【インタビュー】SOPHIA、記者会見で語った再契約の真意と10年ぶり新曲「俺には決めたことがある」

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■僕たちは今を生きてるんだっていう
■その息吹を曲に刻まなきゃいけない


──10年ぶりの新曲は、タイトルからして印象的ですが。

松岡:タイトルが長いんですよ、「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」。 時代がどんどん変わっていって。今みんなが、当たり前のように世界の窓口となるスマホというものを持って、 自分の声を簡単に発することができる。一方で、逆に聞きたくない声も意図せずとも耳に届いてしまう。自分たちが、生きていくために必要な情報やエネルギーになるものだけをその中から抽出することが、すごく難しくなっていると思うんです。

──SNS問題ですね。

松岡:世界情勢も決して良くはないですよね。戦争や紛争がなくならないし、日本は経済が落ち込んでいますし、僕たちが活動しているエンタメ業界も大変な時期を迎えている。でも、その中で生きていかなきゃいけないわけですから、現実はやっぱり日々しんどくなりますよね。“これはいったいなんなんだろう?”って憂鬱が世界中に蔓延している。僕は、憂鬱が重い雲のようにのしかかってるんだと思っているんです。ただ、その雲の上には、晴れ渡った青空が絶対あるんだっていうことを、僕らアーティストが伝えていかなきゃいけない。エンタメ業界の端くれとして、それができるんじゃないかっていうリスタートだから、こういうタイトルにしました。

──突然の新曲リリースとなるわけですが、10年ぶりの新曲の構想っていつぐらいからあったんですか?

松岡:僕の中では、復活の日本武道館公演が終わった後ですね。この先、僕らがミュージシャンとして活動するためには、やはり新しい曲を生んでいかなきゃいけないって思っていたんです。もちろん懐かしさっていうものにニーズがあることはわかってるんですけど、僕たちは今を生きてるんだっていう、その息吹を曲に刻まなきゃいけないと思って書き出していた。1年前くらいからゆっくりとそういう気持ちが芽生えていたんです。TOY'S FACTORYさんとの話が正式に決まってから、“よしやるぞ”ってメンバーに僕のデモを初めて聴いてもらって。そこから都が中心になってサウンドメイクして、僕が歌詞を書いたのが、「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」です。


──楽曲のサウンドメイクをした都さんにもお聞きしたいんですが、この曲を初めて聴いた時、どんな印象を持ちましたか?

都:まず一番最初に思ったのが、SOPHIAらしいところと、そうじゃない新しいところのミックスみたいな感じがあったんです。まっちゃん(松岡)から電話をもらって音源が送られてきたときに、実はほぼほぼアレンジの方向性が完成していて。 そこから僕は、それぞれの楽器でどういう風に表現していくかっていうところを構築した感じですね。

──曲の世界観はデモの段階からできていたんですね。

都:電話をもらったときに、曲タイトルも聞いてたんです。そのタイトルと曲のイメージがすごくマッチするなっていう部分が幾つかありまして。そこを中心に前へ出すように作っていきました。

──本日の<獅子に翼>でステージ初披露されることになるわけですよね。

松岡:はい。実はライブでミュージックビデオも公開するんですけど、それが今朝仕上がったばかりです。僕が長い間懇意にしてるドワンゴさんのニコニコ動画チームに依頼して、この2週間で最高なものを作っていただきました。僕ら自身の出演はないですけど、こちらのアイデアに沿ってニコニコの世界観を活かしたミュージックビデオの完成です。時間がなくてもやればできるんだよっていう(笑)。

──振り返ってみると、去年の日本武道館の復活からこの1年間、充実していたと思うのですが、黒柳さんはかなり環境の変化もあったんじゃないでしょうか。

黒柳:改めて、バンドやってんだなっていう感じですね。毎朝6時に起きて、 午前8時ぐらいから20時くらいまで働かなくていい時間って、最高だなと思う。好きな時に、感じたものを演るっていう生活がすごく楽しくて。ミュージシャンって、売れてないと何もできないただのおじさんだけど、需要があればいい商売で(笑)。それが実感できた1年間ではありました。

