【インタビュー】FAKE TYPE.、2ndアルバムに多彩な客演と真のオリジナティ「これが日本のエレクトロスウィングだ」

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ホンモノのようなニセモノ、ニセモノのようなホンモノが入り乱れる世の中で、信じたスタイルを貫き通すFAKE TYPE.から11月22日、ニューアルバム『FAKE SWING 2』が届いた。それはエレクトロスウィング日本代表として他の追随を許さない音楽的アイディアと、社会ネタもボースティング(自分を誇示する曲)も幻想的な物語も含む独創的なリリックを詰め込んだ、この世に二つと存在しない真のオリジナルだ。

◆FAKE TYPE. 画像 / 動画

初のアメリカ公演の大成功、楽曲提供やタイアップ曲のヒットなど、かつてない上昇気流の中にいるラッパー・TOPHAMHAT-KYOとトラックメイカー・DYES IWASAKI。高まる周囲の期待にも慌てず騒がず、自信たっぷりにマイペースを貫く二人の本音を聞いてみよう。


   ◆   ◆   ◆

■前作『FAKE SWING』は点で攻めていく気持ち
■今作は面で攻めていくというか、広がりを持たせて


──本題に入る前に、アルバムの“初回限定盤特典”の話から入っちゃいますけど、今回<FAKE TYPE. Live in LA>のライブ映像が入ってるんですよね。YouTubeチャンネルで公開されてるドキュメンタリー映像を見ると、アメリカの観客の盛り上がりがとんでもないことになってましたけど、やっぱりアメリカでのライブは2023年のFAKE TYPE.の活動の中でも、上位に入るトピックですか。

DYES IWASAKI:そうですね、間違いなく。僕は海外自体が初めてだし、異国の地でライブなんてしたことなかったので。アオ(TOPHAMHAT-KYO)はあるんですけど。

TOPHAMHAT-KYO:個人では台湾と上海に行ったことはあるんですけど、アメリカは初めて。盛り上がり方が異常でした。

DYES IWASAKI:ヤバかったよね。しかも全員、声が野太い。


TOPHAMHAT-KYO:こっちのたどたどしい英語もキャッチしてくれて、「英語うまく話せない」って伝えたら、「ダイジョーブ! ダイジョーブ!」って。“めっちゃ優しいやん”って思った。“ちゃんとここに楽しみに来てるんだぜ”みたいな気持ちが伝わってきて、“じゃあこっちも気合入れてやったろ!”みたいな気持ちになったんで、すごくいい経験だったと思います。

DYES IWASAKI:ノリがすごすぎて、盛り上がりのレベルの差みたいなのをすごく感じました。もちろん日本もめちゃめちゃいいんですけど、海外はまた別の良さがあって、あれを味わったら、 また海外行きたいなっていう気持ちになりましたね。

TOPHAMHAT-KYO:FAKE TYPE.を聴いてくれてる方々が海外にいるというのは、ネットの情報で知ってはいたんですけど、初めてアメリカに行って、本当だったんだなということが理解できて、“このままFAKE TYPE.らしいことを続けていったらいいんだ”という考え方に、改めてなったかなというのと。さっき言ったみたいに盛り上がり方が異常で、あんなの本当に初めてだったので、新しいライブのやり方としてこういうことをやったらどうだろう?とか、アイデアにも繋がったので、本当に貴重な経験だったと思います。

──アメリカに行ってたのが、7月の頭くらい。その頃、アルバムはもう出来上がっていたんですか。

TOPHAMHAT-KYO:残り3〜4曲くらいだった気がします。帰ってきて仕上げて、みたいな感じでしたね。


▲TOPHAMHAT-KYO (MC)

──もしかして、アメリカでの体験って、曲に生かされたりしてます? たとえば1曲目「Toon Bangers feat. DEMONDICE」を聴くと、日本代表感をすごく感じるというか、“俺たちが日本のエレクトロスウィングを代表するFAKE TYPE.だぜ!”みたいな、すごい気迫を感じたので。

TOPHAMHAT-KYO:それは、直接はないかもしれないです。ただ「Toon Bangers」という曲自体が、DYES (DYES IWASAKI)が「エレクトロスウィングと日本の和の雰囲気を合わせたものを作りたい」と言っていて。

