【インタビュー】ASH DA HERO、2ndアルバム『HUMAN』が高濃度な理由「進化と変化が自然発生している」

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ASH DA HEROが9月13日、メジャー1stアルバム『Genesis』以来、約1年ぶりとなる2ndフルアルバム『HUMAN』をリリースした。その間にはバンド始動後の初ツアー開催や<PUNKSPRING 2023>をはじめとする大型フェスへの出演、「Judgement」がTVアニメ『ブルーロック』2クール目のオープニング主題歌に起用されるなど、着実で確実な活動が飛躍的な成長を自身にもたらし続けている。

◆ASH DA HERO 画像

リリースされたアルバム『HUMAN』には前述の「Judgement」ほか、TBS系『王様のブランチ』エンディングテーマ「最強のエンドロール」、テレビ朝日系『ワールドプロレスリング』ファイティングミュージック「自分革命」、新日本プロレス『G1 CLIMAX 33』大会テーマソング「GIANT KILLING」、新日本プロレス『BEST OF THE SUPER Jr. 30』大会テーマソング「One Two Three」といったタイアップ5曲に加え、アルバムのために書き下ろした新曲9曲を含む全14曲を収録。曰く、「レコーディング時期がバラバラだったという意味でも、この1年は『HUMAN』ってアルバムを作り上げるためにあった」という楽曲群は、バンド始動2年目の歩みと、メンバー個々のストロングポイントが大きく反映された仕上がりだ。

ヒューストンで開催された<Anime Matsuri 2023>出演から帰国したばかりの5人に、そのアメリカ公演の手応え、怒濤のタイアップがバンドにもたらしたもの、2ndアルバム『HUMAN』制作秘話についてじっくり訊いたロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■本当にヤバかったです
■一回、栃木の山に現実逃避して(笑)


──ライブ中のメンバーの表情や自然に交わされるメンバー同士のアイコンタクトなど、ライブのたびに良い変化を続けているのがASH DA HEROというバンドだと思っているんです。2023年に入ってからは、いい意味でメンバーの遠慮のなさが目立っていると感じていますが、その遠慮のなさ=バンドの熱量ですよ。メンバー自身、そういった変化や成長など自覚するところは?

ASH:すごくバンドになっていってるのは、日々感じますよ。

Sato:結成当初より1stアルバム『Genesis』。『Genesis』のときより今、という感じで、それぞれの絆やグルーヴは、本当に日々成長しているんで。そう思っているし、実感もしています。

WANI:『Genesis』をリリースした当時と比べると、個人的なドラムプレイの変化もあったりするし。あと、どこか遠慮していた部分というか…結成当初は手探りな部分もあったんですけど、徐々にそういうのもなくなって、今では好きなようにやっています。自分で好きなように解釈して、今のスタイルになっていると思うんで。


▲ASH (Vo)

──メンバー全員、過去にいろいろなバンドも経験してきましたが、やり甲斐や感触など、いろいろな違いも?

Narukaze:このバンドは変なストレスがないですね。音楽に没頭させてもらっている感じで、すごく楽しいですよ。

ASH:アメリカで一緒にタトゥーを彫ったとき、そんな話もしたよね(笑)。

──8月10日から13日まで、アメリカはヒューストンで開催された<Anime Matsuri 2023>に出演したときのことですね。

ASH:そう。つい2日前(8月15日)にテキサスのヒューストンから帰ってきたばかりなんだけど、ヒューストンのイベントが終わってから、「せっかくだからアメリカっぽいことしようぜ」って、ストリートのタトゥー屋にNaru君(Narukaze)と一緒に行って(笑)。今、俺はこのバンドをやっていて一番おもしろい。1年前の『Genesis』のときと比べても、現時点のほうが全然おもしろいし、どんどんおもしろくなっている。今までのバンド経験が、いい意味で薄れていく。今が楽しいからね。

Dhalsim:『Genesis』のとき、例えばライブではマニピュレートのタイミングとかをセットリストに細かくメモして臨んでいたんですよ。でも去年、『Genesis』ツアーを経験する中で、細かく書き込む必要もなくなったんです。曲順が決まれば、自然に自分も対応できるというか。振り返ってみれば、それって成長できたってことなのかなって。僕は一皮むけました、いろんな意味で(笑)。

Sato:Dhalsimがいろんな意味でオトナになったって話だけで、Dhalsimと二人でけっこう酒飲める感じで(笑)。

ASH:テキサスでお祝いしてたよね?

Sato:空港でも、向こうでも、お祝いした(笑)。「Dhalsim、やったな〜」って。

ASH:俺も「祝いたい、仲間に入れてくれ」って感じで参加して(笑)。


▲Narukaze (G)


▲Dhalsim (DJ)

──Dhalsimのプライベートのいい出来事も、みんなで喜べちゃう間柄になっているということですね。ともかく、バンドとしての力強さや頼もしさは、去年のツアーが終わったときには感じていました。また、その時期からタイアップ(TVアニメ『ブルーロック』2クール目オープニング主題歌「Judgement」)なども続々と決まり、次の作品への期待感がさらに高まっていきました。そうした周りの状況が、アルバムに向かっていったとき、変にプレッシャーになる瞬間もありました?