都:復活の日本武道館から始まって、大きい会場でライブができる喜びを噛みしめながらの1年でしたね。もちろん趣味で音楽を続けられることも素晴らしいと思うんですが、僕らは幸運にもこの1年間で、日本武道館、大阪城ホール、東京ガーデンシアター、そして今日のKアリーナ横浜という大会場でライブができる。そういうことができるのって限られたミュージシャンだけだと思うんです。それは音楽的な実力だけじゃなくて、運もあるだろうし、何よりもファンの方々に恵まれているっていうこと。そういうことを引っくるめて、ぎゅっと濃縮して感じ取ることができた1年でした。 だから感謝しかないですし、この1年があったから、次の1年もあるんだなと思います。

赤松:復活をきっかけとして、すごく忙しい1年になりました。気づいたら全然休みがなくて、一気に仕事が増えましたね。地方へ行く機会も増えたりとか。あと、個人的にはドラムセットが増えました。活動休止期間中にPearl Drumsのカタログを見ながら、“復活したらこんなドラムセットが欲しいな”と思ってたんですよ。それが今日ステージで見られます。僕のドラムセットとしては“Version3”です。

豊田:何をやっても楽しかったですね。バンドができる喜びっていうか、SOPHIAでギターを弾いて、自分の役割を遺憾なく発揮できることって、本当に楽しい。活動休止中は変な夢にうなされたりもしたんですけど、今、そういうのが一切なくなって。最高です。

松岡:この1年、あっという間でした。本当に止まらなかったなと思います。身体だけじゃなくて、心も、頭の中も。僕ら自身も激動でしたけど、世の中も激動の時代を迎えてる、いろんな事態が大きく動いてる。SOPHIAとしての人生も動き出して生まれ変わっていくみたいなところが、世の中と繋がっていけばいいなと思います。諦めて止まって終わりじゃなくて、まだまだいけるぜっていう。そういうメッセージになればいいですね。


──今日の<獅子に翼>は集大成であり、リスタートでもあるというお話ですが。1990年代とか2000年代当時の再現だけではなく、新しいものをみせてくれそうですね。

松岡:僕たちSOPHIAは1995年デビューで、奇しくもここKアリーナ横浜では昨日と一昨日、先輩のLUNA SEAさんがライブを行っているんですね。RYUICHI(Vo)さんにはSOPHIA結成時に「SOPHIAっていうバンドでやりたいんですけど、まだイマイチ踏ん切りがつかない」って相談したことがあるんです。そのとき、普段は後輩の音源に耳を通す時間がないであろうRYUICHIさんが、爆音で僕らの音源を聴いてくれた。そのカセットテープに入ってた曲が、結果、僕らの代表曲になる「Believe」だったんです。そういった先輩たちが、常に僕の前でカッコいい背中を見せて走ってくれているんですね。それにSOPHIAは今年9月、北海道・苫小牧市で開催されたフェス<TOMAKOMAI MIRAI FEST 2023>に参加したんですけど、それもSUGIZO(G)さんからお話をいただいたもので。そういう先輩方の“まだまだ行くぞ”とか“逆にこれからだぜ”っていうエネルギーが僕らを後押ししてくださっている。

──後進のバンドにとってはSOPHIAもカッコいい背中をみせてくれる先輩でしょうし。

松岡:そうかもしれないですね。もちろん、当時の懐かしさに対する需要っていうのは、絶対あると思う。SOPHIAファンの方々の心の中に流れてる青春時代の曲を演奏することで、心の扉を開けて、“あの時はビビらなかったよね。もっと楽しいことばかり考えてたよね”とか思い出してもらったり、もしこんなはずの人生じゃなかったと思っているなら、“思い悩むことない。自分が幸せになるための時間だし、自分の人生なんだから”ってみんなの心のビタミン剤になれればいい。昔のままを届けることは今の僕らにはやっぱりできないし、昔の曲であっても僕たちの今を反映することになると思うんです。それでも、さっきの新曲の話じゃないですけど、もしあなたが今、憂鬱を抱えているなら、全部を僕たちの力では変えられないかもしれないけど、今、扉を開けることはできるかもしれない。

