【レポート】Pearl Drums、ハイエンドドラムス発表イベントで鶴谷智生、マイファスのKid’z、佐藤 奏が「さらにレベルアップした」

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Pearl Drumsが5月27日、新製品リリースイベント<Pearl Drums 2023 “High End Reimagined”>をESPエンタテインメント東京で開催した。5月下旬に世界一斉販売が開始されたばかりの4種類の新たなフラッグシップモデルをはじめ、タムマウントのR2 AIR SUSPENSION SYSTEMやドラムペダルのELIMINATOR DEMON XRなど、様々な最新機種を一堂に集め、ただ見るだけでなく試打もできる無料のスペシャルイベントだ。

◆<Pearl Drums 2023 “High End Reimagined”> 動画 / 画像

そして全ドラマー必見とも呼べるのが、3名のプロドラマーによるニュードラムスのサウンドを初披露するステージだ。会場となったESPエンタテインメント東京の本館B1ホールには、抽選により200名が来場。Pearl Drumsのスタッフによる新製品のプレゼンテーションの後、ステージを覆うスクリーンが上昇した。スモークに包まれたステージにスタンバイしていたのは、3タイプのドラムセットだった。

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【鶴谷智生 on stage】


最初に登場したドラマーは鶴谷智生。30年以上のプロキャリアを誇るドラマーで、様々なアーティストやバンドのライブやレコーディングで活躍。ジャズやポップス、ロックなどジャンルを問わないオールラウンドプレイヤーとしても知られている。その鶴谷がこのイベントで叩くのは、パールの伝統を引き継ぐシェルを持つMasters Maple。

来場者に笑顔を見せると、タムを使ったパーカッシヴなフレーズを叩き始めた。スネアのスナッピーもoffにして、ワールドミュージックにフィットしそうな音色とフレージングだ。そして徐々に音数を増やしながらスナッピーをonに切り替え、叩くフレーズも熱を帯びていく。この日、サイドスネアにデニス・チェンバースのシグネチャースネアもセットしていた鶴谷。




倍音や鳴りを自由にコントロールできるシンフォニックストレイナーを採用したのがデニス・モデルで、スナッピーのon/offスイッチが3つ装着されているのが特徴だ。鶴谷はデニス・モデルの音質を、生音でありながら、まるでゲートリバーブを掛けたような音色にチューニングして、テクノポップを思わせるリズムを刻む。そして後半からはロックドラマーとしての鶴谷の姿も露わに。パワフルに激しくフレーズを叩いたと思えば、ハンドクラップをしながら来場者の気持ちも煽る。来場者たちの鳴らすハンドクラップとひとつになったドラムソロでクライマックスを迎えた。

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【佐藤 奏 on stage】


2人目のドラマーは佐藤 奏。現在、20歳だが、凄腕の女の子ドラマーとして小学生のころから知られている。髪飾りのティアラがライブ中のトレードマークであることから愛称は“ドラムプリンセス”。佐藤がこの日、選んだのはReference Oneだ。

あどけなさが残る表情の佐藤だが、ドラムにスタンバイすると表情に力もみなぎった。そして、この日のために父親でありプロデューサーの佐藤正則氏が作曲したインストをバックに、叩き始めたのは繊細にして大胆なドラミング。心地よい疾走感あるリズムをパワフルに刻みながら、拍裏や装飾音符を意識したフレージングも絡ませる。フュージョンに精通したテクニカルドラマーがステージにいた。




さらに続いた曲は、佐藤が2022年に結成したグループ=Musesからのナンバー「Blow Away!!」。Musesは女性4人のフュージョンバンドで、2022年10月に1作目『Muses』もリリースしている。「Blow Away!!」はそこに収録されている曲でもあるが、本日はイベントに合わせたスペシャルバージョンだ。かわいいのに、叩くフレーズは超絶にテクニカル。そのギャップもえぐい。中盤にはドラムソロもフィーチャーし、プログレッシヴなフレージングでも来場者たちを魅了。曲のエンディングを激しいフィル・フレーズと共に決めると、客席からは賞賛の歓声も湧き上がった。

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【Kid'z (MY FIRST STORY) on stage】

3人目のドラマーはKid'z。MY FIRST STORYのドラマーとしてよく知られているが、同バンド以外にも様々なアーティストのレコーディングに参加するなど多方面で活躍している。


MY FIRST STORYの「I'm a mess」をSE代わりに登場したKid'z。この日、彼が選んだMasters Maple/Gumのドラムセットにスタンバイと同時に、曲はMY FIRST STORYの「ACCIDENT」に切り替わった。

2022年12月に横浜アリーナで行なったライブの再現か、「ACCIDENT」は激しく転調した部分からスタート。太くて強靭なグルーヴを生み出しながら、キレのあるフレージングや巧みなハイハットワークも織り交ぜる。さらにスティック回しも入れるという、聴かせて魅せるドラミングだ。高いショーマンシップを誇るのは、さすが、百戦錬磨のライブドラマー。Masters Maple/Gumのシェルを鳴らしきったラウドなドラムサウンドの迫力もすさまじい。




曲がエンディングに差し掛かったところで、Kid'zのドラムソロに展開。スティックの動きが見えないぐらいの速さで次々に叩くフレージングの音数といい、アタック感の気持ちよさといい、Kid'zの本領をこれでもかと見せつけていく。間近で展開する白熱のドラミングに来場者たちの興奮は高まり続けた。

