【ライブレポート】堂村璃羽、初の全国ワンマンツアーで見せた“仲間”への愛情「明日、明後日、明々後日と一緒に繋いでいけたらと思います」

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堂村璃羽が、初の全国ワンマンツアーを開催中だ。2022年末には名古屋、東京でワンマンライブを行ったが、今回は全国6都市を巡るツアーということで、ライブの規模はじわじわと拡大している。ここでは8月7日の東京・Veats Shibuya公演をレポートする。

◆ライブ画像

定刻になると、600人のファンが待つ会場に堂村が現れた。1曲目に選ばれたのは「BLUE」。上手くいかなかったことも含め、これまでの活動を振り返りつつ、《俺は誓いを立てた一生 青い月の下 空はまだ暗いけど 寄り添うと決めてくれた仲間達 その愛を守り抜けるようにと》と歌う曲だ。楽曲に込めた想いを、会場に駆けつけたファン=仲間へ直接手渡す真摯なオープニングとなった。

今回のツアーではマスク着用の上、声出しOKということで、「今日は声出していいので、声聴かせてください」と堂村。フロアから返ってくる「イェーイ!」という声に対し、「まあ30点ですね(笑)」と冗談めかす堂村とファンが笑い合う様子が温かい。心の距離が近いから、いい意味で、アーティストとファンという感じがしない。アーティストとファンが直接会える機会はそう多くはないかもしれないが、堂村は普段からSNSを通じてファンと積極的にコミュニケーションをとっているため、久々に会うとか初めて会うとか関係なく、気心の知れた関係がすでに出来上がっているのだろう。



「楽しんでいきましょう!」と始まった次の曲は「もしも僕が死んだらこの世界は変わるんだろうか」で、さらに「生きる」、「そばにいる」が続いた。トラックを同期で流しながら歌うスタイルのため、ステージ上に機材はほとんどなく、まっさらなステージの上を練り歩きながらラップする堂村。

堂村のワンマンライブでは撮影がOKのため、その様子をファンがスマホで捉えている。また、堂村は、手を振ったりステージにハートサインを送っているファンを見つけては、その一人一人のことをしっかりと見ながら、手を振り返したりハートサインを送り返したりしている。普段ロックバンドのライブに行く機会の多い筆者からするとカルチャーショックに近い光景だ。しかし以前インタビューで「悩み相談のような感覚で音楽を作っている」「曲を聴いている何分かの間は、僕の音楽で命を繋げられる」と語っていた堂村にとっては、自分の音楽に何かを感じ、この場にやってきたリスナーから発せられたアクションに「応えたい」と思うこと、ゆえに歌いながらボディランゲージでコミュニケーションをとり続けることは、ごく自然なことなのかもしれない。


「次の曲、みんなで歌いたいから、声チェックさせてください」と会場全体で声出し練習を実施。フロアから大きな声が返ってきたため、「これは見ものやな」と期待しながら臨んだのは「Prima Stella」。リリース当時「ライブでは、ファンのみなさんと一緒に歌いながら盛り上がりたい」と言っていた楽曲で、ひとり制作中にイメージしていた通りの光景が実現したのだろう。堂村は嬉しそうに、「いいよ、まだいける!」と曲中にも観客に声をかけていた。

このライブの4日後、8月11日に配信リリースされたEP『夢の続き』から披露された新曲「lost love」や人気曲「FAKE LOVE」を歌い終えると、早いものでライブの前半が終了。飾り気のない関西弁でMCをする姿は気のいい兄ちゃんという感じで、最前列のファンからティッシュを借りるなど、アットホームな空気だ。

MCでは「俺のことをよく知ってる人は薄々気づいてると思うけど、リハーサルで声少し枯れちゃっているんですけども」と本音が飛び出すが、この日のライブでは懐かしい曲やライブでなかなか歌わない曲、何なら制作した時以来一度も歌っていない曲(!)もセットリストに入っているため、リハーサルで歌いながらメロディを思い出したりしていたそうだ。