──では最後に、今後の展望をお聞きしてもいいですか。

松岡:2024年3月10日に大阪城ホールで<SOPHIA Premium Symphonic Night in ⼤阪城ホール>を開催することが決定しました。来年2024年は結成30周年を迎えるんですが、この公演はSOPHIAとシンフォニックオーケストラとのコラボレーションによる一夜限りのスペシャルコンサートになります。ここまでは決定してますが…

──…なにか他にもありそうですね(笑)。

松岡:2024年にTOY'S FACTORYさんから渾身のアルバムをリリースしたいと。アルバムとしては11年ぶりになるのかな。TOY'S FACTORYさんと一緒に創るSOPHIAの音っていうものをもう一度作品としてリリースしたいと思ってます…これ、TOY'S FACTORYさんには何の相談もしてません。今、僕が勝手に言ってますけど。それを引っ提げて全国ツアーを開催する予定です…これも僕が勝手に言ってることです(笑)。

──松岡さんは日本武道館での復活はもちろん、昔から現在まで、自分から先に発信することで実現してきた有言実行な部分がありますから。

松岡:はい。やればできる。それに尽きます。やっちまえと。 そこに賛同してくれる仲間でありメンバーがいて、スタッフがいる。…それは皆に対する僕の日頃のケアが行き届いているからだと思いますけどね(笑)。本当に幸せだと思ってます。別に、記者の皆さんいるから言うわけじゃないけど、俺には決めたことがある。誰がなんと言おうと、この4人の骨は俺が拾う。それくらい愛してるっていうこと。俺が一番生き延びるっていう大前提やけど(笑)。エモくてすみません。

司会◎駒井千佳子 撮影◎堀卓郎
文・構成◎梶原靖夫 (BARKS編集長)

■「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」

2023年10月10日午前0時 配信リリース
https://tf.lnk.to/sekayuu


■<SOPHIA Premium Symphonic Night in 大阪城ホール>

2024年3月10日 大阪・大阪城ホール
※詳細は後日発表


■<SOPHIA LIVE 2023 獅子に翼V>10月9日(月/祝)@神奈川・Kアリーナ横浜 SETLIST

01. ヒマワリ
02. Early summer rain
03. KURU KURU
04. ビューティフル
05. せめて未来だけは…
06. ゴキゲン鳥 ~crawler is crazy~
07. 黒いブーツ ~oh my friend~
08. ミサイル
09. STRAWBERRY & LION
10. HARD WORKER
11. 進化論 ~GOOD MORNING! -HELLO! 21st-CENTURY~
12. -WOOZ!-
13. GJ escAPE
14. Yes, Attention
15. please, please
16. 旅の途中
17. 花は枯れて また咲く
18. ALIVE
19. 未来大人宣言
20. あなたが毎日直面している 世界の憂鬱
21. 夢
22. ―僕はここにいる―
23. 青い季節
24. 街
25. Kissing blue memories
26. Believe
encore
en1. 黒いブーツ ~oh my friend~

■特集『SOPHIA WOWOW Special “獅子に翼”』ラインナップ


【『SOPHIA Special Program “ 獅子に翼”』】
▼放送日時
・10月9日(月/祝)午後3:00
▼放送局
[WOWOWライブ] [WOWOWオンデマンド]
※WOWOWオンデマンドで11月8日(水)午後11:59までアーカイブ配信中
▼放送内容
 活動再開したSOPHIAが節目ごとに行なってきたライブ<獅子に翼>シリーズの振り返りに加え、10月9日に生中継するSOPHIAの最新ライブ<獅子に翼 V>に向けて、その見どころインタビュー等で構成されるWOWOWオリジナル特別番組を独占放送/配信する。
 1999年の最初の<獅子に翼>以来、バンドの節目ごとに行なってきた伝説の大型ライブシリーズ、通称“シシツバ”の開催は今回実に18年ぶり。番組では“シシツバ”の貴重な過去のライブ映像を織り込みつつ、メンバーインタビューによって、当時のエピソードや最新ライブに懸ける想いを掘り下げる“SOPHIA特集”のプロローグ番組。