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【トークセッション】

そしてイベント中盤は、ドラマー3人によるトークセッション。もちろん話題の中心は今回の新製品のこと。R2 AIR SUSPENSION SYSTEMについて、佐藤は「見た目もカッコ良さと安定感がありますね。音の抜け感も、音質も、さらにレベルアップしたなって思います」と印象を語る。

Kid'zは「Masters Maple/Gumは叩いていくことで育っていく、何色にも染められるドラムやなっていうのが第一印象。R2 AIR SUSPENSION SYSTEMはツアー途中から使うようになって、チューニングもしやすくなり、鳴りも扱いやすいです」と、実戦で使用するドラマーならではの意見だ。

また普段、様々なシリーズを使い分けている鶴谷は「R2 AIR SUSPENSION SYSTEMを使うと、音が変わって、印象も全然違うんですよ」と絶賛。音のサスティンや音色の微調整もできる付属のラバー製ダンパーディスクの使い方も、実際に鳴らしながらレクチャーする。R2 AIR SUSPENSION SYSTEMには、ヘッドはコーテッドがすごく合うという、3人の共通意見なども飛び出した。


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【Q&Aコーナー】

さらにトークは来場者とのQ&Aコーナーへ。あらかじめ募集した質問に加え、会場からの質問にも答えてくれた。

▼質問その1
「同期音源を流しながら演奏したとき、自分の音でクリックが聴こえなくなって、トラウマになったんです。気を付けるべきことは?」

この質問に、Kid'zは「演奏中、クリックという意識はあまり持ってないんですよ。クリックの上に自分が立つという感覚。そして、とにかくギターとベースとボーカルの音を聴いて、ドラムはどこにいてあげるべきかを考えて、常に叩いています」とアドバイスすると、佐藤は「自分がリズムの軸になる」とドラマーとしての考え方も伝授した。

▼質問その2
「ドラムを前ほど好きになれなくなったとき、どう、乗り越えたか?」

この質問に関して佐藤は「3歳からドラムを始めて、今、20歳です。今までドラムをやめたいと思ったことはないんですけど、難しい曲で挫折しかけたことありました。でも逆に燃えました。自分の負けず嫌いな部分が発動して乗り越えられました」と常に前向き。それを聞いた鶴谷は「たとえヘコむようなことがあっても、続々とPearl Drums が新しい製品を 作ってくるんですよ。“オマエら、これを使いこなせるのか?”って。落ち込んでる場合じゃないよね。こっちも技術をブラッシュアップ させなきゃだし、Pearl Drums もまたさらにチャレンジしてくるんです!」と 、新製品との出会いがやる気につながると、この場にふさわしい名回答。

▼質問その3
「速いタム回しがちょっと苦手で…」という質問は、ステージにいる佐藤 奏からKid'z先生への相談だ。

するとKid'zは「大丈夫! さっき、ちゃんと叩けていたよ!! 自信持っていこう」と、褒めて伸ばすいい先生っぷり。もちろん大事なポイントもしっかり教えてくれた。それは「僕自身はハードヒッターだから脱力することを意識しています。力が余計に入らないようになるべく脱力して、いかに大きい音を出すか」であるという。

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【ドラムセッション】


そしてイベントのラストを飾るのは、3人のドラムセッションだ。タムフレーズから始まった佐藤のドラムソロ、それを受けて鶴谷が静から動へとストーリーをつづるようなソロを展開、Kid'zはスネアのスナッピーをoffにして野性味も感じられるダイナミックなフレーズで攻め立てる。それぞれのドラミングが相手を刺激するように、順番でドラムソロを披露。

さらに一人がリズムを刻んだら、それをバックにしながら二人がソロを交互に披露。しかも瞬時に、叩くドラムセットを入れ替わるというワザまで。これは“同じドラマーが叩いたとき、シェルの違いによるそれぞれの鳴りやトーンはどうなのか”と思う存分にサウンドを味わってもらうという、ニクいほど優しさが現れたパフォームだろう。セッションのエンディングは、3人の息の合ったスネアフレーズで決めた。

ドラム経験者も多い来場者たちだけに、3人のドラマーが使ったドラムセットや細かいセッティングの仕方を、何枚も写真に撮っていたり、イベントでいただいたパールのカタログにメモしながらドラムセットをチェックしたりと、ステージが終わっても大忙し。ドラマーにとって収穫の多い充実のイベントとなった。なお、本日7月12日、<Pearl Drums 2023 “High End Reimagined”>のイベントハイライト映像がPearl DrumsオフィシャルYouTubeチャンネルにて公開となっている。

取材・文◎長谷川幸信


■Pearl Drums<High End Reimagined>

2023年5月27日(土) ESPエンタテインメント東京 本館B1ホール
open18:00 / start18:30
※DEBUT EVENT 入場無料
▼イベント内容
・新製品発表
・ゲストプレイヤーによるデモンストレーション
ゲスト:鶴谷智生 / Kid’z(MY FIRST STORY) / 佐藤 奏
■TRIAL EVENT ※同時開催・入場無料
2023年月27日(土) ESP エンタテインメント東京 14号館 1Fスタジオ
15:30〜 / 16:00〜 / 16:30〜 / 17:00〜 ※定員制
試打イベントを同時開催。最新のパールドラムスをいち早くチェック可能


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