ASH:バンドとしてひとつのツアーを廻っていく中で、次のアルバムも見据えていたんで、普段の会話中に「もっと広いところでライブをやるとなったら、こういう曲が必要」とか、「こんなタイプの曲をバンドでやったらおもしろいよね」とかを本当に自然発生的にしてたんですよ。イメージを膨らませつつ、そこにプラスでロマンも乗っけて、俺たちはどこまで行くんだろう、どうなっていくんだろう、みたいなバンドマンの考えるシンプルな話で終始していたと思いますけどね。

Sato:でも、ライブに「Judgement」が組み込まれるようになってから、盛り上がり方の爆発力を体感したり、アニメ主題歌の持つ力はすごいんだなって、いろんな場面で感じましたね。ただ、我々は至って元気に普通にやらせてもらっていて(笑)。

ASH:確かに「Judgement」をライブでやったとき、一気にウワーッ!となったからね。“この曲でより多くの人にバンドの存在を知ってもらえたのかな、嬉しいね”という感触でした。

Narukaze:でも、それが次の作曲に向かうときに、プレッシャーになったということもなくて。ビジネス的な頭だったら、プレッシャーを抱えながらってことにもなったんだろうけど。もちろん、プレッシャーがゼロというわけではなかったけど、自分らがカッコいいと思える曲を作るほうを優先していた。そのほうが絶対にハッピーになれるってことを、メンバー全員、これまでの様々な経験から知っているんじゃないかな。無理して合わせて狙っていくのも間違いじゃないけど、俺らはそっちじゃない。作る曲ごとにバンドとして楽しみながらやっているから。



──今年前半から、作る曲作る曲が続々とタイアップ曲に選ばれて、それはバンドにとってチャンスですよ。タイアップがどんどん決まっていくことは、モチベーションにもつながったと思うんですが?

Narukaze:それはそう。

ASH:今まで出会える機会がなかった人に、音楽や曲が知られることにもなりますからね。ありがたいことだし、すげー嬉しいこと。例えるなら、まだ行ったことのない街の駅に看板が掲げられるとか、チラシが撒かれる感じだから。

Narukaze:ただ、曲を作るとき、自分のジャッジを高めなきゃいけないから、しんどいところもあります(笑)。『G1 CLIMAX 33』大会テーマソングにもなった「GIANT KILLING」は、作曲中、本当にヤバかったです(笑)。一回、栃木の山に現実逃避して(苦笑)。

ASH:そうそう、Naru君から「リセットしなきゃ、書けねえ」って電話がきて。

Narukaze:それまで10曲近く書いて。でも全部、しっくりこなくて。一度全部の曲を捨てて、山へ行って、全部を忘れる日を作って。

──仕切り直す勢いで自分の中のジャッジを、もっと高めたわけですか?

Narukaze:そうです。

ASH:「One Two Three」がまず新日本プロレスの『BEST OF THE SUPER Jr.30』の大会テーマソングに選ばれて、すぐに『G1 CLIMAX 33』からお話をいただいて。どちらも格闘技だから、闘うという共通する部分もあり、そこで曲を考えるのに煮詰まった感はあって。僕自身にはあったし、Naru君もそうで。でも、山へ行って帰ってきて…?

Narukaze:その日に書いたのが「GIANT KILLING」だから。


▲Sato (B)


▲WANI (Dr)

ASH:そのデータが送られてきて、“めっちゃいい!”と思いましたね。それで曲の細かい部分の話をしたら、「ここはシンガロングがほしいんだよね」って。その話をもとに大まかなボーカルのイメージを作っていったんだけど、今度は歌詞で俺が煮詰まり(笑)。プロレスのことはSatoに相談するしかないって、「とりあえずプロレスの話をしようぜ」って夜中1時に電話して、「優勝するのは誰」とか。そんなたわいない話から、プロレス好きが上がるワードはこれかな?とか、いろいろインスパイアされて。タイアップにおけるプレッシャーということでは、曲のテーマが最初からある程度決まっている分、アウトプットの苦しみはあった。あと締め切りの問題もあったんで。

──そうやって自分たちを追い詰めるようにして作っていった曲は、それだけの結果を生んでいますよ。これまでASH DA HEROを知らない人にも届いているし、こんなカッコいいバンドがいたのかって、自分たちの耳にも入ってきているでしょ?

ASH:もっと聞かせてほしいっす、そういう言葉を(笑)。そういうのは嬉しいことだし、バンドや音楽をやっていくうえでモチベーションにもつながりますから。

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