【インタビュー】SOPHIA 松岡充が語る、18年ぶりの<獅子に翼>「やり切ったときに初めて進むべき未来が見つけられる」
SOPHIAが10月9日、神奈川・Kアリーナ横浜にて自身の一大イベントであり伝説のライブシリーズ<SOPHIA LIVE 2023 獅子に翼V>を開催する。
◆SOPHIA 画像 / 動画
活動休止に入る前の2013年、日本武道館公演の最後に「次は、獅子に翼がいいね」というメッセージをスクリーンに残してから10年が経つ。そして昨年、劇的なバンド復活を遂げたSOPHIAが、その約束を果たすべく<獅子に翼>を開催する。遂に<獅子に翼V>開催に至った理由とは? そもそもSOPHIAにとって“獅子に翼”とは一体なんなのか? 松岡充にじっくりと話を聞いたロングインタビューをお届けしたい。
なおWOWOWでは、ライブ当日の生中継に加え、これまで開催されてきた<獅子に翼>シリーズのライブ映像を織り込みつつ<獅子に翼V>に向けての見どころやメンバーの想いを明らかにするインタビュー特番、<獅子に翼II>と<獅子に翼IV>のライブ映像を9月から4ヵ月にわたり特集する。
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■これが最後かもしれないと思ってやり切る
■それを積み重ねてきただけなんです
──まず、昨年2022年10月11日、約束の場所である日本武道館で復活したSOPHIAについて、今、松岡さんはどう感じていらっしゃいますか?
松岡:復活したことに関しては、今回の<獅子に翼V>をやり切ったとき、ようやく僕のなかで俯瞰したものが見えるんじゃないかなと思ってます。僕が“もう待てない”と思ったあのとき、意を決してディスクガレージ(イベンター)の中西さんに「武道館、僕が全責任を負うので押さえてください」と言った…その想いがここで結実するので。“そこで、僕のなかでなにが見えるんだろう?”ということは、逆に僕自身も知りたいんです。“SOPHIAってなんなんだ?”って。<獅子に翼V>をやりきったときに、僕はその本当の意味を知りたいと思ってます。
──では、松岡さんが意を決するに至るまでのことなのですが。SOPHIAを復活させるぞと覚悟を決めるまでの9年間は、どんな心境だったのでしょうか。
松岡:まず経緯から話すと、SOPHIAはデビュー15周年の2010年に<獅子に翼V>をやろうと思って、すべてを進めていたんです。会場も日程もライブの概要まで全部決まっていた。だけど、そこで都(啓一 / Key)のがんが分かって。一番大切なものを守らなきゃということで、都の療養を最優先する必要があったから、「やめよう」という話をして中止にしたんですね。僕にとっても大きな決断でしたし、自分の頑張りだけではどうにもできないという想いでした。SOPHIAの初めての挫折というか。その後、都が見事に復活を遂げたと思ったら、今度はバンドとして無期限の活動休止というものを選ばなければいけなくなった。それでも、当時の僕は“活動休止しても2〜3年だ”と思っていたし、メンバーにもそう言っていたんです。
▲松岡充(Vo)
──松岡さんのなかでは、数年で復活する予定だったんですね?
