【インタビュー】BAND-MAID、アメリカ/メキシコ・ツアーを終え夢の横アリへ「またさらに強くなった」

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■これまで以上にBAND-MAIDの音楽自体を認めてもらえてる

──メキシコシティ公演もすごかったようですね。関係者の撮影による映像を少し見させてもらったんですが、開演前からずーっと歓声が上がり続けていて。

小鳩ミク:メキシコは5年ぶり、3度目だったんですけど、5年前よりも今回のほうが反応がすごかったですっぽ。

SAIKI:完全にぶちあがってる感じで。

AKANE:なにしろメキシコは開演1時間前からBAND-MAIDコールが始まるんです。

小鳩ミク:そうなんですっぽ。そのタイミングで始めるのが決まってるのかなっていうくらい、毎回きっかり1時間前にすごく盛り上がるんですっぽ。

SAIKI:曲間とかで少しでもしーんとした瞬間ができたりすると、そこでも誰かがメンバーの名前を叫んだりとか。スキあらば入ってくるみたいな感じで。

小鳩ミク:そう、間を空けまいとする強い意志を感じますっぽ(笑)。

SAIKI:そういう部分もすごかったし、メキシコは5年ぶりということもあったので、曲を聴き込んでくれてる人が多いなってすごく感じました。しかも日本語で一緒に歌ってくれていて、びっくりしましたね。

小鳩ミク:完璧に歌えてる人が多かったですっぽ。ずーっと歌いっぱなしの人もいたりとか。

SAIKI:メキシコは公用語がスペイン語だから、英語が苦手な人も結構多いはずなんですけど、英語で話しかけてくれる方も多かったし、そういうのも嬉しかったですね。

小鳩ミク:私たちが、メキシコのご主人様お嬢様が日本語と英語を勉強する動機になってるのかもしれないですっぽ。

AKANE:うん。とにかくあの熱量には圧倒されましたね。


──こうして繰り返し渡米している中でファンの変化も感じているはずですが、現地のプレスの反応などについてはどうですか? 自分たちの受け止められ方、評価のあり方が変わりつつあるのを感じていますか?

小鳩ミク:そうですっぽね。実際のことろ、以前はものめずらしさというのが理由のひとつになっていたというか。「女の子がなんでバンド始めたの?」とかそういう部分に注目されてるんだってことを取材を通じて感じることが多かったんですけどっぽ、最近はBAND-MAIDとしての音楽のルーツだったり、今後その音楽をどうしていきたいかとか、そう質問をされる機会が増えてきていて、これまで以上にBAND-MAIDの音楽自体を認めてもらえてるんじゃないかなというのを強く感じるようになりましたっぽ。私たちが本来求めたい方向というか、BAND-MAIDという音楽ジャンルを確立させることを目指していることがちゃんと浸透してきたのかなって思いますし、自分たちの曲がちゃんと言語の壁を越えて伝わってるんだなとわかるようになりましたっぽ。

AKANE:音楽性に着目してもらえてるというのもあるんですけど、個々の音楽的背景や影響を受けてきたものについて訊かれることも多くなってきていて。そうやってメンバー個々について関心を持ってもらえるようになってきたのも大きいと思っています。ちゃんとアーティストとしての見られ方になってきているというか。

KANAMI:そういう変化は私も感じます。たとえば「そのリフはどうやって作ったのか?」とか、そうやっていろいろ深堀りしてもらえたりすると、こちらとしても話していて楽しいし、嬉しいことだなって思います。正直、最初の頃は見た目の話ばかりに終始することも多かったんですけど、曲のこと、ギターのこととかをしっかり質問してもらえるのは嬉しいです。


──国内ツアーとの違いは規模的にも文化的にもいろいろあると思いますが、当事者としての気持ち的な差異というのもあるんでしょうか?

小鳩ミク:日本国内でのツアーの時よりも“闘ってる感”がどうしても強くなってきますっぽね。日々、バスでみんなと一緒に移動しながらツアーを続けていく形だと、おのずとそうなってくるというか。国内を廻っている時は、公演先に行って、戻って来てまた違う土地に向かう、みたいな流れになるじゃないですか。それとは違って、ずっとツアーに出っぱなしでみんな一緒に生活するようになるわけなので、やっぱりメンバー間の絆も強くなってくるんですっぽ。

SAIKI:日本はやっぱり島国なんだな、と思うことがありますね。広さも違いますけど、アメリカって多国籍な人たちが集まる国じゃないですか。ホントにちょっと移動しただけで「こんなに街の雰囲気が変わるの?」と思わされたりするし、そこにいる人たちまで違ってくるので。そういう違いをすごく感じるんですよね。

小鳩ミク:次の街まで行くのに時間もかかるっぽね。同じ国内でも時差があるし。

SAIKI:「あれ? バスが出発してから1時間経ったのに逆に1時間戻ってる。どうなってるの?」みたいな(笑)。そういう時間感覚の違いもあるから、共同生活の中での団結力が上がるのというのもありますね。いわば、すごく広い大地にポンと置かれてるようなものじゃないですか、私たち。そこで、「日本のロックをしっかり届けような!」みたいな使命感的なものがすごく強くなったとは思いますね。


──チームとして一丸となって取り組んでいかないとならない。だからこそ“闘ってる感”が増してくるわけですね?

