【ライブレポート】ELLEGARDEN、<Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023>ZOZOマリンスタジアム公演で「死ぬまでにもう一回ここでやりたい」

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ELLEGARDENが2023年夏、全国5都市をまわるワンマンツアーを開催した。<Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023>と題したツアーは北海道、熊本、愛知といった3都市のアリーナ公演に加え、大阪は舞洲スポーツアイランド特設会場にて野外公演、そしてスタジアム公演となる千葉・ZOZOマリンスタジアムでファイナルを迎えた。2018年の再始動ライブ以来5年ぶりとなったZOZOマリンスタジアム・ファイナルのオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆ELLEGARDEN 画像

ELLEGARDENは人生である。4人にとってはもちろん、私にとっても、それから、彼らに関わる、彼らを愛する、たくさんの人にとっても。大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、この表現がいちばん、あの日の感慨を伝えようとするとしっくりくる。“日常で数多に開催されているライブのうちのひとつじゃないか”──そう言う人もいるかもしれない。でもね、日常を積み重ねるのが人生だし、あの日は、集まった3万5000人、そして会場の外や全国各地、世界各国で彼らに想いを馳せていた人たちの人生が鳴っていた。だからこそ、あんな奇跡的な光景や音像、空気を体感することができたのだ。


とは言え、同じ会場=千葉・ZOZOマリンスタジアムのライブとしては、10年ぶりに彼らが活動再開の狼煙を上げた<THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018>のファイナル公演(2018年8月15日)のほうが、特別な意味合いはあったのかもしれない。今回はあくまで、7月から北海道・熊本・愛知・大阪とまわってきた<Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023>のファイナルという位置づけ。もっと言えば、活動再開してからフェス出演やツアーを重ね、2022年に16年ぶりのニューアルバム『The End of Yesterday』を発表し、2023年3月からのリリースツアー<The End of Yesterday Tour 2023>を経て、名実ともに“現在進行形のバンド”となったELLEGARDENの、5年ぶりのZOZOマリンスタジアム公演となる。だからこそ、5年前の“特別感”という魔法を取っ払ったところで、ELLEGARDENの地力や、これまで積み上げてきたものが、どれだけ発揮できるかが試される機会だった。

そんなライブで、彼らはいつもと地続きの現在進行形のパフォーマンスを見せながら、たしかに魔法のような、名状しがたい感動を巻き起こしたのだ。そこには、活動再開してから5年間をかけて再会や「初めまして」を交わした人たち、そして、今回のZOZOマリンでやっと会えた人たちの想いも関わっていたと思う。


幕開けは、アルバム『The End of Yesterday』収録の「Breathing」という、5年前にはなかった曲調をオープナーに持ってくるという勝負に出て、完璧なアンサンブルで圧倒。そして、これまでも多くの歌声で“僕らの歌”にしてきた「Space Sonic」「Supernova」を畳みかけたあと、その2曲に負けないくらいの“We get it, get it,go”というシンガロングを沸き起こした『The End of Yesterday』収録曲「チーズケーキ・ファクトリー」も素晴らしかった。『The End of Yesterday』収録曲も、多くの人生を彩り始めていることの証だ。

さらに、セットリストに入っていた楽曲の中でも「Stereoman」は、ELLEGARDENの楽曲が孤独に寄り添ってくれた経験を持つすべての人に染みたと思う。孤独は変わらないかもしれないけれど、仲間はこんなにいる。そんな喜びを、スタジアムライブだからこそ噛みしめることができた。


スタジアムライブは、ライブハウスが主戦場のバンドにとっては課題もあるけれど、この日は距離感もほとんど気にならなかった。強い風も味方につけて、音と想いを乗せて一体感を高めた「風の日」「サンタクロース」の、プレゼントを手渡されたような温もり。さらには、生々しい歌声とギターのうねりに琴線が震えた「Sliding Door」も、いろいろなライブハウスを思い出すテンションだった「Salamander」も、本当に“すぐそば”に感じられたのだ。

楽曲と演奏と、想いがしっかりシンクロしていたところも大きい。生形真一(G)の「ELLEGARDENは誰にも負けないから」という言葉は、次に演奏された「Fire Cracker」の珠玉のアルペジオで体現されていた。さらに細美武士(Vo, G)の「今日が俺たちの人生のピーク」という言葉からはじまった「The Autumn Song」では、限りなくピークが続いていきそうなグルーヴを感じた。また、『The End of Yesterday』収録のテクニカルな四つ打ち曲「Perfect Summer」で、高橋宏貴(Dr)が華麗かつ楽し気にビートを刻み、そこに3人が見事に寄り添う、そのアンサンブルは今のELLEGARDENのムードを表しているようだった。


貫いてきたメッセージも、さらに強固に感じられた。ずっと彼らが歌い続けてきた「自分の道を迷わずに進んでいく」という意思をシンガロングしながら噛みしめた「ジターバグ」や、そんな彼らが歩んできた物語を実感する「虹」などハイライトが続くなか、細美にMCを促された高田雄一(B)。大舞台にも関わらずいつもの調子で「ほんとに言うことがないんですけど……」と戸惑いつつも、「またやりましょう」と宣言! 細美も「死ぬまでにもう一回ここでやりたい」と続ける。

その後の「Make A Wish」では、再び会うための約束、それまで戦い続ける決意が、シンガロングやジャンプとなって、スタジアム全体にキラキラと輝いていた。続けて「Strawberry Margarita」がピースフルに響いたエンディングも最高だった。


