ザ・ソープガールズ、ジャパンツアー開幕「人生は一度。自由と愛とロックンロールを謳歌して！」

南アフリカ出身の美しきお騒がせ姉妹、ミリーとミーによるザ・ソープガールズが2022年に続き二度目の日本上陸を果たし、8月15日、東名阪を巡演するショート・ツアーが東京・新代田FEVERで幕を開けた。開演直前の楽屋を訪ね、ツアー初日の心境を訊くと、2人の口からは、ほぼ同時に同じ言葉が聞こえてきた。

◆The Soap Girls (ザ・ソープガールズ) 画像

「今は最高にエキサイトしてる。私たちはエナジーに溢れた空間が大好きだし、淳士と一緒にステージをやれるのはとても楽しいことだもの。しかも日本のファンは世界のどんな人たちよりも素敵。クレイジーでしかもスウィートなの。前回、初めて日本に来た時も、何もかもが最高で驚きの連続だった。だから一刻も早く帰って来たかったし、まさに念願がかなって嬉しいわ」



発言中に登場した淳士とは、言うまでもなく元SIAM SHADEで、BULL ZECHEN 88、戦国時代、T.M.Revolution、GACKTをはじめとするさまざまな場で活躍する日本が誇るべきドラマー。2022年9月から10月にかけて行なわれた最初のジャパン・ツアーの際も彼との3人編成で各公演が行なわれてきたが、今回もその体制は継続している。また、幼い頃にはアイドルとしての活動歴も持つ彼女たちだが、現在の活動ぶりは完全にライヴ・バンドそのもの。去る6月から7月中旬にかけてはUSツアーを実施し、その後には2023年2回目となるUKツアーも経てきた。そのUKツアーについて尋ねると、次のような答えが返ってきた。

「UKツアーも盛況だったし、とても楽しかった。ただ、イギリスでクラブ・ツアーは、何もかもがきちんとオーガナイズされている日本の場合と違って、ちょっとしたカオス状態に陥るのよ。日本から駆けつけてくれたTokyo Honey Trapもロスト・バゲージに見舞われたために慌てて楽器調達をしなければならなかった。ただ、実は今回、私たちの荷物がひとつ届かなかったんだけど（笑）」


このUKツアーは彼女たちの日本でのレーベル・メイトである日本のバンド、Tokyo Honey Trapをスペシャル・ゲストとして招きながら行なわれたが、今回のジャパン・ツアーでも同バンドが全公演でサポートを務める。そして実際、この発言にもあるようにTokyo Honey Trapは渡英時に荷物の一部が届かないアクシデントに見舞われたが、今回はザ・ソープガールズが同じ目に遭ってしまった。そのため衣装などの一部がこのツアー初日には間に合わず、彼女たちはリハーサルと本番の合間に原宿に赴いてステージ用のブーツを調達したのだった。

そうした慌ただしさの中でジャパン・ツアーは幕を開けたが、ドタバタには慣れっこの彼女たちは一切動じることもなく、堂々たるライヴ披露。パンク、グラム、グランジ、ガレージといったカテゴライズに収まりきらない、プリミティヴでありながら華々しく、一瞬たりとも目の離せないロックンロール・ショウを繰り広げた。詳しい演奏内容については、これから各公演に足を運ぶ人たちに新鮮な気持ちでステージと対峙してもらうためにも、あれこれ説明せずにおくことにするが、とにかくそのライヴは刺激的かつエンターテイニングで、観る者を退屈させることがない。


しかも日本語MCも驚くほど巧みで、ユーモアのセンスにも溢れている。たとえばギター＆ヴォーカルのミーが「前回来た時はみんなマスクをしていたけど、今回はみんなの顔が見える。なんて不細工なの！　もちろん冗談よ（笑）。みんなすごくビューティフル！」などと言って客席に笑顔をもたらせば、曲によってはいわゆるデス・ヴォイスで歌うベース＆ヴォーカルのミリーは、ステージ上でジャックダニエルをぐびぐびと呑み、アクロバティックなステージ・アクションで観衆の視線を独占する。そして彼女たちのお気に入りの日本語のひとつに「ジンセイ、イチド」がある。これから各公演を観にやって来る人たちに向けてのメッセージを求めると、こんな言葉が返ってきた。

「人生は一度きり。だからとにかくフリーダム、ラヴ、そしてロックンロールを謳歌しましょう。私たちのショウに来て楽しい時間を過ごしてください。そして、ワタシタチはニホンがダイスキ！」



ザ・ソープガールズのジャパン・ツアーはこのあと名古屋（16日）、大阪（17日）と続き、8月20日にはふたたび東京に戻り、新宿MARZにて最終公演が行なわれる。この機会に、お騒がせ姉妹の比類なきロックンロール・ショウに是非触れて欲しい。

文・撮影◎増田勇一