小鳩ミク:そうですっぽね。そこはメンバーだけではなくてスタッフも含めてのことで。みんなで「これがBAND-MAIDだ! 日本のロックはこれだぞ!」というのを伝えていくというか。そういう感覚が強くなってますっぽね。

AKANE:共同生活の中で楽器のテックさんとか、PAさんと深く話せるというのも大きくて。メンバーともお給仕が終わったその夜のうちに話ができて、それを次のお給仕にもすぐ反映できたりするので。

KANAMI:明日はここをこうしよう、とかね。そういうフィードバックがやりやすい。

AKANE:うん。そうやってメンバーともスタッフさんとも常に話せるというのがいいな、というのは実際思いましたね。

──コロナ禍以前の日本国内でのツアーの際には、それこそ打ち上げでスタッフさんと話したことを翌日に反映させて、という周り方をしていたわけですよね。そういったツアーならではの日々というのを、今は国内ではなく海外のほうで味わえている、ということでもあるわけですね?

MISA:そうですね。しかもより濃くそれができる、という感じですね。

AKANE:うん。打ち上げとかそういう機会以上に、深いところでの意思の疎通がとれるというか。

MISA:しかもそんな毎日が楽しかった。マイナスなことがひとつもなくて、ホントに毎日毎日楽しかったんです。


──食事の面などについて問題はないんですか? ツアー中の食事というと、公演を終えてバスに戻ると巨大なピザがたくさん届けられて「みんなでシェアしてくれ」みたいな大雑把な感じになりがちなものだと思うんですが。

小鳩ミク:たいがいはそうなりがちなところなんでしょうけど、そこはスタッフのおかげでとても良い食事をとれてるんですっぽ。「そろそろ日本食が恋しくなってきたんじゃないかな?」とか、そういうところで気を遣って、すごく私たちをケアしてくれていて。

AKANE:私たちの知らない間にご飯を焚いておいてくれたりとか。

小鳩ミク:オフの日にはスタッフも含めてバーベキューをしたりもするんですっぽ。だから食事に関しても不満も一切なくて。もちろん自分たちでも日本の食材を持ち寄ったりとか、レンジで作れるものを持参したりとか、そういった工夫はしてるんですけど、ツアーの回数を重ねるごとにそういった面も改善されてきて。そこはすごく適応してもらえてますっぽ。

SAIKI:適応能力が高すぎるんです、マネージャーが私たち以上に(笑)。

小鳩ミク:ホントに初めての海外ツアーの頃からすると考えられないくらい良い環境になってますっぽ。最初の頃は「今日、食べられるものがひとつもないっぽ」みたいなこともありましたけど。

SAIKI:そうそう。最初に行ったのがヨーロッパで、見たこともない料理が出てきたり。「これはいったい何の肉なんだろう?」ってみんなでつついたりしてましたね(笑)。

小鳩ミク:美味しいのかもしれないんだけど最初の一口目がちょっと怖かったりとか。

AKANE:だけどちゃんと食べないとパワーも出ないし。

小鳩ミク:そんな私たちが今ではプロテインとかアミノ酸を持参してたりもするんですっぽ。だからちょっとアスリートみたいな気の使い方になってきてますっぽね。


──本当に“闘いモード”にあることがよくわかります。さて、そんなアメリカ~メキシコツアーを終えて、この9月から10月にかけては国内でのツアーが再開され、11月26日の横浜アリーナ公演も刻一刻と近付きつつあります。それに向けてのヴィジョンもよりクリアなものになりつつあるはずだと思うんですが。

小鳩ミク:徐々にね。

SAIKI:うん。アメリカに行く前、7月ぐらいからそれに向けての具体的な細かい話を詰め始めていて。「こういうことをしたいって話を前にしましたけど、どうなってますか?」みたいな確認がその時点でできていたので、8月のアメリカとメキシコでのツアーの時も、それを視野に入れながら「こうやっていくぞ!」という感じの演奏内容になっていたり。着々と準備は進んでます。

小鳩ミク:海外ツアーも国内ツアーも、すべて横浜アリーナでのツアーファイナルを見据えながら細かく回っているわけなので、それに向けて徐々にいろいろできあがりつつある感覚ではありますっぽ。

SAIKI:KANAMI先生にもいろいろ要望を出してます。「こういう繋ぎをやって」とか、「ここはイントロを延ばすといいんじゃない?」とか。

──KANAMIさん、無理な注文が来たりしてませんか?

