲をライブで聴いてもらえたことへの喜びを露わにする。すると再びハンドマイクになり、「ここからもう1回盛り上がっていきましょう!」と呼び掛けると13人編成で「HONEY BOY」を届け、「夢はさめても」ではさらにMVに登場したダンサーたちもステージに登場し、会場はより躍動感と鮮やかさを増していった。


同じメンバーで「Friday」を届けると、TOMOOに紹介されたメンバーからステージを去っていき、彼女はひとりグランドピアノの椅子に腰掛ける。そして<Walk on the Keys>というタイトルのもうひとつの由来が、10年前の18歳の誕生日に友人からもらった1枚のメモに描かれていた絵だと語った。草原に伸びる鍵盤の道と少女がカラフルな色づかいで描かれたその絵は、今も彼女の心のなかに飾られているという。この日のライブの演出も、そこから着想を得たものだと腑に落ちた。「わたしの人生は陰と日向の繰り返しで、ずっとわたしは光のことを、そして光に寄り添う陰のことを歌ってきたなとあらためて思います」と告げると、本編ラストに弾き語りで「金色のかげ」を届ける。彼女が曲に綴った思いは、今もなお彼女の心のなかで生き続けている──そう確信するほどに一言一言、一音一音が輝きを纏っていた。


アンコールでは1曲目に「I hope」を披露すると、曲が終わるやいなやバンドメンバー全員でバースデーソングを演奏し、ステージ袖からは巨大ケーキが現れる。6月28日はTOMOOの誕生日だ。「17歳のときからNHKホールで歌うのが夢でした。でもその夢を叶えさせてもらえたからうれしいというよりは、今みんなと一緒にいられることがめちゃくちゃうれしいです。この気持ちを20倍30倍にして音楽で返していきたいし、歩き続けた先でうれしい楽しい思い出を一緒に作れたらと思います」と笑顔で語ると「Ginger」で締めくくり、28歳の幕開けに陽だまりのようにあたたかく明るい歌を灯した。


ダンサーを交えたライブパフォーマンスなど、新たな試みを取り入れながら変わらないものを表現した<Walk on the Keys>。その道の先には、今年9月のメジャー1stフルアルバム『TWO MOON』リリースと、全国8公演を回る年またぎリリースツアー<TOMOO LIVE TOUR 2023-2024 "TWO MOON">が控えている。ピアノが彼女の前に現れたからこそ、人生に陰と日向があるからこそ、彼女は音楽を奏で続けてくることができた。彼女が月へ飛び立つまでの軌跡に浸る、とても特別な夜だった。

取材・文◎沖さやこ
写真◎Kana Tarumi

セットリスト

M1 オセロ
M2 恋する10秒
M3 らしくもなくたっていいでしょう
M4 Shiosai
M5 雨でも花火に行こうよ
M6 いってらっしゃい
M7 17
M 8 ベーコンエピ
M9 好きっていって
M10 ピアス
M11 ナイトウォーク
M12 Cinderella
M13 ロマンスをこえよう
M14 夜明けの君へ
M15 HONEY BOY
M16 夢はさめても
M17 Friday
M18 金色のかげ

ENCORE
M19 I hope
M20 Ginger

Major 1st Album『TWO MOON』

発売日:2023年9月27日(水)
【特設サイト】 https://tomoo-twomoon.com/
【CD予約】https://TOMOO.lnk.to/cd_twomoon

▼CD+Blu-ray / CD+DVD
品番:PCCA-06221 / PCCA-06222   
価格:4,950円 (tax in)

▼CD Only
品番:PCCA-06223  
価格:3,080円(tax in)

▼[CD収録曲]※順不同
「HONEY BOY」「Ginger」「酔ひもせす」
「オセロ」「17」「Cinderella」「夢はさめても」「夜明けの君へ 」  ほか
計13曲収録予定

▼[Blu-ray/DVD収録内容]
TOMOO 1st LIVE TOUR 2022-2023 "BEAT" from 2023.1.15 Zepp DiverCity (TOKYO)

