【対談・短期連載Vol.3】メリーのテツ × umbrellaの春、＜魑魅魍魎2＞とベースを語る「共通の好みが細かくある」

メリー主催2マンイベント＜魑魅魍魎2＞が5月7日の三宿公演を皮切りに幕を開けた。初日5月7日の三宿BRANCHに[ kei ]、6月4日のHEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1にdefspiral、7月22日の京都磔磔にumbrella、8月13日のHEAVEN'S ROCK さいたま新都心にKOHTA、そしてファイナルとなる8月27日の本八幡ROUTE14にgibkiy gibkiy gibkiyを迎えるなど、シーンを跋扈するバンドとの共演はタイトル通り、得体の知れないものとなるはずだ。BARKSでは＜魑魅魍魎2＞全5公演の対バン相手とメリーの対談を連載していく。

◆テツ(メリー) × 春(umbrella) 画像

＜魑魅魍魎2＞第一弾対談メリーのガラ × [ kei ]、第二弾対談メリーのネロ × defspiralのRYOに続く第三弾対談は、メリーのテツ × umbrellaの春だ。

メリーの結成は2001年、一方のumbrellaは2010年結成。春曰く、「学生時代にメリーのCDを買って聴いていた」というから、いわゆる憧れ対談がここに実現したかたちとなる。両氏の出会いはベース会だったそうだが、趣味嗜好が合うもの同士としてますます親交を深めていったようだ。ベーシストの先輩後輩として、同じ4ピースバンドとして、音楽観や共通点に迫ったトークセッションをお届けしたい。


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■一緒に飲んで楽しい人ですね
■あと共通点として生肉が好き

──メリー主催2マンツアー＜魑魅魍魎2＞の第三弾は、7月22日の京都磔磔に客演としてumbrellaを招いて行われます。今回の対談はメリーからテツさん(B)と、umbrellaから春さん(B)をお迎えしました。お二人はいつ頃どうやって出会われたのですか？

テツ：毎年年末にベーシストだけが集まって慰め合う飲み会があって、そこに春くんも自分も参加してたんだよね。5年くらい前かな？

春：ヘタしたらもっと前かもしれないですね、この2年ぐらいはコロナ禍だったから。MUCCのYUKKEさん主催で、ベーシストだけを集めて“大忘年会をしよう”みたいな会で。

テツ：ドラム会だといろんなジャンルの方が100人ぐらい集まるそうなんですけど、このベース会はいわゆるV系界隈のベーシストが集まるっていうやつですね。

──聞いた話では、ドラム会はドラムの話ばかりしているそうですが、YUKKEさん主催のベース会もやっぱりベースの話ばかりするんですか？

春：ドラム会とは真逆かもしれないですね、あんまりベースの話はしないので。テツさんとはベース会で漫画『魁!!男塾』の話をして。

テツ：そうだね（笑）。

春：『魁!!男塾』を読んでいたから、こうやって対談の夢が叶ったという。宮下あきら先生(『魁!!男塾』作者)のおかげですね、間違いなく。


──ベース会で出会う以前、春さんはメリーにどんな印象をもたれていましたか？

春：umbrellaは、時期が違えどもメリーが好きなメンバーが多くて。ライヴは大阪や名古屋で観せていただいたことがあるんです。ライヴにおいての表現がバケモン級のバンドだなっていう印象がありました。CDは学生の頃から買ったりしてて、僕が初めて買ったメリーのCDは『個性派ブレンド 〜黄昏編〜』(2002年発表)でした。当時って音楽をショットできる環境もないじゃないですか。

テツ：今みたいにサブスクがあるわけじゃないからね。

春：はい、YouTubeがあったわけでもないですし。特に、ジャケットがすごく目を引いたんですよ、あの丸尾末広先生が描いているジャケットが。ああいう漫画に興味を持ち始めた中学生の頃、花輪和一先生の漫画とかも好きで。好きな作家さんを辿っていくと、青林工藝社の『ガロ』とか『アックス』出身の方が多かったり、やっぱり惹かれるものがあったんですよ。あとレトロなメロディっていうのも好きだったので、単純に“いいな”と思ってました。

