【レビュー】『マガツノート』からミニアルバム発売。 “ダーク楽曲メディアミックスプロジェクト”という看板に偽りなし

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近未来戦国を舞台にしたダーク楽曲メディアミックスプロジェクト『マガツノート』。今夏にはプロジェクト初のライヴハウスツアーを開催し、“有害人類”達を熱いステージで魅了した(“有害人類”は『マガツノート』に登場する用語であり、同プロジェクトのファンネーム)。また、ボイスドラマは待望の『Season:3』が9月からスタート。様々な謎をはらみながら、登場する武将達の想いが錯綜するシリアスな物語が展開されているが、そんな中、10月15日にミニアルバム『Side:EXPOSE Vol.1』がリリースされた。

◆トレーラー映像

本作のタイトルでもある【Side:EXPOSE】とは、『マガツノート』に登場する武将達のソロ楽曲プロジェクト「COVER&EXPOSE」から来ている。このプロジェクトは、ダークな名曲をカバーすることで各武将達の外面的な部分を表現する【Side:COVER】と、書き下ろし楽曲で武将達の素顔や弱さ、秘めた欲望といった内面的な部分を表現する【Side:EXPOSE】からなるもの。つまり今回のミニアルバムは、『マガツノート』のオリジナル楽曲のみで構成された作品ということだ。

『Side:EXPOSE Vol.1』には全5曲が収録されている。全楽曲の作詞を手がけたのは、J-POP、K-POP、アニメ、ゲームなど、多岐にわたって活躍している作詞家・中村彼方。作曲/編曲を担当したのは、“シーンの常識を上書きするヴィジュアルロックバンド”を名乗るnuriéのギタリスト・廣瀬彩人と、今年4月に正式に再結成を発表すると同時に、2025年に開催する日本武道館ワンマンで解散すると宣言したWaiveのギタリスト、杉本善徳の2人だ。廣瀬は「破壊天秤」「最終結論」「戯言」「All or Nothing」の4曲、杉本は「愛の鳥籠」を担当している。また、演奏陣にはコンポーザーの廣瀬はもちろん、Yuh(G/vistlip)、村井研次郎(B/cali≠gari)、shuji(Dr/ex.Janne Da Arc)が参加という、超強力布陣で制作されている。



収録曲を1曲ずつ見ていこう。まずは、政宗(CV.峯田大夢)の「破壊天秤」。【Side:EXPOSE】の第1弾として世に放たれたこの楽曲は、開口一番、凶暴なグロウルとヘヴィなバンドサウンドが襲いかかってくるラウドナンバーだ。クールな歌声を響かせながらも、全編で飛び込んでくる強烈なデスボイスは破壊力抜群。正義と悪の挟間で打ちひしがれ、己の存在価値を自身に問いかけていく言葉達は、政宗というキャラクターらしい部分でもある。それと同時に、〈制裁中毒〉というワードが象徴するように、人間という生き物の弱さや、ひいては現代社会の病巣とシンクロしている部分もあるだろう。



「破壊天秤」に続いて、EXPOSE楽曲第2弾として公開されたのが、家康(CV.美藤大樹)による「最終結論」だ。どんな手を使ってでも生き延びようとするしたたかさや、主君として仲間を守る強い責任感を持ちつつ、政宗に対して異常なまでの愛憎を抱いている家康。「最終結論」では、そんな家康の臆病でナイーヴな部分が綴られている。憂いに満ちたギターが鳴り響く中、皮肉混じりに自身を見つめ、〈怖い〉〈逃げ出したい〉と、あどけなさのある歌声で心中を吐露し、絶叫する。どこまでも繊細で、メランコリックなミディアムナンバーになっている。



