【フェスレポート】G-FREAK FACTORY主宰<山人音楽祭2023>初日、「やっと帰って来れた!」
G-FREAK FACTORY主宰フェス<山人音楽祭2023>が9月23日および24日の2DAYS、群馬・日本トーターグリーンドーム前橋で開催された。
◆<山人音楽祭2023>初日 画像
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となった2020年、高崎芸術劇場に会場を移して開催された2021年および2022年を経て、4年ぶりにグリーンドーム前橋へ帰還しての開催となった。赤城ステージにG-FREAK FACTORY、ROTTENGRAFFTY、マキシマム ザ ホルモン、四星球、HAWAIIAN6、ハルカミライ、SHANK、FOMARE、榛名ステージにTETORA、バックドロップシンデレラ、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS、フラワーカンパニーズ、Rickie-G、SHERBETS、KUZIRAが出演した同フェス初日公演の模様をお届けしたい。
◆ ◆ ◆
群馬発のラッパーNAIKA MCが「聖地に戻って参りました!」とオープニングトークで叫び、観客の士気をグッと高めた後、いよいよ開幕を迎えた午前11時。
【FOMARE】
“赤城ステージ”のトップを飾ったのは群馬発のFOMAREである。「Lani」で幕を開けると、一斉に拳を上げて歌う観客の姿が壮観だ。
「2012年の<GUNMA ROCK FESTIVAL>、オレは高校一年生で、dustboxのときにダイヴしまくった。<山人音楽祭>が群馬のバンドから始まるのは今年が初めてらしいです!」──アマダシンスケ(Vo/B)
こう興奮気味に語った彼らは、情景が脳裏に浮かぶ「夕暮れ」を熱演。ラストは2ビートを用いた「Frozen」で観客をとことん沸かせた。
▼FOMARE セットリスト
01. Lani
02. 君と夜明け
03. ⾵
04. HANABI
05. 5cm
06. ⼣暮れ
07. 愛する⼈
08. Frozen
【SHANK】
長崎発のSHANKは軽快なスカリズムを用いた「Life is…」でフロアをジャンプさせ、序盤から安定感抜群の攻めっぷり。
「愛するG-FREAK FACTORYのために!」──庵原将平(Vo/B)
というMCの後に「Departure」を披露。3ピースならではシンプルかつストロングな演奏は切れ味も最高だ。中盤過ぎにはG-FREAK FACTORY「いつの日か」の一節を挟んでから「Set the Fire」に繋げるなど、この場ならではのアレンジで<山人音楽祭>を盛り上げた。
▼SHANK セットリスト
01. Surface
02. Good Night Darling
03. Life is…
04. Departure
05. Foundation
06. 620
07. Hope
08. High Tide
09. いつの日か〜Set the fire
10. Feeling for my words
11. Weather is Beautiful
12. Wake Up Call
13. Love and Hate
14. submarine
【ハルカミライ】
関大地(G/Cho)、須藤俊(B/Cho)、小松謙太(Dr)の3人による公開リハーサルを終え、最後に橋本学(Vo)が加わると、ハルカミライは「君にしか」からエンジン全開だ。橋本はその1曲目からステージから降りて客席を煽り、続く「カントリーロード」では関もステージ下に。とにかく彼らの動きから目が離せない。また、怒涛のパンクチューン「ファイト!!」が放たれるや、関はステージで転げ回ったりと、やりたい放題に暴れ回る。
「群馬、俺の地元・山口と似てなんもねえな。しかし、こういうところで生まれる奇跡とか、溢れるパワーはめちゃくちゃすげえって信じてる」──橋本学(Vo)
「世界を終わらせて」に入ると、橋本はG-FREAK FACTORY「ダディ・ダーリン」の一節を歌い上げ、そこに茂木洋晃(Vo / G-FREAK FACTORY)も姿を見せて両者が抱き合うなど、心温まるシーンもあった。
▼ハルカミライ セットリスト
01. 君にしか
02. カントリーロード
03. ファイト!!
