【インタビュー】札幌の誇りSILVERBACK、7年ぶりAL『THE HIDDEN』は「初心に戻った部分もあるし、キラキラした作品を作りたかった」

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前作から約7年、通算6作目となるアルバム『THE HIDDEN』をB.T.H. RECORDSからリリースする札幌の誇りSILVERBACK。1987年の結成以来、求道者の如くブレることなくヘヴィ・メタルを追求しているが、魂を揺さぶる哀愁と情感渦巻くギターとドラマチックな曲展開はジャンルの壁を越え多くの人から支持されている。曲毎に万華鏡の如く変化しトリオとなってからの最高傑作との呼び声も高い『THE HIDDEN』をリリースするSILVERBACKのブレインであり創始者、Kiyoに色々と語ってもらった。

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■誰かに追従だけしていったら、自分が無くなってしまうんじゃないか

── 今回のアルバム『THE HIDDEN』は作品を通して何かテーマの様なものはあったのですか?

Kiyo:全て違う曲調にしようって考えていました。それに今まであった様な長尺の曲もあえて入れないで短い曲でアルバムを構成したらどうなるかなって。

── インスト曲の「Firebird」で始まっていますが、独立したインスト曲で始まるのは初めてですよね?

Kiyo:インスト風のもので曲が始まるのはあったけど、こうやって独立した曲で始まるのは初めてだね。単純にこの曲が出来た時にイントロにしたらカッコいいなって思っただけで。

── 『THE HIDDEN』は歌詞の世界観も変わったのかなと感じて、多くの曲でポリティカルな「怒り」を感じました。テーマが違うものも勿論ありますが、これまでのSILVERBACKは哲学的人間学なものが多いと捉えていたのですが。

Kiyo:鋭いね(笑)。それはリスナーが自由に感じてくれればいいのだけど、昨今の世の中を見れば…分かるでしょって。


── 「Trial in Absentia」は吐き捨て気味のヴォーカルで単語をズバッと投げつけてきてで、どちらかと言えばハードコアっぽくもありますね。メタルの常套手段とも言える高揚感あるインストからまるでハンマーで殴りつける様に単語をぶつけてくるメタルっぽくないこの曲へ流れていくインパクトは強かったです。

Kiyo:でも、俺的にはこういった手法もありなんだよね。「Firebird」はトップって決めてたけど、曲をどう並べようって考えた時にこの曲とコントラストあって面白いんじゃないかなって。昔は好きな曲をカセット・テープに入れて聴いていたんだけど、JOURNEYの後にSLAYERを入れるタイプだったから。同じ様な曲が並ぶと流れで聴いちゃうから印象に残らないこともあって、それを思い出してこの並びにしたんだ。歌詞は日本語にすると生々しいよね。誰かに追従だけしていったら、自分が無くなってしまうんじゃないかって思うことが多くてこういった歌詞を書かずにはいられなかった。そういった怒りもあってこういったスタイルにもなったんだ。

── 「Anemia」は既にライブでも披露していますね。

Kiyo:この曲は今までのSILVERBACK路線に近いと思うけど、やっぱり歌詞はこうなっちゃったね。「Trial in Absentia」と歌詞のテーマは繋がっているところもあるし。そしてタイトル曲の「The Hidden」にテーマは繋がっていくんだ。

── 続く「Moon Child」はドラマチックで泣きのメロディを生かしたSILVERBACKの王道的な曲でもありますね。歌詞を読みながら聴いていたのですが最初は何の歌か分からなかったんですよ。ある人からのヒントで分かったのですが、この曲は漫画「ベルセルク」についてですね。

Kiyo:正解。作者の三浦建太郎さんがお亡くなりになって2年経って、追悼曲なんだけど少し遅れてしまったね。

── この曲のギター・ソロは情感タップリながらもこれまで弾いてきたギター・ソロとは少しテイストが違いますね。

Kiyo:SILVERBACKの曲として形にしていなかっただけで、実はこういったギター・ソロを家でよく弾いているんだ。ちょっと明るい感じのソロで、それまで閉じていた引き出しを今回は少し開いて自然に曲に合わせてみたらこんな感じになったんだ。JOURNEYのギタリスト、ニール・ショーンが好きだからその影響も実は受けているし。



── これまでもSILVERBACKは「ベルセルク」をテーマにした曲を発表していますよね。「Black Knight」や「Femt」もそうですし、他にもありますよね。何故、そこまで「ベルセルク」に惹かれたのですか?

Kiyo:漫画も凄いんだけど登場人物がボソって語る何気ない台詞が刺さるんだよ、「人間とは何か」って問われているみたいで。それが哲学的でそこに共感したんだと思う。SILVERBACKの音楽を形成する上で共通点が多かったし。何気ないところでグッときて、そういった部分にシンパシーを感じてSILVERBACKで表現したかったとも思う。

── 過去に題材にしたいって三浦さんにコンタクトしたこともあったんですよね?

Kiyo:『UNCULTIVATED LAND』(1994年)をリリースした頃に一度手紙でやり取りしただけなんだけど、了承してくれて作品も聴いてくれました。本当に題材にしてくれているんだって喜んでくれてもいて。

── 「Moon Child」は最終章ですし「因果の終息」と歌詞にもあるので、SILVERBACKで「ベルセルク」を題材にするのは最後ですか?

Kiyo:残念だけどそうなるかな。でも、「ベルセルク」は続編も出るって話だから楽しみにしているんだ。「Moon Child」はこれからライブでずっとやる曲になっていくでしょうね。



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