優麗な3拍子と荘厳なシンフォニックサウンドで構築されているのは、才蔵(CV.堂島颯人)の「愛の鳥籠」。艶やかでありながらも、どこか危険な香りを放つ歌声で倒錯した世界を紡いでいくところは、妖艶な魅力を持った彼らしい部分ではある。それでいて、各コーラスの冒頭に設けられている台詞パートは、“ARK史上最悪の殺人鬼”と呼ばれた才蔵という人物が形成された、幼き日の出来事を独白しているような印象も。〈私ともっと触れ合いしましょう〉と、ときに華麗に、ときに激情的に繰り広げられる禁断のスローナンバーに仕上がっている。



続いて、織田信長(CV.神尾晋一郎)による「戯言」。すべてをねじ伏せるように轟く重厚なバンドサウンドと、悲痛に鳴り響くピアノの音色が絡み合う中、強烈なローボイスと邪悪な高笑いを響かせる。絶対的な存在として君臨している彼らしい威圧感を放つ楽曲だが、歴史上の人物である織田信長が好んだとされる“人間五十年〜”という一節に通じるような儚さを感じさせるところもポイントのひとつだろう。無慈悲で、すべてを掌中に収めんとする彼がこの曲で歌う〈お前〉とは、一体誰のことなのか。そんな妄想も捗るヘヴィナンバーだ。



ラストは直政(CV.沢城千春)の「All or Nothing」。感傷をまといながら疾走していくストレートなバンドサウンドと共に、ときにがなり気味に叩きつけるように力強く歌い上げるところは、“家康配下最凶の狂犬”と称される彼らしさに溢れている。気性も口調も荒いところがあるが、実は自己犠牲の精神が非常に強い直政。その一面がフィーチャーされたエピソードも前シーズンにはあったが、そんな彼が〈だいたいが代替品だけどそれで終わりたくない〉と歌うラインは、とてつもなくエモーショナルに胸に響く部分でもある。

どの楽曲も登場人物の素顔や心の深淵を描いていることもあり、『マガツノート』の物語に深みを与える、もしくは考察を加速させるようなものになっている。そう書いてしまうと、ストーリーを追っていないとわからないのでは?と思ってしまうところもあるかもしれない。その部分もあるとは思うが、退廃的な空気感のあるメロディアスなロックサウンドが好みのリスナーであれば、間違いなく深く刺さる逸品ばかりでもあるだろう。“ダーク楽曲メディアミックスプロジェクト”という看板に偽りなしの1枚だ。

なお、『Side:EXPOSE Vol.1』を生で体感できる公開収録イベント<マガツノ集会 出張版 第2回~大暴露騒動~>が、本作の発売日である10月15日に、東京・LUMINE 0にて開催された。こちらでは本作で歌唱を担当した峯田、美藤、堂島、神尾、沢城の5名によるトーク&バラエティコーナーや、会場限定ミニライブが行われた。そして本イベントでは12月17日に大阪、1月28日に東京にて、大型ライブイベント<解放区-冬の陣->を開催することが発表された。

<解放区-冬の陣->ではライブイベント初参加となる岡本信彦や野島健児ら総勢10名超の声優が、HAZUKIやluzらコラボアーティストと共演し、コラボステージを含む豪華パフォーマンスを披露する。10月15日にホリーホックの新コラボ楽曲アーティストとして起用が発表されたAshmaze.も、12月17日開催の大阪公演に初参加する。ほか、<アニメイトガールズフェスティバル2023>池袋・サンシャインシティ 噴水広場ステージの出演者情報や、カズキヨネが「禁縛」をテーマに描き下ろした武将16名の新イラスト、新グッズ情報等も公開された。

また、ソロ楽曲プロジェクト「COVER&EXPOSE」の【Side:COVER】楽曲も、マガツノート公式YouTubeチャンネルで続々とアップされている。現在は7曲が公開されており、先日も光秀(CV.岡本信彦)が歌うPlastic Tree「絶望の丘」が解禁。ここから公開される楽曲のラインナップもすでに発表されているので、現在進行中のボイスドラマ『Season:3』と合わせて、さらに熱く、さらに深まるマガツノートの世界を楽しんでいただきたい。

