【ライブレポート】アンティック-珈琲店-、20周年夏ライブ「また新しい思い出ができた」

2019年1月5日、6日にEX THEATER ROPPONGIで行なった＜LIVE CAFE 15th Anniversary Year Grand Finale＞公演で活動休止を宣言し、以降沈黙を守り続けたアンティック-珈琲店-。

◆ライブ写真

彼らの物語はこのまま終わりを告げるのかとも思われたが、2022年6月24日に開催された＜OSAKA MUSE 35周年イベント“OUR CANVAS”＞への出演を機に再集結し、復活ライブを行うことになる。活動休止から約3年半という年月が過ぎていたにも拘わらず会場にはアンティック-珈琲店-のファンが数多く詰めかけ、盛大な盛り上がりを見せると共にライブの内容も高い評価を得た。

その後、アンティック-珈琲店-のメンバー達は結成20周年を迎える2023年にアニバーサルイヤーを祝う活動を行うことを決意。第1弾として2023年1月5日・6日に＜アンティック-珈琲店- LIVE CAFE 20th Anniversary 「令和で初NYAPPY o(≧∀≦)o」＞と銘打ったライブを実施して、同公演も成功に終わらせた。

アンティック-珈琲店-が健在であることを感じさせる中、彼らは8月5日に大阪BIG CAT、8月13日に東京Spotify O-EASTでスペシャル・ライブ＜LIVE CAFE 20th Anniversary NYAPPY SUMMER NIGHT o(≧∀≦)o 「アンカフェ、二十歳の夏～思い出せよ無邪気な頃～」＞を行なった。2日間共にチケットは即完となり、ライブ当日のSpotify O-EASTは1階フロアはもちろん2階席もビッシリとオーディエンスで埋まった状態で、場内は開演前から賑やかな盛り上がりを見せていた。


今回のライブはメンバーそれぞれの校歌に続いて、各自が宣誓を行うという形でスタート。趣向を凝らした幕開けに客席から大歓声が湧き起こり、続けてオープニングを飾る「SUMMER DIVE」が演奏された。ステージ中央にスッと立ち、クールさや色気を湛えた歌声を聴かせる、みく（Vo）。爽やかさを振りまきながらシュアなギタープレイを展開するtakuya（G）。内面の高まりを感じさせるアクションと煌びやかなキーボードの音色で魅了するゆうき（Key）。会場を見渡しながらファットなベースサウンドを紡いでいくカノン（B）。笑顔満開でパワフルかつキレのいいドラミングを披露する輝喜（Dr）。5人が並び立った華やかなステージと爽やかなサウンド、1曲目から熱いリアクションを見せるオーディエンスの姿などが折り重なって、場内は瞬く間にアンティック-珈琲店-の世界へと染まった。

その後は「O-EASTのみんな、ニャッピー！　どうもこんばんは、アンティック-珈琲店-です。今日は貴重な時間を割いてくださって、ありがとうございます。夏の思い出を、一緒に作りましょう」というみくのMCも挟みつつアッパーな「千年DIVE!!!!!」や疾走感とエモーショナルなサビを配した「AROMA」、和が香る「テケスタ光線」などをプレイ。力強さと洗練感を併せ持った彼らの楽曲はライブ映え抜群だし、演奏力の高いバンドならではの秀でた表現力も光る。1曲ごとに様々な表情を見せながらどんどん世界を深めていく流れに、強く惹き寄せられた。

みくの「みんなとの花火大会を想像しながら歌いたいと思います。」という言葉と共に届けられた「夏の終わり」とシリアスな「自分説明書」というスローチューンをじっくり聴かせた後、みくがステージから去り、楽器陣にスポットをあてたセクションへ。ゆうきの煽りやメンバーが過去に犯した罪を告白するなどで、客席を大いに湧かせた。メンバー達の素顔に触れられることもアンティック-珈琲店-のライブの大きな魅力といえる。

その後は再びみくも加わって、スピーディーな場面転換でオーディンスの心を駆り立て、さらに後半で客席から大合唱が湧き起こった「ラフ・ソング」やウォームなシャッフル・チューンの「似非占い」、ゆうきがステージ前に出てきてみくと2人で華やかにパフォームする「夏恋★夏GAME」などが演奏された。パーティーを思わせる賑やかさで盛りあがる場内を見て気づいたことだが、アンティック-珈琲店-のファン(カフェっ仔)の方々は実にマナーがいい。ギュウギュウ満杯の状態で周りの人達に迷惑をかけないように気を遣いながら腕をヒラヒラさせたり、身体を揺らしたり、拳を振ったりする姿に胸を打たれた。アンティック-珈琲店-への深い愛情を感じると共に、メンバー達も語っているようにアンティック-珈琲店-が2度の活動休止を経て復活したのはファンの方の力によるところが大きいことは間違いない。