そんな発言を受け、観客が「いったいどの曲が披露されるのだろう?」と期待を膨らませる中、堂村が「ここからは怒涛の過去曲ラッシュなので、覚悟しといてください」と告げ、後半へ突入。早速、2019年リリースの「clockwork(feat. uyuni)」が披露されるが、ここでフィーチャリングアーティストのuyuniがサプライズ登場。uyuniとは「空想世界(feat. uyuni)」も一緒に歌ったほか、そのあとには「冬夏橙(feat.平葵)」で平葵が登場。

▲uyuni


▲平葵


さらに「君が君を愛せるように(feat. PARED)」でPAREDが登場(「これ使ってください」と堂村にティッシュを渡す気遣いも)。そう、この後半戦、怒涛の過去曲ラッシュだっただけではなく、怒涛のコラボラッシュでもあったのだ。振り返ればこの日のライブは、会場に集まったファンや共に音楽活動を行ってきたアーティストなど、“仲間”に対する堂村の愛情によって形作られていたように思う。

▲PARED


▲あれくん

スペシャルなコラボはまだまだ続く。堂村の分とこれから来るであろう誰かの分、マイクスタンドが2本配置されると、堂村からの「最古の相方」との紹介を受けて、あれくんがギターを持ってやってきた。およそ7年の付き合いということで、あれくんの運転で地方に路上ライブをしに行った話や、一緒に富士登山に挑戦した話など話題は尽きないが、よきところでMCを終わらせ、「歌うか」とスタンバイする2人。あれくんが弾くアコースティックギターに乗せて歌ったのは、ライブで初披露、堂村が「今日以降もう二度と歌わないかもしれない」と言っていたレア曲「夜へ逃げよう」と、あれくんのギターで一番歌ってきた曲のうちの一つだという「さよならミッドナイト」(大柴広己カバー)。堂村が「あれくんのギターしか受けつけない曲が何曲かある」と言っていたのも納得、息の合ったアンサンブルを聴かせてくれた。

▲L to R:堂村璃羽、たかやん


『夢の続き』からの新曲で「いつかみんなで歌いたい曲」と語られた「EGOIST」、そして「都合いい関係」までを終えると、残すところあと4曲。ここでこの日最後のゲスト、STUPID GUYSの相方のたかやんが登場。最近は2人の共演機会も減ってきたためか、巷では不仲説も流れていたそうだが、2人は真っ向から否定。そして、たかやんが歌いたいと指定したという「Shooting Star」や、「同棲愛」、「偽愛」をSTUPID GUYSとしてパフォーマンスすることで、確かな絆をアピールした。共演を終えると、充実の表情で、ハイタッチからのグータッチからのハグを交わす2人。




600人のスマホライトを見せてほしいと堂村が促し、観客が明かりを灯す中、ラストに届けられたのは新曲「夢の続き」だった。直後のMCで語られた「ライブに来てくれるだけで、曲を聴いてくれるだけで嬉しい。“私でも生きていていいのかな”と思うこともあるかもしれないけど、少なからず、俺が助かってます」という想いをまさに形にした楽曲だ。演奏を終えると、「嫌なことを抱えている人も“もうちょっと”を繰り返して、明日、明後日、明々後日と一緒に繋いでいけたらと思います。俺は生きてる限り音楽を続けていきます。みなさん、ついてきてくれますか?」と堂村。返ってきた拍手や「ありがとう」の声に、「こっちこそありがとう」と伝え、ライブを締め括ったのだった。

ワンマンツアーは、8月12日の沖縄・outputでファイナルを迎える。

取材・文◎蜂須賀ちなみ
撮影◎久保寺美羽

リリース情報

■Digital EP『夢の続き』

2023年8月11日(金)配信開始
https://riudomura.lnk.to/dreamagain

01.「夢の続き feat.ゆう。」
Lyric:堂村璃羽 Music:堂村璃羽 、BigDogOof
02.「lost love」
Lyric:堂村璃羽 Music:堂村璃羽 、Omamurin
03.「EGOIST」
Lyric:堂村璃羽 Music:堂村璃羽 、Omamurin
04.「PM1:12」
Lyric:堂村璃羽 Music:堂村璃羽 、Mitsuki

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