アンコールでは、現在進行形のELLEGARDENにとって大切な一曲とも言える「Goodbye Los Angeles」を披露。そしてダブルアンコールの「金星」では、ていねいに歌い鳴らされる一言、一音が心に刻まれていった。この“大事な事”を、いつまでも慈しんでいたい──その気持ちを、きっとあの場にいた誰もが感じていたことだろう。

自らカメラを持つ雄一、祈るように感謝する生形、両手を広げてありがとうを伝える高橋、掌が千切れそうなほど拍手する細美。それぞれの形で感謝を伝えた4人がステージを降りてから、大輪の花火が夜空を彩るなかで、頭をよぎった…“生きていてよかった”と。この5年間、さらに彼らと出会ってからの20年の中で、自分や世界に起きたこと、そのたびに彼らの楽曲と重ね合わせて生きてきたことを、ライブ中の2時間で思い返していたのだ。なんで彼らの楽曲は、こんなにも人生そのものになるんだろう。きっと彼らが誰よりも人生をかけているからだろうし、それにたくさんの人が呼応しているからなのだと思う。


それなりに年齢と経験を重ねた今も私は、彼らと出会った頃と同じく“最後に笑うのは正直な奴だけだ”と信じている。この日、奇跡が起きたのは、あの場所にいた全員がそう信じていたからだ。音楽の力、ELLEGARDENの力、一人ひとりの力を、ひしひしと感じずにはいられない、奇跡のようで奇跡じゃない、紛れもなく真実しかない夜だった。

なお、各配信サイトにてセットリストプレイリストが配信スタートしたほか、同公演のライブ特番が10月28日にWOWOWで放送されることが決定している。


取材・文◎高橋美穂
撮影◎三吉ツカサ (Showcase)/西槇太一

■<Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023>8月17日@千葉・ZOZOマリンスタジアム-SET LIST-

01. Breathing
02. Space Sonic
03. Supernova
04. チーズケーキ・ファクトリー
05. Mountain Top
06. Fire Cracker
07. Stereoman
08. 風の日
09. The Autumn Song
10. No.13
11. Missing
12. Perfect Summer
13. サンタクロース
14. Sliding Door
15. Salamander
16. ジターバグ
17. 虹
18. スターフィッシュ
19. 瓶に入れた手紙
20. Make A Wish
21. Strawberry Margarita
encore
22. Goodbye Los Angeles
23. 高架線
24. Pizza Man
double encore
25. 金星


▼配信サイトプレイリスト
https://lnk.to/GGGSP23
※この日のセットリスト/プレイリストが各配信サイトにて配信スタート

▼<Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023>スケジュール
7月08日(土) 北海道・ 北海きたえーる
open17:30 / start18:30
7月15日(土) 熊本・グランメッセ熊本
open17:30 / start18:30
8月08日(火) 愛知・日本ガイシホール
open18:00 / start19:00
8月12日(土) 大阪・舞洲スポーツアイランド 特設会場
open16:00 / start18:00
8月17日(木) 千葉・ZOZOマリンスタジアム
open16:30 / start18:30

■ライブ特番『ELLEGARDEN<Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023>』

放送日時:10月28日(土)20:30〜
放送局:WOWOWプライム放送・WOWOWオンデマンド配信予定
収録日:2023年8月17日
収録場所:千葉・ZOZOマリンスタジアム
https://www.wowow.co.jp/music/ellegarden/


※2018年に活動再開したELLEGARDENは、2022年12月に16年ぶりの6thフルアルバム『The End of Yesterday』をリリースすると、2023年3月から全国36公演のライブハウスツアー<The End of Yesterday Tour 2023>を開催。そして7月から、アリーナ会場3ヵ所、野外会場、スタジアム会場を加えた全国5公演の大規模ワンマンツアー<Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023>をスタートさせた。WOWOWでは、同ツアーの中から2018年の再始動ライブ以来5年ぶりとなるZOZOマリンスタジアムでの最終公演の模様をお届け。ELLEGARDEN結成25年の集大成として開催された“真夏のパーティー”をお見逃しなく。

■振替公演<The End of Yesterday Tour 2023>

8月24日(木) 北海道・帯広MEGA STONE
open18:15 / start19:00
8月26日(土) 北海道・Zepp Sapporo
open18:00 / start19:00
8月28日(月) 北海道・旭川CASINO DRIVE
open18:30 / start19:00

■アジアツアー<Boys are Back in the East Tour 2023>

10月03日(火) 韓国 Seoul - YES24 Livehall
11月25日(土) 台湾 Taipei - Zepp New Taipei
11月27日(月) 香港 Hong Kong - Music Zone @ E-Max

■イベント出演情報

<WANIMA pre. 1CHANCE FESTIVAL 2023>
9月03日(日) 熊本県農業公園 カントリーパーク
open9:00 / start11:30
https://1chancefes.net/

<OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2023>
9月10日(日) 泉大津フェニックス
open9:00 / start10:30
http://haziketemazare.com/2023/

<New Acoustic Camp 2023>
9月17日(日) 水上高原リゾート200
open8:00 / start9:30
https://newacousticcamp.com/

<MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2023>
10月14(土) 宮古島コースタルリゾートヒララ
open10:00 / start11:00
https://mirf.jp/

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