樋口楓・熊田茜音・TRUE・叶がLantis Presents合同フリーイベント開催

樋口楓が、4thシングル『三D』のリリースを記念したフリーイベントを、9月5日・6日の2日間、東京の池袋・サンシャインシティ 噴水広場で開催。彼女が所属する音楽レーベル・Lantisのレーベルメイトたちを迎え、あらゆる意味で垣根を感じさせないユニークな催しとなった。

◆イベント写真

1日目は＜Lantis Presents でろーんのトモダチフェス〜熊田茜音さんとTRUEさんと一緒〜＞と題した、声優アーティストの熊田茜音、アニソンシンガーのTRUEとの合同リリースイベント。会場の池袋・サンシャインシティ 噴水広場といえば、数々の有名アーティストがイベントを行ってきた“聖地”として知られるスペースだが、おそらくVTuberと生身のアーティストが一緒にイベントを行うのはこれが初ではないだろうか。

三者のファンが期待の目でステージを見守る中、開演時刻の18時になると、施設備え付けの大型ビジョンに樋口が登場。ブルーのコートにパンツルックというアーティスト活動ではお馴染みの恰好でステージ風のセットに立つ彼女は、挨拶もそこそこに早速ニューシングル『三Ｄ』より、TVアニメ『英雄教室』のオープニング主題歌「Bravery? Naturally?」を爽快な歌声で届ける。楽曲に合わせて噴水が上がる、この会場ならではの演出も見ものだった。


その後のMCで樋口は＜トモダチフェス＞というイベント名の由来は、TVアニメ『英雄教室』にあることを説明。同アニメの主人公・ブレイドが友達作りを目的にしていることから、樋口もTRUEや熊田、そして会場の観客とも次元の垣根を越えて友達になれたら、という想いを込めて＜トモダチフェス＞と名付けたのだという。「小学生が考えたようなタイトルですけども（笑）」と笑ってはいたが、彼女らしい素敵なネーミングだ。そして最新シングルより、ゲーム『すだまリレイシヨン』のオープニング主題歌「Around the bizarre world」、ドラマ『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』のオープニングテーマ「ぶっ飛んでラニカイ」を披露。ダークな曲調に合わせて熱と影のあるパワフルな歌声を響かせた前者、手振りと共にノリの良いパフォーマンスを披露した後者と、それぞれでまったく異なる魅力を見せつけた。


さらに「せっかくの＜トモダチフェス＞なのでもう1曲歌わせていただいてもいいですか？」と語ると、熊田茜音を呼び込んで、熊田の最新シングルに収録されている2人のコラボ曲「Take My Chance（feat. 樋口楓）」をライブ初披露。噴水広場のステージを元気いっぱいに動き回りながら歌う熊田と、大型ビジョンからエネルギッシュな歌声を届ける樋口。次元を超えた“トモダチ”のパワーが会場の熱気をグングンと上昇させていく。

そのまま樋口からライブを引き継いだ熊田は、「今日はめっちゃ晴れましたよね？なのでこの曲を持ってきました！」と告げて自身のデビュー曲「Sunny Sunny Girl◎」を、太陽のようにまぶしい笑顔を浮かべながら歌唱。続く「Brand new diary」では、ときにクルッとターンしたりステージ上を無邪気に動き回りながら、観客に発破をかけて歓声と熱気を引き出す。噴水広場が憧れのステージの1つだったと語る熊田が、最後に歌ったのは、彼女の最新シングルの表題曲であり、TVアニメ『英雄教室』のエンディング主題歌でもある「Another Self」。その温かで力強い歌声、ファンの目をしっかりと見つめて向き合う真摯なパフォーマンスに、心を奪われた人は多かったのではないだろうか。


そしてTRUEが静かに、かつオーラを感じさせる堂々とした佇まいでステージに登場。「最後までどうぞ音楽を楽しんでください」と呼び掛けた彼女は、「DelighT」でライブをスタート。ファンからクラップと歌声の音源を募って制作されたこの楽曲、全編にわたって観客とクラップや「Wo-Oh」という歌で一体になれるパートがあり、TRUEは歌いながら「せーの！」と声をかけて観客との団結感を作り上げていく。複雑なパートも多いのだが、YouTubeに上がっている練習動画でしっかりと予習してきたファンが多かったのか、その統率ぶりは壮観のひと言だった。