04. 俺達が呼んでいる
05. フルアイビール
06. 春のテーマ
07. PEAKʼD YELLOW
08. 世界を終わらせて
09. 僕らは街を光らせた
10. アストロビスタ
11. predawn
12. To Bring BACK MEMORIES
【HAWAIIAN6】
「山人、いい景色じゃねえか。会場が広くてもやることは変わらねぇから!」──HATANO(Dr)
とHATANOが開口一番。HAWAIIAN6の登場だ。3曲目の「STAND BY YOU」からクラウドサーファーは途切れず、続く「RAINBOW, RAINBOW」では見ず知らずの観客同士が肩を組み、フロアをピースフルな空気へと瞬時に塗り変えていった。「この会場を一体にしたいと思ったら、俺らみたいなバンドは呼ばない」とはHATANOの弁だが、とんでもない光景が広がった。
「俺らみたいなバンドがライブやってる時、お前らが来てくれたから潰れずに済んだライブハウス、やめなくて済んだバンドがたくさんいた。ありがとな」──HATANO(Dr)
と改めて感謝の言葉を述べた。中盤では新曲「Rusted」を挟み、「TINY SOUL」を終えた後、「これが夢に見た景色なんだよ!」と歓喜の雄叫びを上げたHATANO。濃密な熱気を届ける渾身のステージに魅せられてしまった。
▼HAWAIIAN6 セットリスト
01. BURN
02. HAZE
03. STAND BY YOU
04. RAINBOW,RAINBOW
05. ETERNAL WISH,TWINCLE STAR
06. Rusted
07. MAGIC
08. TINY SOUL
09. BRAND NEW DAWN
10. I BELIEVE
11. LIGHTNING
【四星球】
「草津温泉くらい熱いライヴを!」──北島康雄(Vo)
と北島が客席に呼びかけると、レーザーラモンHGの黒レザーファッションに身を包んだ“HG-FREAK FACTORY”として四星球の4人が登場。「コミックバンド、21年やってます!」というMC通り、自分たちのスタイルを貫き、笑いと音楽の両輪で豪快に突っ走るパフォーマンスに会場は爆笑の連続となる。
「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」では、“下仁田ネギ”、“ダルマ”、“ぐんまちゃん”など、お馴染みの段ボール細工による“群馬ネタ”。「UMA WITH A MISSION」での北島による生まれたての馬の模写など寸劇とも言えるステージは痛快。観客参加型のエンタメ性において彼らの右に出る者はいないのではないか。それを確信する抱腹絶倒のライヴだった。
▼四星球 セットリスト
01. 鋼鉄の段ボーラーまさゆき
02. クラーク博⼠と僕
03. ちょんまげマンのテーマ
04. UMA WITH A MISSION
05. ⾺コア
06. Mr.Cosmo
07. 薬草
【マキシマム ザ ホルモン】
初日も終盤に差し掛かり、マキシマム ザ ホルモンが降臨。新曲「恋のアメリカ」をいきなり投下し、ポップ&ヘヴィのカオス地獄に誘う。続く「恋のメガラバ」ではモンキーダンスに興じる観客で溢れ返り、頭2曲で心を鷲掴み。
「山人、6年ぶりです!」とナヲ(ドラムと女声と姉)が挨拶し、「G-FREAK FACTORYがこんな大きなところ主催するフェスで、20数年経っても一緒にやれるって、あの頃は想像してなかった。こんな最高なことってありますか? G-FREAK FACTORYと出会って20数年、その当時から貫禄があった」と発言。1990年代後半に結成したほぼ同期組ゆえ、ホルモンも人一倍気合が入っていたと思う。
そして中盤の「ハングリー・プライド」における凶暴性も凄まじい限り。後半はG-FREAK FACTORYの原田季征(G)を招いて「麺カタ! コッテリ! ヤーマン!!」という山人バージョンの恋のおまじないを一緒に叫び、グリーンドームを完全掌握した。
▼マキシマム ザ ホルモン セットリスト
01. 恋のアメリカ
02. 恋のメガラバ
03. Whatʼs up,people?!
04. ハングリー・プライド
05. 令和ストロベリーバイブ
06. ぶっ⽣き返す!!
