【ライブレポート】コーディ・ジョン、EAERANとRainy。を迎えた初来日公演に新世代の飛翔「信じられない」

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オーストラリア・シドニー発のZ世代ポップスのニューカマー:コーディ・ジョンによる初来日公演<CODY JON Live in Tokyo 2023>が12月6日、渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催された。サポートアクトにEAERAN、オープニングアクトにはRainy。と、こちらも新世代のアーティストを迎えたライブは終始熱い歓声で包まれた。

◆CODY JON × EAERAN × Rainy。画像

Z世代のアーティストが集結した<CODY JON Live in Tokyo 2023>だが、コーディ・ジョン本人も来日前から日本ポップ界のニューアイコンとのパフォーマンスを楽しみにしていたという。



▲Rainy。

まずステージには、コーディと同じくオーストラリアのシドニーにルーツを持つ日本の15歳、Rainy。が登場。「初めましてRainy。です。一緒に盛り上がっていきましょう」という言葉から「All or Nothing」でライブがスタートした。リズムを刻み、ダンスしながらピュアな歌声をフロアに注ぐその姿に、観客は手拍子を送るとともに、「かわいい!」という声を上げる。歌うことが好きなことがまっすぐに伝わる瑞々しいボーカルと屈託のない笑顔が会場を明るくしている。

この日の会場は、Rainy。と同世代の10代から20代の女性客が多かったが、目を合わせ観客と手を振りあうなどフレンドリーでキャッチーなキャラクターで、たちまち観客の心を掴んだようだ。

11月リリースの新曲「Rainbow Christmas」では、頭の部分にマライア・キャリーの「All I Want For Christmas Is You」をアカペラで披露。会場に響くフェイクに歓声がいちだんと大きくなった。ラスト2曲はデビュー曲「Find the truth」(アニメ『名探偵コナン ゼロの日常』エンディングテーマ)と「...and Rescue Me」(アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマ)を連投。力強くエモーショナルな歌から、アップテンポでエネルギッシュな歌へつなぎ、オープニングアクトとしてステージから爽やかな風を吹かせた。



▲EAERAN

EA(エア)とERAN(エラン)による兄弟ラッパーデュオがEAERANだ。東京で生まれ、台湾で10年暮らし、中国語・韓国語・英語・日本語の4ヵ国語を操るふたりは、デビュー以前からSNSでアジアを中心に注目され、2022年にオリジナル曲「プリン」でアーティストデビューした。曲作りを重ねながら、今夏は初めて台北でもライブをし、また12月には渋谷で主催イベントを開催するなど活動を広げているところだ。

このステージでは、EAERANを初めて見るという人が大半のなか、序盤から「Lonely night parade」「血ョコレート」、そして今年リリースしたシングル「イライラ手裏剣」、また「Black Ghost」など攻撃的な曲を連投して、ふたりでラップを掛け合い観客に手を上げさせていく。まだまだSoundcloudで発表している曲が多いということだが、ポップでシニカルなワードがポンポンと放たれる曲から、ミニマルなビートに早口のラップでまくし立てていく曲、メロウなエモラップに、ダンサブルなビートに体を揺らす曲など、フロアと一体となっていくキャッチーさがある。フロアもいつの間にか手を上げて盛り上がっているという感じだ。

メロディックな中盤を経て、後半は再びグッとギアを入れ、「森のくまさん」から「プリン」、そして「うさぎパニック」へと、タイトルこそかわいらしいが毒っぽさがふんだんに入ったポップな曲で飛ばし、「最後まで楽しんでいってください」とコーディ・ジョンへとバトンを渡すステージとなった。



▲コーディ・ジョン

今年デビューEP『united shoes』をリリースしたシンガーソングライター/プロデューサーのコーディ・ジョンは現在19歳。Z世代にとっては新鮮で、大人の世代には懐かしい'80年代や'90年代のカルチャーや音楽を、今の感覚で落とし込んだポップミュージックは、とにかくキャッチーだ。きっとギター1本で歌ったら、グッドメロディと甘い歌声が冴えるソングライター、メロディメイカーとしての確かさがある。が、そこにY2Kカルチャーにどっぷり浸ったオタクらしい遊びがなされて、洒落っ気のあるトラックにチープな手触りを残した温かみある音が混じり合うサウンドが心地よいデジャヴ感を誘う。さらにそのステージングは、当時のボーイズグループが放っていた眩しいキラキラ感と隣のお兄ちゃんの安心感があって、なんともキュート。会場にこれだけの女性が駆けつけたのも納得で、初来日のショーは頭から歓声が飛び交う賑やかなステージとなった。