DYES IWASAKI:三味線と尺八を入れて作ってるんで。そこを入れたエレクトロスウィングをやってる人はたぶんいなくて、“これがジャパニーズ・エレクトロスウィングだ”ということを示したいという気持ちで作りました。

TOPHAMHAT-KYO:なのに、英語を使うラッパーのDEMONDICEを呼んでサビを英語にするという、ひねくれたことをやってるんですけど。

DYES IWASAKI:DEMONDICEはいつか絶対に呼びたいなと思っていて、“この曲が一番呼ぶのにふさわしいんじゃないか?”と思って呼びました。“これが日本のエレクトロスウィングだ!”と言いたくて。

──お祭りのかけ声みたいなものも入っていて、ああいうのってたぶん、外国の人が聴いてもわかりますよね。

TOPHAMHAT-KYO:かけ声は日本独特だと思うんですけど、お祭り自体はどこにもありますからね。なんか、お国柄が出ますよね、祭りって。ブラジルならサンバとか、日本なら音頭とか、国の雰囲気が象徴されるから、どうなっても面白いのかなと。


▲DYES IWASAKI (TrackMaker)

──これ、海外でやったら絶対ぶち上がるなと思いました。この曲も含めて、今回のアルバムは全体的にどういうものにしようと思っていましたか。

TOPHAMHAT-KYO:今まで通りというところもありつつ、前回のメジャー1stアルバム『FAKE SWING』では物語調の曲を作りそびれてしまっていたので、7曲目に入ってる「Dryad」っていう物語調の曲を入れられて良かったなと思います。あと、今回は客演の人を呼ぼうというのを決めていて、前回は呼べなかったので、それも叶えることができました。

DYES IWASAKI:『FAKE SWING』は自分たちの力を示したいという、点で攻めていくみたいな気持ちがあったんですけど、次は面で攻めていくというか、いろんな方の力を借りて、広がりを持たせてみました。

──DYESさん、音色とか、音質とか、サウンド的にはどんなことをやりたかったんですか。

DYES IWASAKI:『FAKE SWING』よりもブラッシュアップしたエレクトロスウィングが作りたくて、変わったことがやりたくて作ったのが「Toon Bangers」なんですけど。あと、僕的には「ヨソモノ」という曲が、面白いものができたと思っていて、ケルトとエレクトロスウィングを混ぜて作っているんですよ。フィドル(ヴァイオリン)と、ティンホイッスルと、アイリッシュフルートを3本重ねているんですけど、アイリッシュ楽器奏者の“ぱとり”さんという方がいて、二人で一緒にトラックを作っているので、けっこう面白いものができたんじゃないかなと思います。こんな曲聴いたことない、みたいな。

──確かに。そもそもアイリッシュ、ケルトのイメージはどこからやってきたんですか。

DYES IWASAKI:『FAKE SWING』に入っている「RAT A TAT WRITER」という曲に、ぱとりさんが“アイリッシュ楽器を乗せてみた”みたいなことをやってるのをX (Twitter)で見て、“めっちゃ面白い!”と思って声をかけて、というきっかけがありました。もともと、ぱとりさんがFAKE TYPE.が好きで、“何か一緒にやれたら”みたいなのがあったみたいで、やってみたら、アイリッシュとエレクトロスウィングは相性いいんだなって思いました。


──そういう挑戦というか冒険というか、今回いっぱいある気がしますね。和のテイストも、アイリッシュもそうだし、あと「BARBER SHOP feat. 青妃らめ」がジプシースウィングっぽかったり、中間部でダブステップっぽいノリになる「魔祟華麗奴」とかも。いろんな要素が放り込まれて、すごく面白いです。

DYES IWASAKI:僕は、切り替わる音楽がすごい好きなんですよ。途中で“あれ? いきなり雰囲気変わった”みたいなのがすごく好きで、そういう二面性を見せたいなと思っていて、それがトラックに反映されていると思います。もともとは、ダブステップが10年ちょっと前に流行った時に、“めちゃめちゃヤベェ!”みたいな、ダブステップの文化にクラってしまって、そこからすごく影響を受けてます。

◆インタビュー【2】へ
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