続く「Another colony」では、すべての杞憂を吹き飛ばすような希望と生命力に溢れた歌声を噴水広場いっぱいに響き渡らせ、そのすさまじい声量に思わず足を止めて見惚れる人もちらほら。そして最後は、劇場アニメ『特別編 響け！ユーフォニアム～アンサンブルコンテスト～』の主題歌「アンサンブル」を歌い、壮大なオーケストラサウンドとそれに負けないパワフルなボーカルによる圧巻のアンサンブルで、イベントのライブパートを大団円で締め括った。


2日目は＜Lantis Presents ひぐちとかなえ at 池袋・サンシャインシティ 噴水広場＞ということで、樋口と同じにじさんじ所属のバーチャルライバーで、Lantisに所属してアーティスト活動も行う叶との合同リリースイベントに。まずは前日と同様、樋口が大型ビジョンに登場し、ディスコ調の華やかな「イロドレ・ファッショニスタ！」からライブをスタート。前日のイベントで「ダンスは苦手」と話していたが、サビで振りを踊りながら歌う姿は様になっているし、観ているこちら側も楽しくなる。噴水の演出も相まって、派手なオープニングとなった。


その後のMCで「市場調査」と称して、会場に駆け付けた観客にどこから来たかのアンケート（「関東」と「関東以外」）を取ってコミュニケーションすると、続いて「ビューティーMYジンセイ！」と「ぶっ飛んでラニカイ」の2曲を連続で披露。どちらもドラマ『量産型リコ』のタイアップ曲で、陽性のダンスポップなサウンドと弾けた歌詞が、樋口のキャラクターと明るい歌声にマッチしている。観客にクラップを促して盛り上げる場面もあり、ロック寄りの楽曲が多かった前日のライブとはまた違うポップなアーティスト性を発揮してみせた。


そしてここからは叶にバトンタッチ。白い衣装を纏った彼は、気さくな雰囲気で会場に集ったファンに向けて手を振って挨拶すると、それぞれ雰囲気の異なる3曲のラブソングを収めた1stシングル「How Much I Love You」より、都会的なサウンドと切ないメロディーがマッチしたシティーポップ調の「minority」を歌唱。倍音多めの心地良い低音と、ハッとなるような高音を織り交ぜた歌声で、楽曲の哀切感ある世界を表現する。

その後のMCで「最近切なかったこと」として「食事の宅配サービスでお弁当を頼んだらタテに入れられていた」というエピソードを披露して笑いも取りつつ、続いて先ほどの楽曲よりも強めのリズムに情熱的なボーカルを乗せたアップチューン「わたしのリンゴ」を歌うと、そこから間髪入れず、恋しているときの幸せな気持ちがそのまま表現されたようなポップで軽快なナンバー「How Much I Love You」に繋げ、左右に動きながら優雅なステージングでファンを魅了した。


最後は再び樋口が合流し、叶と2人で噴水の演出で遊びつつ（「ニジワーツ魔法学校」で組分け済みの叶は呪文、組分けされていない樋口は気迫で噴水の水を操っていた）、スペシャルコラボとしてお互いの楽曲をメドレー形式でデュエット。樋口の「たこ焼きロック」、叶の「ブロードキャストパレード」と、まったく異なる曲調の2曲を続けて一緒に歌う、合同イベントならではの超レアなステージに会場のファンもひと際大きく盛り上がっていた。2日目のライブパートの模様はYouTubeでライブ配信され、現在もアーカイブが残っている。


また、今回のイベントでは特典会も行われたのだが、1日目では樋口がポストカードサイン会を実施。樋口がファンの希望の宛名を書いたポストカードをプリンターから出力してスタッフが手渡しするという、斬新なスタイルだった。そして2日目は樋口と叶によるお見送り会が行われ、2人が等身大サイネージを通してファンとの交流を行っていた。1日目の熊田やTRUEとの共演を含め、今回のイベントは樋口が自身の目標として常々公言している、「二次元と三次元の壁を壊したい」という願いにまた一歩近づいた瞬間だったように思う。


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文◎北野 創
写真◎スタジオレンズマン（花菜、ゾエ）