【ライブレポート】ジーザス・ジョーンズ、布袋寅泰も飛び入りする躍動のステージ

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ジーザス・ジョーンズが2011年の夏以来となる日本上陸を果たし、11月1日、東京の下北沢・シャングリラにて12年ぶりのジャパン・ツアーが幕を開けた。ファンの期待度の高さは、あらかじめ公演チケットが完売に至っていた事実からも明らかで、フロアを埋め尽くしていた多様な観客の中には、懐かしい年代モノのTシャツなども目についたが、同時に、彼らを初めて観るものと思しき世代の姿も。最近めきめきライヴ・バンドとして頭角を現しつつあるtokyo honey trapがオープニング・アクトとして演奏を開始した時点から、場内にはすでに熱気が充満していた。


tokyo honey trap





そして、まもなく午後8時になろうかという頃、オープニングSEに乗ってジーザス・ジョーンズの面々が登場すると、けたたましいほどの歓声と嬌声が飛び交い、決して広くはないステージ上の配置についた5人は「Zeros And Ones」を披露。1993年発表の3rdアルバム『PERVERSE』のオープニングを飾っていた楽曲だ。


場内はまさにスイッチをONに切り替えられたかのようにすぐさま一体感に包まれ、この楽曲が登場した30年前との時代差を感じさせない盛り上がりをみせる。しかも、その後も「International Bright Young Thing」や「Never Enough」をはじめとする象徴的な楽曲が次々と繰り出されるものだから、その熱気は少しも鎮まることなく、ぐんぐんと高まり続けていく。このバンドを代表する世界的ヒット曲「Right Here, Right Now」では当然のようにオーディエンスも声を合わせていた。まさに至福の瞬間。その場には、この曲をジーザス・ジョーンズのライヴで一緒に合唱できる日がふたたび訪れることを、ずっと楽しみにしてきた観客も多かったに違いない。


歴史あるバンドのライヴだけに、そうした少しばかりノスタルジックな空気を味わう瞬間もありはしたものの、何よりも印象的だったのは、依然として彼らがエネルギーに満ちた強力なライヴ・バンドであり続けているという現実だった。そしてアンコール時には、そんな極上のライヴにさらなる刺激がもたらされることになった。フロントマンのマイク・エドワーズが、まるでようやく秘密を明かすことを許可されたことを喜ぶかのような笑みを浮かべながらステージ上に呼び込んだスペシャル・ゲストは、なんと彼らと1990年代から親交のある布袋寅泰だった。



1994年にはここ日本で、両者がヘッドライナーを務める形式での合同ツアーが行なわれていたりもするが、まさに29年前へのタイムスリップを味わうような感覚でありながら、布袋を加えたトリプル・ギター編成で演奏されたのが、当時には生まれてもいなかった「Where Are All The Dreams?」(2018年発表のアルバム『PASSAGE』に収録)だという事実にも興味深いものがあった。ちなみに布袋は今回の共演について自身のXのアカウントでも事後報告しており、バンドのキーボード奏者であるイアン・ベイカーから「ギターを持って遊びにおいでよ」と誘われたのだと明かしている。















さて、ジーザス・ジョーンズのライヴはこのあとにも控えているだけに、この夜の具体的なセットリストをそのまま掲載することは控えておくが、筆者自身としては。まったく出し惜しみの無い楽曲セレクトに完全な満足感を味わった、というのが本音だ。しかも同時に、溌溂としたそのライヴ・パフォーマンスは、“現役感”のような言葉で形容するのが申し訳なく思えてしまうほど躍動感に満ち溢れていた。この先も彼らは、各会場で極上の熱を味わわせてくれるに違いない。筆者もふたたび会場に足を運ぶ気満々である。

文・撮影◎増田勇一

◆ジーザス・ジョーンズ公演情報
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