テツ：ありがとうございます。実はこの前、東京で一緒に飲んだんですけど、その時に春くんがそういう話をしそうになったから、「いや、それは対談にとっておいてくれ」と（笑）。

春：あははは、そうでしたね。あと、自分はSADSがすごく好きだったので、清春さんがやっているレーベル『フルフェイスレコード』から、メリーがCDをリリースしたじゃないですか。それも“素晴らしいな、カッコいいな”っていう思いのひとつです。

──同じベーシストとしてのテツさんの印象はいかがですか？

春：トラディショナルなスタイルのベース(プレベやジャズベ)がすごく似合うというか、カッコいい人だなっていう印象ですよね。当時のヴィジュアル系って、楽器のシェイプやカラーであったりとかが、派手なものがやっぱり多かったじゃないですか。時期的にはプレベシェイプでもミュージックマンのスティングレイとかが流行っていた中で、オーソドックスなプレベ・タイプを持って、それが様になっているのはすごいなっていう印象です。

テツ：照れますね（笑）。


──テツさんはumbrellaに対して、どんな印象を持っていましたか？

テツ：まず、“上手いな、なんでもできる人たちなんだろうな”っていうのが第一印象ですね。あと、わりと攻めてる感じのアレンジがあって。たとえばこの前、ラジオ番組『BEAT SHUFFLE』で新曲「dilemma」を初公開してて。「冒頭が何拍子なのかわからん」ってそのラジオで話していたので意識して聴いてみたんですけど、たしかに全然わからなかったですね（笑）。ど頭のベースのフレーズって、もう慣れるしかないの？

春：そうですね。結構うちのバンドはそういうアレンジが多くて。ドラムの場合は譜割りを説明するんですけど、サオ隊(ギター＆ベース)はフレーズ丸暗記のほうがやりやすいですかね。一つのメロディとして覚えるっていう感覚です。


テツ：あー、一緒だ。自分の場合、拍子を数えてると逆に間違えるんですよ。ライヴの時なんかは数えてられないから、体で覚えないと出てこない。

春：わかりますわかります。うちは唯(Vo)くんがメインコンポーザーで、フレーズとかも唯くんがジャッジするんです。かといってがんじがらめなわけではなく、新曲に対して何通りかのアプローチをこっちも考えて、それを録っていって判断していく、みたいな感じで積み重ねていくんですよ。

テツ：メリーもそれに近いですね。違うところは、umbrellaの場合は唯くんが歌詞も曲も作るけど、メリーはそこが分かれている。作曲者がある程度まで作り上げるけど、そこからドラムフレーズがめちゃくちゃ変わるっていうところが、umbrellaとメリーの違いですね。作曲者が打ち込んでくるドラムパターンをさらに派手な感じにするから（笑）。

春：あー、ネロさんが叩くとそうなるんですね。

テツ：毎回、すげえな、どうやってるんだろう？って（笑）。自分の曲は全部ネロさんが打ち込んでくるし、ネロさんが作った曲は初めからすごく勢いのある曲が多いですね。

春：確かに、あのドラムフレーズを作れるのはネロさん以外いないですよ。

──メリーとumbrellaとの対バンは今回が初とのことですが、どういう経緯でumbrellaに声を掛けることになったのでしょう？

テツ：ここ最近、何回か大阪でアコースティックライヴをやったんですけど、それを春くんや唯くんが観に来てくれて。＜魑魅魍魎2＞に京都磔磔公演も入れようってなった時に、“umbrellaとやったら面白いんじゃない？”ってメンバー全員一致で。

──それを聞いて、いかがでしたか？

春：やったー！って感じでした。ずっと対バンしたいバンドでしたし、さっきも言ったように僕以外のメンバーもみんな好きでCDも買っていたので、すごく喜んでました。初めて僕の飲酒が褒められたような気がします（笑）。

──ベース会をはじめとする飲酒ですね（笑）。

テツ：それはよかった（笑）。春くんとは飲み仲間というか、先輩後輩っていう意識がなくて、一緒に飲んで楽しい人ですね。

春：ありがとうございます（笑）。

テツ：あと共通点として生肉が好きっていう。

春：そうですね。結構細かいところで共通の好みがあるんですよね、テツさんとは。

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