文◎山口哲生

『マガツノート「Side:EXPOSE」Vol.1』

2023年10月15日リリース
価格 : 2,500円(税込)

収録楽曲 :
『破壊天秤』
https://youtu.be/eVbHEIPVxJw

Vocal : 政宗 [CV:峯田大夢]
Lyrics : 中村彼方
Music : 廣瀬彩人 (nurié)
Arrange : 廣瀬彩人 (nurié)
Guitar : Yuh (vistlip)
Guitar : 廣瀬彩人 (nurié)
Bass : 村井研次郎 (cali≠gari)
Drums : shuji (ex.Janne Da Arc)

『最終結論』
https://youtu.be/fKaAwLXYe2g

Vocal : 家康 [CV:美藤大樹]
Lyrics : 中村彼方
Music : 廣瀬彩人 (nurié)
Arrange : 廣瀬彩人 (nurié)
Guitar : Yuh (vistlip)
Guitar : 廣瀬彩人 (nurié)
Bass : 村井研次郎 (cali≠gari)
Drums : shuji (ex.Janne Da Arc)

『愛の鳥籠』
https://youtu.be/9l5px43p9EQ

Vocal : 才蔵 [CV:堂島颯人]
Lyrics : 中村彼方
Music : 杉本善徳 (Waive)
Arrange : 杉本善徳 (Waive)
Guitar : 廣瀬彩人 (nurié)
Bass : 村井研次郎 (cali≠gari)
Drums : shuji (ex.Janne Da Arc)
Synth Programming : 杉本善徳 (Waive)

『戯言』
https://youtu.be/pia_Lbyhh9o

Vocal : 織田信長 [CV:神尾晋一郎]
Lyrics : 中村彼方
Music : 廣瀬彩人 (nurié)
Arrange : 廣瀬彩人 (nurié)
Guitar : Yuh (vistlip)
Guitar : 廣瀬彩人 (nurié)
Bass : 村井研次郎 (cali≠gari)
Drums : shuji (ex.Janne Da Arc)

『All or Nothing』
https://youtu.be/zRYPsNRcVKw

Vocal : 直政 [CV:沢城千春]
Lyrics : 中村彼方
Music : 廣瀬彩人 (nurié)
Arrange : 廣瀬彩人 (nurié)
Guitar : Yuh (vistlip)
Guitar : 廣瀬彩人 (nurié)
Bass : 村井研次郎 (cali≠gari)
Drums : shuji (ex.Janne Da Arc)

▼ダウンロード販売
2023年10月15日(日)よりダウンロード版の販売開始
※DL配信ストア : iTunes、Amazon music、music.jp、オリコンミュージックストア、mora、レコチョク、OTOTOY、着信★うた♪by KONAMI 等主要サービスを予定

▼定額制音楽ストリーミング配信サービス(サブスク)配信
2023年10月30日(月)より各種定額制音楽ストリーミング配信サービス(サブスク)配信予定
※サブスク配信ストア : Apple Music、Spotify、YouTube Music、LINE MUSIC、amazon music、AWA 、facebook music等主要サービスを予定

『マガツノート』ボイスドラマ

OBCラジオ大阪×ミクチャ「サクラバシ919」(月~金 23:00~25:00)内で最速放送
毎週水曜日 24:00過ぎ〜各話15分 ※生放送のため放送時間が変更になる場合がございます。
水曜日メインパーソナリティー;神尾晋一郎(マガツノート・織田信長役)

視聴方法:
(1) OBCラジオ大阪(AM1314kHz、FM91.9MHz)
(2) 「radiko」(スマートフォンでラジオを聞けるアプリ)
(3) ライブ配信&動画アプリ「ミクチャ」でのライブ配信
※放送後24:30よりマガツノート公式YouTubeチャンネルにてプレミア公開を行います。(アーカイブ有り)

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