07. 恋のスペルマ
【ROTTENGRAFFTY】
京都発のROTTENGRAFFTYは「ぶっ飛ぶ準備はできてんのか?」とN∀OKI(Vo)が放ち、「全員こっちに飛んで来い!」とNOBUYA(Vo)が煽る。ド頭から濃密な接近戦を仕掛けるステージとなった。
その気合の入り具合は選曲にも表れており、冒頭から名曲「金色グラフティー」を投下。クライマックスのごとき活気を見せて、4曲目「THIS WORLD」ではN∀OKI、NOBUYAの両名がフロア最前で観客を焚きつける。余力を残さず、全身全霊で観客と対峙するアグレッシヴさに圧倒されるばかりだ。
「気づけばG-FREAK FACTORYと20年の絆。10年以上前に“いつかフェスが出来たらええなぁ”と話した。こうしててめえの地元に呼び合えてるのは、ホンマに幸せです」──N∀OKI(Vo)
とのMCを挟んだN∀OKI。今やお互いに地元で数万人規模のフェスを主催し、シーンをサバイブしてきた同志と言っていい。そうした募る思いもステージ上で爆発させた最高の“赤城ステージ”トリ前となった。
▼ROTTENGRAFFTY セットリスト
01. ⾦⾊グラフティー
02. 秋桜
03. D.A.N.C.E.
04. THIS WORLD
05. マンダーラ
06. 零戦SOUNDSYSTEM
07. ハレルヤ
【G-FREAK FACTORY】
トリを務めるのは、もちろんG-FREAK FACTORYだ。原田季征(G)、吉橋”yossy”伸之(B)、Leo(Dr)の3人によるセッション「jam」で始まり、茂木洋晃(Vo)がステージに現れて「SOMATO」を演奏。それから和のミクスチャー「REAL SIGN」に繋ぎ、歌心溢れる「Fire」では曲名通りに観客のハートに火を灯す。
「ニッポンのアフリカ、群馬へようこそ! ビジュアル系でございます。今日もカッコよくてすいません」といつもの挨拶。「4年ぶりにグリーンドームへ帰ることができた!」と茂木が感慨深げに語ると、「おかえりー!」という声が会場のあちこちから聞こえてきた。さらに「マナーを守ればルールはいらない。今日8千人、明日1万人」の来場者を記録したことにも触れる。自分たちの主催フェスにこれだけ大勢の人が集まっているという事実を心の底から噛み締め、自身のパワーに変換しているようにも見えた。
そして、メッセージ性を帯びた新曲「RED EYE BLUES」を披露。切ないメロディは個人的な感想ながらレッチリの「Californication」が脳裏に浮かび、哀愁の中に力強さを秘めた奥深い曲調に引き付けられた。“どうかしちまったニッポンは”と後進国に生きる日本を憂う一方で、我々日本人の背中を押すメッセージ性の強い歌詞が染み渡る。茂木は以前インタビューで、弾き語りの経験を活かして、「観客としっかり対話できるライヴをしたい」と語ったことがある。まさに同曲こそ対話形式の楽曲であり、これからライヴでどんどん化けていくに違いない。
後半の「ダディ・ダーリン」では観客がスマホのライトを灯して場内に幻想的な風景が広がり、本編ラストは「GOOD OLD SHINY DAYS」をプレイ。「やっと帰って来れた! ローカルバンドの最高傑作!」と叫ぶと観客とコール&レスポンスを繰り返し、グリーンドームを見事に一つに束ねる。聴く者を巻き込む「GOOD OLD SHINY DAYS」の訴求力は素晴らしく、改めてG-FREAK FACTORYを代表…いや、群馬を代表する名曲と言って過言ではない。そんな思いを強くした。
アンコールに応えてステージに再び登場した茂木は、「群馬の奴?」と呼びかけ、「(地元の観客が)6割ぐらいいるんだよな」と嬉しそうに話した。初日のラストを飾るナンバー「Sunny Island Story」ではROTTENGRAFFTYのN∀OKIと熱気迸るコラボを見せ、盛大に締め括った。
▼G-FREAK FACTORY セットリスト
01. jam
02. SOMATO
03. REAL SIGN
04. Fire
05. RED EYE BLUES
06. Too oLD To KNoW
07. ダディ・ダーリン
08. GOOD OLD SHINY DAYS
encore
en1. Sunny Island Story
◆ ◆ ◆
●榛名ステージ●
なお、もう一つのステージとなる“榛名ステージ”の初日には、KUZURA、SHERBETS、Rickie-G、フラワーカンパニーズ、LOW IQ&THE RHYTHM MAKERS、バックドロップシンデレラ、TETORAの7組が出演。ガツガツと攻める清新なメロディックを照り輝かせたKUZIRA、貫禄漲るロックンロールを叩きつけたSHERBETS、そして、フラカンでは「深夜高速」を披露中、茂木が姿を見せて歌うパートもあり、これには会場も大いに盛り上がった。
▼KUZIRA セットリスト
01. Snatch Away
02. In The Deep
03. Blue
04. Clown
05. Backward
06. Change
07. A Sign of Autumn
08. Pacific
