【ライブレポート】スローター、心揺さぶられる真にストレートで豪快なステージ

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1990年デビューのスローターは、元KISSのヴィニー・ヴィンセント(G)率いるヴィニー・ヴィンセント・インヴェイジョンのメンバーだったマーク・スローター(Vo)とダナ・ストラム(B)の2人が中心となって結成。活発なパフォーマンスにフックのある楽曲で注目されたバンドである。

この日は<80s Rock Invation>というミニフェスティバルのようなイベント。同時期を過ごしてきたバンドが並び、ヴィクセン、クワイエット・ライオット、グレイト・ホワイトにスティーヴン・パーシーというラインナップの中、スローターは3番手に登場した。



1980年代のデビューであればもっと成功したであろう、3rdアルバム以降も売れていたかもしれないと言われてきたスローターだが、現在もこのようなラインナップのカップリングはアメリカでは非常に多く、1990年代の苦難に耐えたバンドが名曲たちを披露する事でまた再評価されているのではないだろうか。

マーク・スローター(Vo, G)、ジェフ・ブラント(G)、ダナ・ストラム(B)に、ツアーメンバーのジョーダン・カンターナ(Dr)と『STILL STICKIN' IT TO YA 2023』ツアーを現在遂行中。ツアータイトルだけでテンションも上がるが、ステージセットも今回のイベントラインナップの中では一番派手である。

パトカーサイレンの合図で始まると大ヒットアルバム『Stick It To Ya』からのナンバー「Mad About Love」で幕を開ける。先日も別のライブでダナ(B)とジェフ(G)の調子は確認していたが、マーク・スローターの歌唱もしっかりと伸びやかで独特の甘いハイトーンも健在。これは期待ができそうだ。

続く「Burning Bridge」は、ヴィニー・ヴィンセントから離れてまでやりたかった彼らの音楽性を感じられる曲に思う。マークがギター・ヴォーカルでみせる「Spend My Life」もポップでキャッチーで爽やかで、こんなラブソングは今聴いたらちょっと恥ずかしいかもしれないと思いきや、実にストレートに心に刺さってしまう。











客席の前方スタンディングエリアに親子連れを発見したマーク。ミニギターを手にした10歳未満と思しきラッキーボーイは、マークにステージに上げられ、エアギターでレッド・ツェッペリンの「Immigrant Song」を一緒にプレイする場面もあった。派手さはないが本質的なプレイを見せるジェフ、常に存在感に溢れるダナ、2人は頻繁に観客ともアイコンタクトを取りアピールし、観る側をどんどん引き込んでいく。ジョーダン(Dr)もゾルタン(ex Dr)ほどではないが、時折りドラムセットに登ってのパフォーマンスも見せてくれる。

ヴィニー・ヴィンセントのアルバムに入っても違和感のない「Eye to Eye」も、ミドルテンポでありながらここまで刺激的で色気のある歌を聴かせるマーク。彼もまたフロントマンとしてバンドをしっかりと率いているし、ギターヴォーカルの場面も多く、彼のスキルも再評価してしまった。



2ndアルバム『Wild Life』からは哀愁の「Real Love」のみだったが、ライブでの再現度も素晴らしく、今こそ彼らの名曲たちを世代ではない人たちにも知って欲しいと思った。マークが観客にスマホのライトを照らして欲しいとリクエストした「Fly to Angels」は、野外の会場も陽が落ちて良きタイミングに。この曲を聴けば彼らがなぜ毎回のようにレッド・ツェッペリンのカヴァーを演るのかが理解できると思う。マークがフライングVを持ったラストの「Up All Night」まで真にストレートで豪快なステージには、再び心が揺さぶられた観客も多かったであろう。終演後のマーチャンデスクは全て完売になっていた事が証明していた。





文・写真◎ Sweeet Rock / Aki
写真◎ Joe Schaeffer(Official Photographer)

<SLAUGHTER ~STILL STICKIN' IT TO YA Tour 2023~>

2023.9.13 Utah State Fairpark, Salt Lake City, Utah, USA
1.Mad About Love
2.Burning Bridge
3.Spend My Life
4.Immigrant Song(Led Zeppelin cover)
5.Eye to Eye
~Drums solo~
6.Real Love
7.Fly to Angel
8.Up All Night
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