中島美嘉、ファンからのリクエスト曲で構成した全国ホールツアーが東京で閉幕

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中島美嘉のコンサートツアー<MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2023 YOU>の追加公演が9月20日、東京・東京国際フォーラム ホールCで開催された。そのオフィシャルレポートをお届けする。

◆中島美嘉 画像

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中島美嘉が9月20日、全国ホールツアー<MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2023 YOU>の追加ファイナル公演を東京国際フォーラム ホールCで開催した。

セルフプロデュース・アルバム『I』を引っ提げた前回のツアーから約1年ぶりの開催となる今回のツアーは、8月10日のLINE CUBE SHIBUYAを皮切りに全国8都市・9公演で開催。事前に募ったファンからのリクエストをもとに、ヒット曲、代表曲、最新曲が披露された。この試みは、20年を超えるキャリアのなかでも初。追加公演でも中島は、豊かな表現力を感じさせる歌声、多彩なステージングによって、オーディエンスを魅了した。

ステージに架けられた紗幕には「YOU」の文字、そして、樹林の風景。さらに波音のSEと荘厳なサウンドが加わり、ライブは幕を開けた。

オープニングに選ばれたのは、「AMAZING GRACE」。2人のバレリーナとともに神聖な歌声を響かせ、観客をしっかりと惹きつけた。紗幕にバンドメンバー(河野伸/Key、佐野康夫/Dr、海老沼崇史/B、馬谷勇/G)、バレリーナ(HARUNA、MIHO)、ダンサー(万葉)、そしてコンサートスタッフの名前が映し出された後、幕が上がる。

開放的なバンドサウンドに導かれたのは「ALL HANDS TOGETHER」。ニューオリンズ発祥のリズムと大らかなメロディ、オーディエンスのハンドクラップによって、心地よい一体感が生まれる。鮮やかなピンクのスーツに身を包んだ中島美嘉も、観客と一つになれる瞬間を全身で楽しんでいるようだ。さらに前向きなメッセージを放つアッパーチューン「LIFE」、映画『NANA2』主題歌「一色」などを披露。「1曲1曲、最後まで心を込めて歌います」(中島)という言葉に会場から大きな拍手が送られた。

バンドによるシックなインストを挟み、赤と黒を基調とした衣装に着替えた中島。ここからは「初恋」「STARS」などのバラードナンバーが続いた。ライブ前半のハイライトは、「A MIRACLE FOR YOU」。2010年の秋、耳の不調のために10周年を記念したライブが中止に。中島は公演が予定されていた日時に会場に足を運び、ファンに直接メッセージを届けたのだが、その際、観客が中島のために歌ったのが「A MIRACLE FOR YOU」だったのだ。この日は過去のライブ映像とともにこの曲を披露。《心配しないで/私はいつでもここで君を見てる》というフレーズは、ファンと中島をしっかりとつなげる役割を果たしていた。




ウェディングドレス風の衣装に着替えた後は、3拍子のジャズナンバー「Love Addict」で洗練された音楽空間を生み出す。楽曲の世界観やテーマに合わせ、バレリーナ、ダンサー、映像を交えたステージングも中島美嘉のライブの大きな魅力だ。

「かわいい!」と声を掛けるファンに対して、「知ってる」と笑顔で返すいつも通りのやりとりから、MCコーナー。観客と直接会話を交わすのが彼女のスタイルなのだが、こういう親密なムードや飾らない佇まいもまた、ファンを惹きつける理由なのだと思う。

そしてこの後、ライブの雰囲気は一変。強く、深いメッセージをたたえたバラードナンバーを続け、ディープな中島美嘉の世界を体感できるシーンを描き出してみせた。《また会いに来てもいいですか?/まだ歌ってもいいの?》というラインに胸を打たれる「LETTER」、「言葉は強いけど、最後まで聴いてもらえれば、きっと背中を押せると思います」(中島)という言葉が添えられた「僕が死のうと思ったのは」、そして、同調圧力に屈せず、自分の意志を貫く姿勢を歌った「不協和音」(欅坂46)をカバー。ひとつひとつのフレーズに強い気持ちを込めるボーカリゼーションは、まさに彼女の真骨頂だ。

“そんなの知らない!”と叫ぶロックチューン「I DON’T KNOW」からライブは後半へ。この日、もっとも強い高揚感を生み出したのは、映画『NANA』主題歌「GLAMOROUS SKY」。バンドメンバーと目を合わせながら自由なパフォーマンスを繰り広げ、“ロックシンガー・中島美嘉“の魅力をダイレクトに見せつけた。 

本編ラストはウィンターバラードの名曲「雪の華」、そして、壮大なスケールをたたえた旋律、普遍的な愛を描いた歌詞が響き合う「FIND THE WAY」。観客の一人一人に手渡すようなボーカルによって、会場全体が豊かなエモーションで包み込まれた。

アンコールでも感動的な場面が次々と生まれた。中島がステージに戻ってくると同時に、観客が“MIKA”と書かれた紙を掲げる。さらに「“雪の華”をみんなで歌いたいです」という観客の声に応え、河野伸がイントロを弾き始める。

オーディエンスの合唱による「雪の華」が響き、中島は「ありがとうございます。幸せです」と感謝の言葉を返した。優しさと切なさが滲むバラード「ORION」の後は、新曲「We are all stars」を披露。中島自身が敬愛してやまないドラァグクイーンのルポール・アンドレ・チャールズへ綴る手紙というテーマで制作されたこの曲は、聴き手の自己肯定感を上げてくれるダンスチューン。「ここにいてくれる人は、オンリーワンでナンバーワン。私にとっても大切な存在です」(中島)という言葉も心に残った。

《笑われて いいじゃない/いつでも守ってあげるわ》という歌詞が広がった「Gift」でライブは終了。生声で「本当に本当にありがとうございます!」と叫んだ中島美嘉からも、充実感と感動がはっきりと伝わってきた。


11月3日、4日に3度目となるブルーノート東京ライブ<MIKA NAKASHIMA LIVE at BLUE NOTE TOKYO 2023>を開催。さらに2024年2月3日には香港単独ライブ<MIKA NAKASHIMA CONCERT 2024 YOU IN HONG KONG>が行われることも決定した。今回のツアーで、20年以上のキャリアのなかで生み出された名曲の魅力を改めて示した中島美嘉。今年後半から来年にかけて、彼女の音楽はさらに奥深さを増していくはず。現在制作中という新曲も心待ちにしていたい。

文◎森朋之
撮影◎武石早代
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