09. Spin
▼SHERBETS セットリスト
01. HIGH SCHOOL
02. カミソリソング
03. 知らない道
04. Crashed Sedan Drive
05. JJD
06. わらのバッグ
▼Rickie-G セットリスト
01. Life Is Wonderful
02. Stoned Apes Chanting
03. 日出づるFunk
04. 90's Honch
▼フラワーカンパニーズ セットリスト
01. 行ってきまーす
02. 人は人
03. 気持ちいい顔でお願いします
04. 深夜高速
05. 発熱の男
06. 真冬の盆踊り
▼LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS セットリスト
01. Delusions of Grandeur
02. STARTING OVER
03. WHAT'S BORDERLESS
04. Hangover Weekend
05. SNOWMAN
06. SO EASY
07. MAKIN' MAGIC
▼バックドロップシンデレラ セットリスト
01. バズらせない天才
02. HATEです
03. フェスだして
04. 本気でウンザウンザを踊る
05. 台湾フォーチュン
06. ⽉あかりウンザウンザを踊る
07. さらば⻘春のパンク
▼TETORA セットリスト
01. Loser for the future
02. 本音
03. 言葉のレントゲン
04. 告白
05. 今日くらいは
06. レイリー
取材・文◎荒金良介
撮影◎青木カズロー(赤城ステージ)/半田安政(榛名ステージ)/ハマノカズシ(マキシマム ザ ホルモン)
◆<山人音楽祭2023>2日目レポートへ
■<山人音楽祭2023>
9月24日(日) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
open9:30 / start11:00 ※終演20:00予定
▼9月23日(土/祝)出演者 ※五十音順
KUZIRA/G-FREAK FACTORY/SHERBETS/SHANK/四星球/TETORA/バックドロップシンデレラ/ハルカミライ/HAWAIIAN6/FOMARE/フラワーカンパニーズ/マキシマム ザ ホルモン/Rickie-G/LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS/ROTTENGRAFFTY
▼9月24日(日)出演者 ※五十音順
亜無亜危異/Age Factory/OVER ARM THROW/Creepy Nuts/G-FREAK FACTORY/SUPER BEAVER/竹原ピストル/10-FEET/NakamuraEmi/NUBO/BRAHMAN/HEY-SMITH/ヤバイTシャツ屋さん/RED ORCA/locofrank
■<G-FREAK FACTORY “RED EYE BLUES” TOUR 2023-2024>
10月01日(日) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
10月07日(土) 岩手・大船渡KESEN ROCK FREAKS
10月08日(日) 岩手・宮古KLUB COUNTER ACTION
10月14日(土) 岐阜・柳ヶ瀬ants
10月15日(日) 福井・福井CHOP
10月21日(土) 京都・KYOTO MUSE
10月28日(土) 青森・青森Quarter
10月29日(日) 秋田・秋田CLUB SWINDLE
11月03日(金) 香川・高松MONSTER
11月04日(土) 大阪・梅田TRAD
11月17日(金) 福岡・福岡BEAT STATION
11月18日(土) 広島・広島SIX ONE Live STAR
11月25日(土) 神奈川・横浜F.A.D
11月26日(日) 静岡・沼津QUARS
12月09日(土) 長野・長野CLUB JUNK BOX
12月23日(土) 宮城・仙台Rensa
12月24日(日) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
▼2024年
01月20日(土) 北海道・札幌cube garden
01月21日(日) 北海道・旭川CASINO DRIVE
02月03日(土) 東京・渋谷Spotify O-EAST ※ツアーファイナル/ワンマン公演
ファイナル公演のみワンマンライブ
他公演はゲストバンドあり
▼チケット
前売り¥3,800(税込) ※ドリンク別
この記事の関連情報
G-FREAK FACTORY
ROTTENGRAFFTY
マキシマム ザ ホルモン
四星球
HAWAIIAN6
ハルカミライ
SHANK
FOMARE
TETORA
バックドロップシンデレラ
LOW IQ 01
フラワーカンパニーズ
Rickie-G
SHERBETS
KUZIRA
邦楽
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