【インタビュー】岡野昭仁(ポルノグラフィティ) 、ソロプロジェクトの収穫「もっと本来の、より純な自分が出せるようになった」

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■ いろんなことを思いきりやればいいんじゃないかなって気持ちになれた

──先ほどお話に出たTempalayの小原綾斗さんが手がけたのは「芽吹け」というナンバーですね。

岡野:綾斗くんもまた天才ですよね。すごく気持ちいい曲を書いてくれたんだけど、レコーディング中には「そこのノリがちょっと違うんです」っていうディレクションをくれて。「これ何回歌うんだろう?」っていうくらいワンフレーズだけ繰り返して歌ったりもしましたね(笑)。さっきのBREIMENの話じゃないけど、細部にわたってこだわりを注ぐ綾斗くんの姿勢には本当に刺激を受けて。だからこそ、言ったら1回り以上若い世代ではあるけど、「はい、先生!」みたいな感じで素直に向き合えたところもありました(笑)。本当に楽しいレコーディングでしたよ。

──この曲も展開が豊富ですよね。

岡野:Eveくん同様、「どういう発想で作ってるんだろ?」って思っちゃいますよね。歌詞に関してもね、あまり聞きなじみのない言葉選びがされているところもあるけど、日本語としてすごく美しい表現だなって感じさせてくれるし。もうすべてにおいてかっこいい仕上がりにしてくれたと思います。

──作詞を市川喜康さん、作曲を山口寛雄さん、アレンジを篤志さんが手がけたのは「GLORY」です。

岡野:まず、名だたるアーティストの名曲を手掛けている市川さんに作詞をお願いできたことが嬉しかったです。「この混沌とした時代に、あらためて夢を追いかけ続ける素晴らしさを岡野さんには歌って欲しいんです」とおっしゃっていただけて。ある意味、ポルノグラフィティという僕にとっての母屋のイメージを投影した上で、そういったメッセージを歌詞に込めてくださったのは僕としてはありがたいことでした。

──ポルノのライヴでベースを務めている山口(寛雄)さんと、ポルノ楽曲でおなじみの篤志さんが参加されている点でも、母屋のニュアンスを感じさせる部分はありますよね。

岡野:そうそう。「そう言えば近くにいい作家いたわ」と思って寛雄に曲をお願いし、アレンジはどうするかなと思ったときに「近くにいいアレンジするヤツいたわ」と思って篤志に声をかけて(笑)。結果、ものすごくオシャレでアーバンな楽曲を作ってくれました。寛雄に関してはいつも僕らの横でベースを弾いてくれているので、僕の歌のいい部分が出る楽曲っていうのをちゃんとわかってくれてるというかね。ある種、岡野昭仁の王道でもあり、ポルノを聴いてくれた人にとっても違和感なく受け取ってもらえる曲になったと思います。

▲アルバム『Walkin' with a song』通常盤ジャケット


──そして、アルバムの最後には昭仁さんが作詞・作曲を手掛けた「歌を抱えて」が収録されています。

岡野:最後の曲は、ソロプロジェクトを通していろいろな経験をしたことで見えた、今の僕なりのひとつの答えを提示するべきなのかなと思ったんですよね。それには自分の言葉とメロディで、ちゃんと足跡を残すべきかなと。内容としては、去年亡くなった自分の父親のことを書きました。ある意味、すごくプライベートな作品ではあるけど、それができるのもソロならではじゃないかなと思って。父と母の子供であることを思いながら歌い続けられる曲を作れたことは自分にとってすごく大きな意味があるし、それこそが僕にとって「歌を抱えてこれからも生きていく」ということなんだろうなって。

──江口亮さんのアレンジも相まって、感動的な仕上がりですよね。

岡野:江口くんは、突拍子もないこともできれば、ドラマチックなアレンジもできるアレンジャーですからね。さらに言えば、父の死といった出来事であっても、言葉を濁すことなく、素直に伝えられる関係性が江口くんにはあるので、今回はお願いすることにしました。本当に素晴らしいアレンジをしてくれたので、歌に関してもね、思いは自然と声に乗せられたと思います。

──約3年間にわたるソロプロジェクトを通して、ボーカリストとしてはどんなものを手に入れられたと感じていますか?

岡野:どんな楽曲であっても、歌を通して僕という人間を表現していくことは当然のことながら変わらないんですけど、自己表現のフィルターの網の目が大きくなったような気がするんですよね。

──ろ過されすぎなくなったということですか?

岡野:そう。ろ過されず、もっと本来の自分というか、より純な自分が出せるようになったというか。そうなったことによって、より伝わっていくものがあるんじゃないかなっていう思いになっていますね。で、そういった表現はポルノでも用いていくべきだと思っています。「これはやっちゃダメなんじゃないか」とか考えることなく、いろんなことを思いきりやればいいんじゃないかなって気持ちになれたのは、間違いなくソロでの大きな収穫だと思いますね。

取材・文:もりひでゆき

  ◆  ◆  ◆

アルバム『Walkin' with a song』

2023.08.23(WED)リリース

◎予約URL:https://pornograffitti.lnk.to/okanoakihito1stAL
■収録楽曲
①「インスタント」作詞・作曲・編曲:n-buna
②「ハイファイ浪漫」作詞・作曲:Eve 編曲:Numa
③「Shaft of Light」作詞・作曲・編曲:辻村有記
④「指針」作詞・作曲:柳沢亮太 編曲:トオミヨウ
⑤「芽吹け」作詞・作曲:小原綾斗 編曲:小西遼, 小原綾斗
⑥「光あれ」作詞:n-buna 作曲・編曲:澤野弘之 ※TVアニメ「七つの大罪 憤怒の審判」オープニングテーマ 
⑦「GLORY」作詞:市川喜康 作曲:山口寛雄 編曲:篤志
⑧「その先の光へ」作詞:スガ シカオ 作曲・編曲:澤野弘之 ※「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」主題歌
⑨「MELODY (prod.by BREIMEN)」作詞・作曲:高木祥太 編曲:BREIMEN
⑩「歌を抱えて」 作詞・作曲:岡野昭仁 編曲:江口 亮
計10曲収録

■商品形態
初回生産限定盤A:CD+BD ¥5,500(税込)
初回生産限定盤B:CD+DVD ¥5,000(税込)
通常盤:CDのみ ¥2,800(税込)

【初回生産限定盤】
<映像特典> ※初回盤A・B共通
2021年に開催した、岡野昭仁 配信LIVE2021「DISPATCHERS」 / 「DISPATCHERS vol.2」から厳選したライヴ映像を収録

◎岡野昭仁 配信LIVE2021「DISPATCHERS」
ROLL
Zombies are standing out
愛なき・・・
白日
One more time, One more chance
旅せよ若人
ワインレッドの心
だから僕は音楽を辞めた
丸ノ内サディスティック
真夜中のドア/Stay With Me
未来予想図Ⅱ
Shaft of Light
光あれ

◎岡野昭仁 配信LIVE2021「DISPATCHERS vol.2」
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