KANAMI:ううん、全然。むしろ、無理もします(笑)。横浜アリーナのためなら何でもします(笑)!

──KANAMIさんに何かお願いするならば今がチャンスですね(笑)! 最後に、横浜アリーナ公演に向けての今現在なりの意気込みを聞かせてください。

MISA:まず自分が横浜アリーナに立つなんて、このバンドが始まった当時の自分には想像もできてなかったし、すごく嬉しいです。会場の広さの違いとかは関係なく、もう普段通りみんなと楽しみたいし、いつも通りの自分のままやっていきたいなと思います。これはあくまで通過点なんだと思うからこそ。

AKANE:この結成10周年のツアー自体が3月に始まった当初はまだあんまり実感がなかったんですけど、こうして日本もアメリカも細かく回ってきて、憧れてきた大きなフェスのステージにも立たせてもらって、「はじめまして」の人たちにもいっぱい出会ってきて……そんな過程を経て、覚悟が決まったというか。ここに来るまでに緊張もたくさんしてきたから、逆にいつも通りの演奏ができそうな気はしてますね。すべてはそのための経験だったと思えるというか。

──何にも臆することはないし、ビビる必要はないということですね?

AKANE:うーん、実際あの場に立てばきっとビビるんでしょうけど(笑)。でも、あとはもう自分を出すだけだっていう気持ちですね。

KANAMI:最近「もしかしたらこのお給仕が最後かもしれない」みたいなことを考えることがよくあるんです。そんなふうに思いながら曲を弾いてたりすることもあって。自分自身も、世界も、明日どうなるかなんてわからないじゃないですか。だから毎回のお給仕についても「また今度観に行けばいいや」というふうに思われないものにしたいなと考えていて。特に横浜アリーナという場所に立つのは大きな夢のひとつでもあるわけですし、その日はその1日限りのものなので、自分の人生を通じて最高の瞬間のひとつにできるように全力で臨みたいと思っているんです。だから見逃さないようにしていただきたいな、と思っています。

SAIKI:国内もツアー廻って、5月と8月にはアメリカにも行って……そこで感じたのは「また成長しちゃったな」「またさらに強くなっちゃってるな」ということで(笑)。自分たちの見せ方についてもより固まってきてるし、いっそう伝えやすくなっていると思うので、この先の国内ツアーを通じてそれを曝け出していって、みんなを魅了してやりたいなという気持ちです。そして横浜アリーナについては、単独公演としての規模感はこれまでで最大ですけど、BAND-MAIDにはあの広いステージがとても似合うはずだと思うから、その空間で、溢れんばかりの私たちのエネルギーを発揮して、それを皆さんに持って帰ってもらえればいいかな、と。だから……ホントに覚悟しとけよ、と思ってます(笑)。

小鳩ミク:怖いっぽー(笑)!


──言葉選びが“闘いモード”になってますね!

小鳩ミク:ホントですっぽ(笑)。でも実際、結成10周年という記念すべき年のツアーファイナルをどこでやりたいかっていう話を始めた当時から、横浜アリーナというのはずっと目標にしてきた場所でもあるし、そこで実際やれるというのはすごく私たちにとって大きなことで、大きな節目にもなると思うんですっぽ。この節目を大事にしつつ、今まで世界各国を廻りながら経てきた自分たちの成長のすべてを見せられるはずだと思いますっぽ。結成当初の私たちにはできなかったことが、さまざまな挑戦や努力を重ねてきたことで、このツアー・ファイナルでは可能になっているはずなんですっぽ。それと同時に、成長を遂げてきたからこそ披露できる新しいものもあるはずですし、このお給仕の一瞬一瞬が私たちにとってすごく大切なものになるはずなので、絶対に見逃して欲しくないと思いますっぽ。今の自分たちの姿でご主人様お嬢様を圧倒したいですし、「これが世界のBAND-MAIDだ!」って言えるようなお給仕にしたいと思っていますっぽ。

──この先も期待を膨らませつつ、楽しみにしています。この夏のように突然新曲が登場したりすることもあるだけに、あれこれ用心しながら

小鳩ミク:ぽ!(笑)

取材・文◎増田勇一
ライブ写真◎ FG5

<BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR(JAPAN)>


詳細:https://bandmaid.tokyo/contents/609624

※すでに終了した公演は割愛
9月30日(土) TAKAMATSU MONSTER
10月1日(日) MATSUYAMA SALONKITTY
10月7日(土) AKITA Club SWINDLE
10月9日(月祝) MIYAGI SENDAI GIGS
10月13日(金) HOKKAIDO SAPPOLO PENNY LANE24
10月15日(日) HOKKAIDO OTARU GOLDSTONE
10月20日(金) OSAKA NAMBA HATCH
10月25日(水) AICHI NAGOYA DIAMOND HALL
11月26日(日) KANAGAWA YOKOHAMA ARENA (TOUR FINAL)

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