【インタビュー】MINMI、20周年記念アルバム『essence』が物語る挑戦の連続「希望を見ようと思っています」

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■大切な人たちと好きな場所で好きなことを
■そうやって心豊かに生きていけたらいいな


──アルバムには「Shiki no uta (Tribute to SamuraiChamploo)」も収録。アニメ『サムライチャンプルー』エンディングテーマ「四季ノ唄」の英語バージョンですが、海外でも高い人気を得ています。

MINMI:アニメフェスで歌うと、オーディエンスの皆さんが合唱してくれます。黒人のヒップホップっぽい子たちも知ってくれていて、ビックリします。アニメソングの人気も年々上がっていて。今はK-POPの勢いがすごいですけど、日本のポップスが世界中の人に聴かれる未来が来てほしいなって思いますね。


──「四季ノ唄」は、MINIMIさんとNujabesさんのコラボ曲。お二人の作品は海外のリスナーにも浸透していて、現在、タワーレコード渋谷店では、CD作品の特集コーナーが設置されています。

MINMI:うれしいです! アナログレコードと同じように、CDが再評価されてきたのかもしれないですね。

──MINMIさんが主催する野外フェス<FREEDOM>についても聞かせてください。フェスとしてスタートしたのは2009年。コロナ渦の2021年は中止になりましたが、昨年2022年はクラウドファンディングが行われ、見事に復活を遂げました。

MINMI:いちばん最初は、産後で一人だけではライブができなくて、“友達に集まってもらって、イベントをやろう”というのが発端でした。野外で行うことにもこだわっていて、“自然を体感しながら、音楽を感じてもらって、みんなで解放感を味わってもらいたい”という気持ちがあって。

──人気アーティストを集めた客寄せのようなものではなく、フェス自体にメッセージやテーマがしっかり込められているんですね。

MINMI:そうですね。ビジネス的な発想の対極というか(笑)。インスピレーションに導かれてここまできてしまった感じです。最初は淡路島でスタートしたんですけど、そのときも「淡路島では集客が難しいから、大阪でやったほうがいい」って言われたんです。でも、淡路島でしか味わえないものが絶対にあると思ったし、どうしてもあの場所でやりたくて。フェスをやるためのインフラから整備しなくちゃいけなかったから、ビジネス的には本当に大変でした。それでも“やってよかった”と思うし、そうやって続けてきたからこそ、お客さんも支持してくれたんじゃないかなって。去年、「クラウドファンディングをやろう」って言ってくれたのは、お客さんたちなんですよ。



──オーディエンスも<FREEDOM>という場所をなくしたくなかったんでしょうね。今年2023年は<Freedom BAY 2023 千葉>として10月15日、千葉ポートパーク 円形芝生広場で開催されます。

MINIMI:去年の<FREEDOM 空 2022 淡路島>でスポンサーを務めていただいたOHKA HOLDINGSさんから、「千葉を盛り上げたい」というお話をいただきました。関東での開催は初めてだから、また挑戦ですね。といっても電気や水道もちゃんとあるし、初めて淡路島でやったときよりもだいぶラクだと思います(笑)。

──MINIMIさんの20年のキャリアは、本当に挑戦の連続ですね。音楽性はもちろん、活動のやり方やMINMIさんご自身の価値観も少しずつ変化していて。

MINMI:確かにそうですね。いつも目の前のことで精いっぱいで、過去を振り返ることもないんですけど、こうやって話を聞いてもらうと“いろんなことをやってきたな”と思います。私自身もそうだし、チームのみんなも成長していて。若いときは自分のことも相手のことも理解しきれていなかったし、ぶつかることもけっこうありました。今はお互いのことがしっかりわかっているし、やりたいことも明確になっていて。さらに挑戦しやすい環境になっていると思いますね。


──アルバム『essence』には新曲「未来へ」も収録。MINMIさん自身は今、どんな未来をイメージしていますか?

