【コラム】SixTONES初のソロ楽曲パフォーマンス映像に、音楽への愛情と6人のポテンシャル

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SixTONESによるYouTube限定パフォーマンス企画『PLAYLIST - SixTONES YouTube Limited Performance -』。クリエイティブに富んだマイクパフォーマンスを展開してきた同企画の最新作「PLAYLIST Day.10」が、9月8日(金)、9月10日(日)、9月12日(火)と3日間にわたりアップされた。その内容は、最新シングル「CREAK」初回盤のカップリングに収録されている、彼らにとってデビュー以来初のソロ楽曲のソロパフォーマンス映像6作品だ。

「CREAK」の初回盤Aには松村北斗、髙地優吾、ジェシーによる自分の内面、仲間への感謝、人への愛情など“愛”を歌う3曲を、初回盤Bには京本大我、森本慎太郎、田中樹による相手への思いやうまくいかないもどかしさなど“恋”を歌う3曲を収録。それぞれのイメージのもと完成した楽曲は、メンバー一人ひとりのパーソナルな部分に触れることができる。そして『PLAYLIST』にアップされた6人のパフォーマンス映像も、より彼らと楽曲の魅力にフォーカスした内容に仕上がった。

まず第1陣として、ジェシーの「Never Ending Love」、田中の「Sorry」のムービーがアップされた。「Never Ending Love」はジェシーがかねてから憧れ、デビュー前から“楽曲提供をしてほしい”とラヴコールを送っていた相手という堂本剛が作詞作曲を担当している。花や空などをモチーフにした映像をバックに佇むジェシーは、序盤はマイクを両手で握り歌に集中し、曲中にダンサーが登場するとそれに導かれるように自身も身体をくゆらせる。なかでも楽曲のシンボルでもあるピアノフレーズに合わせて指を動かすコレオグラフィーは、音が聞こえてきそうなほどのその繊細な動きに見惚れる人も多かったのではないだろうか。さらに注目したいのは彼の歌だ。マイクの位置を効果的に使ったアプローチにも息を呑むが、堂本の歌唱を受け継いだであろう細やかな表現が耳に残る。そもそも楽曲自体も、和と自然の要素にファンクの要素がブレンドされた、堂本のテイストが色濃く出た難易度の高いものである。ジェシーの歌が借り物の表現になっていないのは、それだけ堂本の音楽や歌声が長い時間を掛けて彼の血肉となっているという証だろう。彼と堂本の信頼関係があってこそ生まれた、深みのある作品だ。


「Sorry」はもともとSixTONESのシングルカップリングの候補曲で、それをずっと気に入っていたという田中がソロ曲に使いたいと申し出て完成に至った。ラップ詞は彼が筆をとっている。ワンカットムービーで、ベッドから起き上がった田中は歌いながら、照明で様々な色に染まった真っ白な家のなかを闊歩する。日常的な風景なのにどこか異質で、そこはかとなく漂う危うさと閉塞感。リフレインする《頭の中 Flashback》というフレーズにもある行き場のなさが表現されている。心地よさと同時に時折痛烈な切なさを感じてしまうのは、田中のどこか陰を感じさせるアンニュイな佇まいと、“6人で実現してきた表現を、ひとりでより深くより丁寧に届けたい”という思いから来るものだろう。ムービーに登場するバンドメンバーもなんだか妖精のように朧げだ。ひとり眠りに入る前にいろいろと考えを巡らせてしまう、ベッドの柔らかいぬくもりと眠りに入れない苦しみがない交ぜになる感覚を思い出した。耳と目ともに、秋めいてきた夜に染み入る。


第2陣は京本大我の「We can’t go back」と髙地優吾の「MUSIC IN ME」のムービーで、「We can’t go back」は京本自身が作詞作曲を手掛けている。デビュー前から楽曲制作をしている彼は、ソロ楽曲を提案され真っ先に“自作曲で勝負したい”と思ったという。作りためてきたデモの中から選ばれた同曲は7年前に制作したもので、メロディは完全に当時のまま、歌詞も9割はそのままとのことだ。UKロックとJ-POPをブレンドさせたようなアレンジも、彼のルーツを感じさせる。アップされた動画は、6作品で唯一のマイクスタンドパフォーマンス。じっくりと目を閉じて音に入り込みながら暗闇で歌う彼の背中は、徐々に日が昇るように白いライトに照らされていき、それに併せてバックバンドとストリングス隊の姿があらわになってゆく。離れ離れになってしまった“君”への愛が、しぼんでしまうどころかまだまだ大きくなっていくような、一緒に過ごしてきた時間の尊さや喜びが湧き上がるような光景だ。純粋で色褪せない思いをしたためた楽曲だからこそ、シンプルなシチュエーションがよく映える。時折覗かせる強く優しいまなざしも、より輝いていた。