松岡:そうなんです。だけど、それが叶わず。その間に僕はMICHAELをやることで、SOPHIAns (SOPHIAファンの呼称)の居場所を守ることに必死でした。なんとか耐え凌いでいたんだけど、“なぜSOPHIAができない?”というこの状況に、僕はボロボロになっていったんですよ。“もう音楽を辞めようか”とか“歌うことを辞めようか”と思うぐらいまで。
──そこまで疲弊してしまったと。
松岡:はい。それはなぜかというと、SOPHIAというものは、僕自身だったからなんです。SOPHIAというのは僕が旗を振って、当時僕のことしか知らないメンバーそれぞれが、僕のことを信じるしかないという形で結成し、そのままデビューしたんですね。だから、僕は前だけを見てずっと旗を振り続けてきた。だけど、都が命にかかわる病気を患って。それが原因ではないけど、その時期から様々な思惑がメンバーの中で派生していって、明らかにバンドとしての歯車がおかしくなっていって、無期限活動休止をせざるを得なくなった。それは僕にとって、初めての挫折よりも大きな、人生2回目の挫折だったんです。それでも僕は、“復活するんだ”とずっと思い続けて。“もうすぐ10年になるぞ”ってときに、“もう待てない、僕のなかで決めるしかない”と思ったんです。そうじゃないと自分でSOPHIAを否定してしまうことになる。だから、「1人でもやるんだ」という覚悟で声を上げたら「俺もやる」とメンバーが集まった。
▲豊田和貴(G)
──そうしてメンバー5人全員が揃って復活することができたわけですね。
松岡:結果的には素晴らしい形で、9年ぶりの復活ライブを開催できた。でも、僕らがすごいんじゃなくて、それができたのは、待っててくれた人たちがいたことに尽きます。いまだに僕らを応援し続けてくれてる人たちがいるからで。すごく恵まれてるなと思います。もちろん、その恵まれた環境が当たり前ではないということは、僕はデビュー前からずっと感じていて。“いつなくなるんだろう”って…なくなってしまう可能性のほうばかりを考えてしまう性格だからこそ、“いつダメになって、いつやれなくなっても、後悔がないように、今これをやり切る”。そういう気持ちで今もやってるわけで。
──そのときそのときをやり切る。その積み重ねが…。
松岡:そう。その積み重ねが、今回の<獅子に翼V>になっていった。“もうこれが最後かもしれない”と思ってやり切る。それを積み重ねてきただけなんですよね、SOPHIAがあるのは。
▲黒柳能生(B)
──なるほど。“積み重ね”とのことですが、今回の<獅子に翼V>に関して、実は、10年前の2013年8月12日、日本武道館で開催したSOPHIA活動休止前の最終公演にしてツアーファイナルの終演後、テロップで「次は、獅子に翼がいいね」と予告しているんですよね。
松岡:はい。さっき「<獅子に翼V>をできなかったことが、僕のなかで初めての挫折だった」と話したじゃないですか。「その次に、二度目の活動休止がさらに大きな挫折だった」と。SOPHIAが復活するときには、その二つの挫折が全部クリアになって、そうしたら“<獅子に翼>もやれるよね”という想いから、その言葉を出しました。
──まだなにもクリアになっていないときに、よく出しましたよね。
松岡:あれは僕が勝手にやりました。誰に相談することもなく。「これを最後のメッセージとして出してくれ」と言って。もちろん勝手といっても、“SOPHIAの想い”として出したものですけど。SOPHIAはそういうやり方でやってきたし、今もそこは変わらない。これはもう何回も言ってますけど、5人のメンバーのことをSOPHIAと呼ぶんじゃない。あの空間であり、あの空間に憧れや夢を持って集まったすべてを総称して、SOPHIAと呼んでいるんです。
▲赤松芳朋(Dr)
──それを代弁した形の「次は獅子に翼」というメッセージが起点となり、SOPHIA復活後の2公演目となる2023年1月8日の大阪城ホールで、<獅子に翼>を年内に開催することをいきなり発表しました。復活公演の日本武道館ではなく、大阪公演で発表したのはなにか理由があるのですか?
松岡:僕は義理堅い人間なんです(笑)。SOPHIAは関西から出てきたという誇りがあるんですね。僕は今、FM大阪でレギュラーラジオ番組(『SOPHIA 松岡充 のreturn to OSAKA 〜本当に進化したのか?!』)を毎週放送してるんですけど。デビューしたてで誰も見向きもしなかった頃、FM大阪さんが2ndシングルの「Early summer rain」をパワープレイにしてくれたんですよ! そうしたら、そこでばーっと一気に人気が出てきて、それが全国に広がっていった。そういうことを僕は忘れたくなくて。
──義理堅い人間としては。
松岡:ええ。復活は日本武道館でやりましたよね。そりゃそうですよ。活動を休止した場所だから。だけど、大阪でやらないってのはないと思ってたので、そのあとすぐに大阪城ホールをとったんです。
▲都 啓一(Key)
──やはり義理堅い人間として、大阪でやらないとダメだろうと。
松岡:そうです。西日本の皆さんのところへ帰って、大阪でちゃんと「ただいま」と言わないと。そう思って大阪城ホールを入れたんです。
──日本武道館と大阪城ホール、両方でやってこそSOPHIAの完全復活だと。
松岡:そういうことです。そしてSOPHIAはこれまで、最新ライブで次の活動を発表して、オーディエンスに直接伝えてきたので、大阪で<獅子に翼V>開催を伝えたんです。
──その時点で、<獅子に翼V>を開催することは決まっていたんですね。
松岡:はい! ただ、場所は決まってなかったです。日程も決まってなかったです。
──えっと、それは…。
松岡:“やる”という気持ちだけ決まってました。言いたくてしょうがなくて言ったんです。気持ちが大事ですから。詳細はなにも決まってませんでした。
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