MINMI:希望を見ようと思っています。コロナのときは“この先、どうなっちゃうんだろう”ということがいっぱいあったじゃないですか。経済的なこともそうだし、“このままバーチャルな世界が発達して、リアルなコミュニケーションが減っていくのかな”とか。でも、まだ見えない未来を案じて不安になるより、“こうなったらいいな”という希望を見ていたいなと思うようになって。自分の家族や仲間と一緒に、それこそ本質的なことを大事にしていれば“きっと大丈夫”というか、いろんなことを乗り越えていけるんじゃないかなと。

──素晴らしいです。どうしても良くない未来を想像してしまうニュースが多いので……。

MINMI:そうですよね。だからこそ、希望的観測だったり、自分を取り戻すことが必要じゃないかなって。今回のアルバムにもそういうことを歌った曲が入っていますが、価値観も多様になっているし、生き方も選べるじゃないですか。私がデビューした頃は“東京に行かなきゃダメ”という感じだったけど、今はSNSやYouTubeがあるし、好きなところに住んで音楽をやることもできる。まずは深呼吸して、“自分とって大事なものって何だろう”というところに立ち返って。大切な人たちと好きな場所で好きなことをやる。そうやって心豊かに生きていけたらいいなと思っています。

取材・文◎森朋之

■20周年記念アルバム『essence』

2023年9月21日(木)リリース
【通常盤 (2CD)】MSBU-001 3,690 円(税込)
※P ケース 24Pブックレット(オールカラー)
▼DISC1 -月の歌 Tsuki no uta-
01. Find me ※新曲
02. essence ※新曲
03. Gi mi di riddim feat.MINMI &ジャパニーズマゲニーズ / RED SPIDER
04. Bam Bam feat. 775
05. GIFT feat. CHEHON
06. Single Mother
07. MOTHER EARTH 〜森里川海のうた〜 ※新曲
08. Light it up
09. 花火 feat. 三木道三
10. Tsuki ※新曲
▼DISC2 -空の歌 Sora no uta-
01. JUMP UP MINMI / KENTY GROSS / APOLLO / RED SPIDER and XLII
02. C lover
03. Good Good rap ver. feat. 晋平太 / SIMONJAP
04. never give a feat. Lakopo ※新曲
05. imacoco feat. T-SPICE
06. WATARIDORI ※新曲
07. Shiki no uta (Tribute to SamuraiChamploo)
08. 麻の中の蓬
09. タイムカプセル
10. 未来へ ※新曲
11. C lover remix ※新曲


■タワーレコード渋谷店7FにてNujabesフェア開催

「アニメ『サムライチャンプルー』の海外からの評価の高まりとともに、そのエンディング曲となるMINMIさんの「四季ノ唄」に注目が集まっています。この曲はNujabesがトラック制作をしたということも要因としては大きいのかもしれません。
「ヒップホップで有名な日本人は?」と日本国内で訊いてもNujabesの名前を挙げる人はほとんどいないと思いますが、海外の人に同じ質問をするとNujabesの名前を一番に挙げる人は多いはずです。ところが、「四季ノ唄」が収録されたMINMIさんの2ndアルバム『imagine』は現在廃盤になっている。そこで、タワーレコード限定再プレスの話を当時のレコード会社とすすめていたところ、今回の20周年記念アルバム『essence』リリースタイミングで実現できることになりました。
 タワーレコード渋谷店は海外のお客さんの観光名所になっている部分もありまして。現在7階にNujabesの特設コーナーを設けているんですが、そこで展開している再プレス『imagine』をご購入される海外のお客さんは少なくありません。つまり海外でのMINMIさん人気の高まりを表す現象だと認識しています」
──タワーレコード渋谷店 常谷卓

■<OHKA HOLDINGS presents Freedom BAY 2023 千葉>

10月15日(日) 千葉ポートパーク 円形芝生広場
open / start11:30 ※終演19:00予定
※雨天決行 / 荒天中止
▼出演
MINMI / RED SPIDER / DOZAN 11 aka 三木道三 / KENTY GROSS / t-Ace / APOLLO / NATURAL WEAPON / GADORO / ジャパニーズマゲニーズ / INFINITY16 / 導楽 / WARSAN / J-REXXX / Blue Vintage / lecca / 775 / edhiii boi
Special guest : 卓真 (10-FEET) / TEE ※Blue Vintage ステージゲスト出演
主催:MASTERBEAU / OHKA HOLDINGS



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