このステージはドラム(+同期音源)との2人体制。挨拶代わりの「What's up」ではじまり、1曲目にしてコール&レスポンスでフロアにマイクを向けて“What's up”コールを起こした。頭から反応が抜群の観客にMCでは溢れる想いを口にし、「日本に来られて嬉しい、信じられない」と語るコーディ。続く曲「Flowergirl」では、来てくれた観客へと感謝を伝えるように歌いながら、一本一本観客へと花を手渡し、あるいはダンスで魅せたりサービス精神たっぷり。「DEATH WOBBLES」ではさらにキレのいいダンスを披露し、トロピカルな雰囲気漂う「It's Not Me」ではフィルムカメラで観客を入れて自撮りをする。


気さくに話しかける場面も多々あって、ステージとフロアとがゼロ距離という印象。「ちょっとスローな曲を」と歌い出した「STARGEFRIGHT」は、抑えたトーンでいてメロディの良さがシンプルに伝わる1曲。「All thanks to you」などもそうだが、'60年代や'70年代のポップスやソウルからの影響を感じる曲で、キャッチーなパフォーマンスだけでなく、エバーグリーンな歌をピュアに紡ぎあげていく正統派のシンガーソングライターである面もしっかりと見せる。

観客がシャボン玉を吹いてドリーミィな空間を演出する「Bubble」や、新曲「Sabrina」を披露した後半には、11月にリリースしたばかりのSIRUPとのコラボ曲「2MANYTIMES」を披露した。SIRUPからのラブコールで実現したこのコラボでは、友人であるプロデューサーTaka PerryがコーディのいるオーストラリアとSIRUPのいる日本とを橋渡しして、ともに作り上げていった。互いの音楽を掛け合わせたケミストリーと、日本語と英語とでシームレスに織り上げた歌では、自分を縛り付けるものから抜け出していく想いを綴ったという。国や言語を超えて初めて出会った才能と音楽を生み出していった「2MANYTIMES」は、まさに自身を解き放った新しい旅の刺激そのものだろう。今回はコーディ・ジョンひとりでのパフォーマンスとなったが、ぜひSIRUPとの共演でも観てみたい。


この「2MANYTIMES」や、MVでコーディがDVDショップの店員に扮して歌いダンスする「dirty dancing」でフロアの温度を上げた後半のハイライトは、デビューシングルとなった「Poison」(2019年)。10代半ば、ひとり大好きな'80年代、'90年代の音楽や映画に囲まれてベッドルームで作り上げた曲は今、ライブで大きなシンガロングを起こす曲になっている。その多幸感から、ラストは「Becky's Plan」でアグレッシヴに跳ね、盛大なコーディコールを巻き起こして初の来日公演を締めくくった。今回はドラマーとふたりのセットとなったが、バンドセットやさらにショーアップされたステージなど様々な形でも見てみたいとも思った。これからへの期待感もいい余韻となった一夜となった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎キセキミチコ

■<CODY JON Live in Tokyo 2023>12月6日(水)@渋谷duo MUSIC EXCHANGE セットリスト

【Rainy。】OPENING ACT
01. All or Nothing
02. Rainbow Christmas
03. Find the truth
04. …and Rescue Me
【EAERAN】SUPPORT ACT
01. Lonely night parade
02. 血ョコレート
03. イライラ手裏剣
04. Black Ghost
05. 蛙化現象
06. Sweetless
07. Precious
08. Paincake
09. 森のくまさん
10. プリン
11. うさぎパニック
【CODY JON】
01. What’s up
02. Flowergirl
03. DEATH WOBBLES
04. It’s Not Me
05. STAGEFRIGHT
06. SHOOT!
07. Incognito
08. All thanks to you
09. Bubble
10. Sabrina
11. 2MANYTIMES
12. dirty dancing
13. Curtain Call
14. Poison
15. Becky’s Plan

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