【ライブレポート】MONGOL800、笑顔溢れる祝祭の＜800BEST＞で「まだまだモンパチの旅は続きます」

MONGOL800が、2023年夏に結成25周年を迎えた。アニバーサリーヤーにふさわしく、初夏からライブハウスでの対バンツアー＜MONGOL800 25th -What a Wonderful TOUR- 2023＞を行ない、7月には約7年ぶりの新作となる『LAST PARADISE』をリリース。各地夏フェス出演に続いて、アニバーサリーイヤーの後半は、ライブ＜MONGOL800 25th -800BEST＞を9月18日に大阪城ホール、10月14日に神奈川・ぴあアリーナMMで開催した。

◆MONGOL800 画像

＜800BEST＞はファンからのリクエストをもとにMONGOL800がセットリストを決定して行われるライブだ。前回は結成15周年記念として2013年7月に東京・日本武道館、2014年2月に大阪・大阪城ホールで開催された。そして結成25周年記念となる＜MONGOL800 25th -800BEST＞より、ぴあアリーナMMの模様をレポートしよう。

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定刻から7分を過ぎたとき、沖縄のカチャーシーをフィーチャーしたおなじみのSEに合わせ、舞い踊りながら登場したMONGOL800。

「＜800BEST＞！ ぴあアリーナ、あそびましょー!!」──キヨサク

キヨサク(上江洌清作)の高らかな宣言と共に、1stアルバム『GO ON AS YOU ARE』収録曲「PARTY」で、MONGOL800の楽しい宴は始まった。南国色と呼んだらいいのか、鮮やかな色のライトが様々に点滅するステージで、嬉しそうに笑顔全開にベースを弾きながら歌うキヨサク。会場全体を見渡しながら気持ち良さそうにドラムを叩くサッシ(髙里 悟)。2019年からサポートとして参加し、アレンジやコーラス面も増強させるなど、サポート以上の力量を発揮するギターのKuboty。さらにトランペットでDOBERMANのシーサー、サックスでSCAFULL KINGのナリも加わった総勢5人で鳴らすパーティソングに、オーディエンスは全身をスイングさせながら踊り続ける。


そこから「GOOD MORNING OKINAWA」などバンドの25年間を彩ってきた曲の数々を響かせながら、同時に前向きなメッセージを歌で浴びせかけていくMONGOL800。見る見るうちに会場全体は笑顔で溢れていった。

そんなオーディエンスを改めて見ながらキヨサクは「めっちゃ来てくれてるじゃないですか、ありがとうございます」と感謝。またサポートメンバーにも改めてお礼を言いながら、さらにもう一人のサポートも迎えるという。ファンにはすっかりおなじみ、MONGOL800ダンサーの粒さんこと、粒マスタード安次嶺だ。ところが本日は一身上の都合により、沖縄との生中継映像での出演となってしまったとアナウンス。「OKINAWA CALLING」では曲に合わせてスクリーンの中で踊る粒さん。しかし曲が中盤に差し掛かったところで、ステージ下からポップアップして生の粒マスタード安次嶺がぴあアリーナMMに登場。ハンドサインで“8”を作ったり、そのまま今度は“ハート”マークに変化させたりと、愛情いっぱいのダンスを繰り広げた。

ホーンも入ったビッグバンドにも通じるゴージャスなバンドサウンドに、粒さんが旗頭になってみんなで盛り上がるエンターテイメント性たっぷりのステージ。お祭り騒ぎ…そんな表現にふさわしいライブだ。


「おじさんたちがいっぱい集まるとおもしろいんです。今日もすごく楽しい。計画通りにやらないからね、このおじさんたち」──サッシ

サッシがそう言ったかと思えば、客席のオーディエンスを見ながらキヨサクは「みんな、歳取ったね〜」と笑う。そりゃ、25周年だから、25年前は青年だったファンもおじさんになる。だが年齢層が高い客席というわけでもない。家庭を持って家族全員で観に来ているファンも多く、子供たちからかわいい声援が飛ぶことも。まさに老若男女に愛されるバンド＝MONGOL800という図式だ。


またライブはお祭り騒ぎのまま突き進むのではなく、中盤ではトリオ編成のシンプルな音で歌や歌詞をクッキリと浮かび上がらせる。沖縄で生まれたメンバーゆえに、戦地の傷跡が残る景色、統治下時代の名残りを感じさせる文化、おじいやおばあから受け継がれた想いのもとで育ってきた。時事や風刺も採り入れ、そして願いへと昇華させるMONGOL800の歌は、心を揺さぶり続けた。それに結成から25年、その人生経験や人間的な成長も滲み出た歌や音は、温かく優しい。

ライブが後半に差し掛かるにつれ、今度はロック感を強く打ち出し始めるMONGOL800。ファンのリクエストをもとに選曲したライブだから名曲ばかりなのだが、バンドの存在感を全国区に押し上げた曲のひとつ「あなたに」が炸裂するや、客席のオーディエンスはライブハウスのノリと勢いに。続く「小さな恋のうた」では、途中から歌をオーディエンスに任せるキヨサク。客席からは気持ちいいぐらいに歌声がぴあアリーナMMに響き渡る。みんなの歌声に包まれながら、最高の笑顔で25周年を味わうキヨサクとサッシだった。



しかし＜800BEST＞はまだまだ終わらない。アンコールで登場すると、感謝の気持ちをたっぷり込めてバラード「I'll be」と「月灯りの下で」をオーディエンスに贈る。さらにリクエストで第1位に輝いた「Love song」をプレイすると、相思相愛の強いエネルギーが膨れ上がるばかり。

「まだまだモンパチの旅は続きます」──キヨサク

そう約束して、最後は最新アルバムからの「LAST PARADISE」を披露。ところが途中からメンバー全員がステージ最前で歌い踊り出した…と思えば、今度はトロッコに乗ってアリーナ外周へ。それぞれのトロッコがアリーナの両サイド、さらにはスタンド席近くまで動き、オーディエンスに手を振るメンバー。まず始まったモンパチの旅は、“みんなのところへトロッコで行く”の巻だった。そしてトロッコに乗ったメンバーはサインボールまで投げるという、まるで国民的アイドルのコンサートを思わせる演出。その展開にオーディエンスは笑みをもらしながらも大喜び。ステージに戻ったおじさんたちも無邪気に大笑い。


さらに粒さんのソロダンスもフィーチャリングしながらラストに決めるのは1stアルバムからの「DON'T WORRY BE HAPPY」だった。結成から25年経とうが、まだまだ遊ぶ気満々のMONGOL800である。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎SARUYA AYUMI