01. オセロ
02. 酔ひもせす
03. What’s Up?
04. らしくもなくたっていいでしょう
05. レモン
06. 地下鉄モグラロード
07. Mellow
08. ベーコンエピ
09. 夢はさめても
10. 17
11. スーパースター
12. Friday
13. Cinderella
14. HONEY BOY
15. POP’N ROLL MUSIC
16. 恋する10秒
17. ロマンスをこえよう
18. Ginger
19. グッドラック

▼[Bonus Track]
TOMOO 1st LIVE TOUR 2022-2023 "BEAT" from 2023.1.15 Zepp DiverCity (TOKYO) Behind The Scenes

■早期予約2大キャンペーン実施(アルバム全形態対象)
キャンペーン期間内に対象店舗で「TWO MOON」をご予約いただいた方にスペシャルなプレゼント
(1)「TWO MOON」ZINE
アルバム収録曲のTOMOO直筆メモなど制作の裏側をまとめたZINE
【予約受付期間】2023年6月28日(水)~8月31日(木)
※CDショップは閉店時まで、ECショップは17:59迄
【対象店舗】全国のCDショップ、ECサイト

(2)Amazon Music Studio Presents TOMOO STUDIO LIVE視聴シリアル
「TWO MOON」リリース記念 生配信オンラインライブを視聴可能
【開催日時】2023年8月23日(水)21時スタート
アーカイブ配信:2023年8月31日(木)23:59
【予約受付期間】2023年6月28日(水)~8月31日(木)12:00正午まで
【対象店舗】Amazon.co.jp
※「限定特典付き」のカートより購入

▼詳細は下記「TOMOO Amazon特設ページ」にて
https://www.amazon.co.jp/tomoo

■ショップ別先着予約購入特典
・タワーレコード:クリアファイルA
・HMV:クリアファイルB
・Amazon:メガジャケ      
・楽天ブックス:アクリルキーホルダー
・セブンネット:缶バッチ

<TOMOO LIVE TOUR 2023-2024"TWO MOON">

2023年
11月2日(木) 東京・EX THEATER ROPPONGI *ACOUSTIC Open 18:00 / Start 19:00
12月15日(金) 北海道・PENNY LANE24 Open 18:30 / Start 19:00
12月17日(日) 宮城・darwin Open 17:30 / Start 18:00
12月23日(土) 福岡・DRUM LOGOS Open 17:00 / Start 18:00
12月24日(日) 広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO Open 16:00 / Start 17:00
2024年
1月5日(金) 愛知・DIAMOND HALL Open 17:00 / Start 18:00
1月13日(土) 大阪・フェスティバルホール Open 17:00 / Start 18:00
1月30日(火) 東京・TOKYO DOME CITY HALL Open 18:00 / Start 19:00

▼チケット料金
11月2日(木)東京・EX THEATER ROPPONGI公演 ※ACOUSTIC
・指定席 5,500円(税込)

1月13日(土)大阪・フェスティバルホール公演
1月30日(火) 東京・TOKYO DOME CITY HALL公演
指定席 6,500円(税込)
※東京・TOKYO DOME CITY HALL公演は入場時1ドリンク代別途必要。

■その他公演
・スタンディング 5,500円(税込)

▼チケット販売
FC先行1次(抽選)
[受付期間]
2023年6月28日(水) 21:00 〜 7月9日(日) 23:59
ご入会はこちら: https://tomoo-fc.jp

FC先行2次(抽選)
[受付期間]
2023年7月14日(金) 18:00 〜 7月20日(木) 23:59
ご入会はこちら:https://tomoo-fc.jp

一般発売
2023年10月1日(日) 12:00〜

TOMOO公式ファンクラブ

『TOMOO OFFICIAL FAN CLUB ”YOU YOU”』
▼入会
https://tomoo-fc.jp/

▼会費
・月額コース:550円(税込)
・年額コース:5,500円(税込)

▼支払い方法
・クレジットカード決済
・キャリア決済(月額コースのみ)、コンビニ決済(年額コースのみ)

▼コンテンツ
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