【『生中継!SOPHIA LIVE 2023 獅子に翼 V』】
▼放送日時
・10月9日(月/祝)午後4:00
▼放送局
[WOWOWライブ] [WOWOWオンデマンド]
※生中継終了後、準備出来次第、WOWOWオンデマンドで1ヵ月間アーカイブ配信あり
▼放送内容
 5回目にして初の屋内開催となるプレミアムな<獅子に翼>最新公演は2022年に9年の時を経て活動再開したSOPHIAの最新ライブ。2022年10月の日本武道館公演は完売。 2023年1月に大阪城ホールでの地元凱旋ライブを成功させ、3月には MTVプロデュースによる 2Daysライブを実施。次なる活動が待たれる中、 SOPHIAns(SOPHIAファンの総称)に届いた吉報がこの<獅子に翼 V>だった。
 <獅子に翼>は1999年に自身初の大規模野外コンサートとして初回を開催。そして2005年、デビュー10周年を記念して埼玉・西武ドームで行なった<獅子に翼 IV>以来、実に18年ぶりの開催となる。
 <獅子に翼>は活動休止前、SOPHIA15周年のタイミングで開催が予定されていたものの、都啓一(Key)の病気療養により、やむなく中止に。都の復帰後も<獅子に翼>のリベンジは叶わぬままバンドは活動休止へ。 そして2023年ついにSOPHIAnsとの約束が果たされる<獅子に翼 V>は9月に開業を迎えるKアリーナ横浜で開催される。
収録日:2023年10月9日
収録場所:神奈川・Kアリーナ横浜


【『SOPHIA LIVE 2001 獅子に翼 II ~時計の針に追いついたチンパンジー』】
▼放送日時
・11月3日(金/祝)午後8:00
▼放送局
[WOWOWライブ] [WOWOWオンデマンド]
※放送終了後~WOWOWオンデマンドで1ヵ月間アーカイブ配信あり
▼放送内容
 2001年7月20日、デビュー5周年を経て<獅子に翼 II>が開催された。地元大阪、灼熱の万博記念公園お祭り広場に、そびえ立つ太陽の塔に向き合う形で組まれた印象的なステージセット。日本全国はもとより海外からも詰め掛けたSOPHIAnsが手にしたヒマワリを揺らし、大空の下に“花畑”が出現する情景は圧巻。青空がやがて夕焼けへと移りゆく光の変化も演出の一部となり、野外ならではのシーンを描きだした。
 同年3月にオリジナルアルバム『進化論』を発表、「進化論 -GOOD MORNING! HELLO! 21st CENTURY-」「STRAWBERRY&LION」など4枚のシングルをリリースするなど、精力的な活動を行なっていた21世紀幕開けの年の記念碑的ライブを放送/配信。
収録日:2001年7月20日
収録場所:大阪・万博記念公園お祭り広場


【『SOPHIA 10th ANNIVERSARY LIVE 2005 獅子に翼 IV』】
▼放送日時/放送局
12月放送/配信予定
※放送終了後、WOWOWオンデマンドで1ヵ月間アーカイブ配信あり
▼放送内容
 2005年8月、デビュー10周年を記念して埼玉・インボイスSEIBUドーム(当時名称)で開催された<獅子に翼 IV>。前年2004年には、無料招待制ライブの動員記録を樹立した<獅子に翼 III>をインボイスSEIBUドームで開催しており、2年連続2度目のドーム公演となった。
 5人全員でフロートに乗り込んでアリーナを回りながら歌唱・演奏する場面では、メンバーの弾けるような笑顔が。ファンとの一体感やお祭りムードだけでなく、10周年の集大成ライブに相応しい、歴代ライブの演出が随所に。宙づりのパントマイムのパフォーマンス、松岡充(Vo)が椅子に座り朗読するような演出でアカペラを響かせるなど、演劇的な表現も織り交ぜた公演は、同年11月からスタートした“演劇と映像と音楽”をひとつのステージに融合させた新機軸となるツアーにつながるような、バンドが新たな未来へと一歩を踏み出したライブを放送/配信。
収録日:2005年8月7日
収録場所:埼玉・インボイスSEIBUドーム

【関連番組『SOPHIA LIVE 2022“SOPHIA” -Special Edition-』】
▼放送日時
・10月8日(日)午前0:15
▼放送局
[WOWOWライブ] [WOWOWオンデマンド]
※WOWOWオンデマンドで1ヵ月間アーカイブ配信あり
収録日:2022年10月11日
収録場所:東京・日本武道館


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