ライブ後半ではメンバーそれぞれがヤンチャエピソードを語るコーナーが挿入された「ダックのマジカルアドベンチャー」を皮切りに、ハイテンションな「モウソウモモウソロソロ」やダンサブルな「メープルガンマン」などを畳みかけるようにプレイ。フィジカルなステージングを織り成しながら爽快感を湛えたサウンドを響き渡らせるメンバー達に応えて、オーディエンスも熱さと一体感に満ちたリアクションを見せる。Spotify O-EASTの場内は笑顔で溢れ返り、アンティック-珈琲店-は彼らならではの“光り輝く空間”を見事に創出してライブ本編を締め括った。

上質な音楽性とメンバーのキャラクターなどを活かして、唯一無二といえるエンターテイメントを確立しているアンティック-珈琲店-。今回のライブも非常に観応えがあって楽しめた。さらに、10月25日にドラマCD『ドラマCD「バンドる！～バンドでアイドルしようぜ～」（みくは声優として主人公の煌星夜“キラ セイヤ”を演じている）と同作の主題歌となる新曲「Fly again」がリリースされること、1月6日にZepp Hanedaで開催された＜LIVE CAFE 20th Anniversary 「令和で初NYAPPY o(≧∀≦)o」＞公演のLIVE Blu-rayの発売、そして2024年1月5日、6日にLINE CUBE SHIBUYAでライブを行なうことがアナウンスされた。20周年後半のアンティック-珈琲店-がさらに加速することは確実なだけに、今後の彼らに大いに期待したい。


最後にアンコールでメンバー達が語った言葉を、お伝えしよう。

「みんな、今日は本当にありがとうございました。楽しかったね。“楽しかったですか？”とは聞かない。楽しかったでしょう？　だって、みんなすごく楽しそうだったもん。去年6月のライブの1年くらい前に、ずっと連絡を取っていなかったメンバー達と連絡を取るようになって。最初はみくに連絡したんだけど、ずっと連絡をとっていなかったから、正直怖かった。電話に出てくれるかなと思ったし。でも、一言めに「久しぶり！　元気？」とすごく明るく言ってくれて、その明るさと“元気？”というのは俺を心配してくれている言葉だから安心した。そこから2人で会っていろいろ話して、メンバーとも連絡を取って、少しずついろいろなことが動いていった。あの日連絡できていなかったら今頃どうしていたかなと思います。今日のライブもなかっただろうし。連絡した日は、カフェっ仔のみんなが導いてくれたんだと思っています。本当に、ありがとうございます」──輝喜

「今日ライブが始まる前に昔の写真とかを見ていたんです。20年間は結構アッという間に過ぎた時間だったと思ったけど、写真を見ると1個1個がすごく濃厚だったことが蘇ってきた。これだけ長い間みんなやメンバーと一緒に来れた20年というのはすごく素敵なものだったなと、あらためて痛感しました。ありがとうございます」──ゆうき

「すごく楽しかったです。俺はこのEASTという会場にいろいろな思い出があるなとライブをしながら思い返していたわけですよ。いろいろ思い出して、今日もまた新しい思い出ができたなと思いました。去年より楽しい夏だったと言える夏になりました。本当に、ありがとうございます」──カノン

「みんなそれぞれの人生、それぞれの夏があると思いますけど、大事な時間を使って遊びにきてくれてめちゃくちゃ嬉しいことだし、めちゃくちゃあり難いことでもあって。この最高の空間、最高の時間をみんなと一緒に共有できて、本当に今日1日幸せでした。こうやって思えるのも支え続けてくれた、絆を紡いでいてくれたメンバー、スタッフさん達、そしてカフェっ仔達みんなのお陰です。みんなにとっても最高の夏の思い出になっていたら、めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございました」──takuya

「今日は楽しい時間を、本当にありがとうございました。去年の6月から走り始めて、もう夢のような時間を過ごすことができて、本当に幸せでした。去年の6月から毎日毎日がアンティック-珈琲店-で、本当に世界が変わったようでした。今も、そうです。なので、今までの20年もそうですけど、去年からの思い出をしっかり大切にして、忘れないように今後も生きていきたいなと思いました。来年のLINE CUB SHIBUYA ＜LIVE CAFE 20th Anniversary Final NYAPPY FOREVERo(≧∀≦)o Thank you all caffekko thank you all staff＞も全力で楽しませるので、ぜひ来てください。よろしくお願いします」──みく

取材・文◎村上孝之
ライブ写真◎菅沼剛弘
アーティスト写真◎山内洋枝