「MUSIC IN ME」は、髙地自身が普段よく聴いていてエールをもらっている日本語ラップ調の楽曲を作りたいとリクエストし、自身のパーソナルな部分やファンとメンバーへのメッセージが込められたポップなミドルナンバー。等身大かつピースフルで、ストレートな思いを綴った同曲の世界観を、ムービーもそのまま継承している。好きなもので溢れた部屋で、リラックスした様子で伸びやかなボーカルを響かせ、ラップでは強い気持ちを言葉にする。そして曲の中盤からプロジェクターにSixTONESのメンバーとの映像が映し出されることが、このムービーのキーポイントとも言えるだろう。自分が好きな曲調であってもソロ楽曲であっても、ファンだけではなくメンバーへの思いも歌いたい。そんな彼の思いを明確に表すシーンである。歌い終えた際にプロジェクターに目線を移し、沈黙のなかしばらく眺める後ろ姿は、あたたかく家族を見守るようだ。振り返って最後に見せる笑顔も含め、自身がSixTONESのメンバーであることを重んじたライフソングでありムービーである。


そして最後に公開されたのが松村北斗の「ガラス花」と森本慎太郎の「Love is...」の2曲。「ガラス花」はストリングスとバンドが融合したバラードで、かねてより松村が憧れる表現者であり、映画『キリエのうた』で共演したアイナ・ジ・エンドが作詞作曲を担当している。バックバンドやダンサーなどは登場せず、終始松村ひとりでパフォーマンスをした映像であるが、そのコレオグラフィーはアイナ・ジ・エンドが手掛けたもの。さらにコーラスも彼女が担当していることも相まって、アイナの存在が歌詞にある“枯れずに割れていったガラス花”の“君”のようにも感じられた。舞台演劇を観ているようだ。粒立った生楽器の音色が感傷的に鳴るなか、暗闇で透明感に富んだ歌声を響かせる。大切に握りしめていたマイクが手元から離れ、コンテンポラリーダンスに入った瞬間はその没入ぶりと彼から湧き上がる感情のしなやかさに目を見張った。特にサビで彼が大きく上に両手を振り上げると同時に、背景に花が盛大に舞う映像が流れた瞬間は、大輪の花火のような刹那的な美しさを放っていた。一挙手一投足までもが“君”への思いで溢れるパフォーマンスは、俳優でありアーティストである彼だからこそできる表現と言えるだろう。


「Love is...」は森本が高校生の頃から愛聴しているという平井大が作詞作曲を担当している。森本が自身の好む詞の世界観を平井に伝えた結果、日常の幸せを彷彿とさせる爽やかさと柔らかさを兼ね揃えるポップスが出来上がった。6作品で唯一室外で撮影されており、青空広がる庭園で、陽だまりに包まれバンドメンバーに囲まれるなか、椅子に腰掛けて歌う姿は、映画で描かれる穏やかな日常のワンシーンに近い空気感がある。このシチュエーションが映えるのは、森本の包容力のある甘い歌声があってこそだ。その安らぎを与えるボーカルは、思わず身を委ねたくなる。それは家に帰ってきたとき、あたたかい家族や見慣れた家具、心地のいい香りに出迎えられたような感覚に近い。“こんな時間がずっと続いてくれていたらいいのに”と願いたくなるほどの、素朴でありながらもあたたかい幸せ。平井の楽曲を聴きながら過ごしていた彼の青春時代をおすそ分けしてもらったような気持ちにもなる、愛に満ちた作品だ。


6人が6通りの楽曲とムービーを発信しているが、共通点もいくつか見つかった。どの楽曲も聴き手が身を任せたくなる心地よさを持っていることと、6人それぞれが長年愛してきた音楽を今ここで自分の作品として残していることだ。彼らが歩み育んできた人生が楽曲たちは過去の自分との約束を果たすようでもある。それを若さとキャリアを兼ね揃えたタイミングで完成させられることは、彼らにとって大きな意味を持つはずだ。そしてもうひとつは、6人全員が音楽を愛しているということ。並々ならぬ愛情を注ぎ込んで作り上げたことが、今回の『PLAYLIST』動画を通してダイレクトに伝わってきた。ライヴと映像作品を融合した同企画だから実現できることだろう。これだけ異なる個性を持った6人が同じグループを組んでいられるのは、全員が自立した表現欲求を持っているからであると改めて確信したソロ楽曲とソロパフォーマンス。6作品を通して、一人ひとりのポテンシャルの高さをあらためて目に焼き付けてほしい。

文◎沖さやこ

  ◆  ◆  ◆

シングル「CREAK」

2023年08月30日発売

<初回盤A>[CD+DVD]


SECJ-74〜75
¥1,980(税込)
■スリーブケース仕様

【CD】
01. CREAK
02. ガラス花 (Hokuto Matsumura)
03. MUSIC IN ME (Yugo Kochi)
04. Never Ending Love (Jesse)
【DVD】
CREAK -Music Video-
CREAK -Music Video Making-
CREAK -Music Video Solo Movie-

<初回盤B>[CD+DVD]


SECJ-76〜77
¥1,980(税込)
■スリーブケース仕様

【CD】
01. CREAK
02. We can’t go back (Taiga Kyomoto)
03. Love is...(Shintaro Morimoto)
04. Sorry (Juri Tanaka)
【DVD】
・Documentary of SixTONES Solo Project

<通常盤>[CD]


SECJ-78
¥1,100(税込)
■初回仕様:スリーブケース仕様+フォトブック20P

【CD】
01. CREAK
02. Eye to Eye
03. WHY NOT
04. こっから -Old School Breakin' Remix-
05. CREAK -Instrumental-

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