【ライブレポート】BabyKingdom、自分の幸せを見つけるための曲「PENGUIN DIVE」を掲げたツアー完遂「これからもみんなが笑顔で生きていけますように」

ツイート

スレイベルを鳴らし、雪景色の中を進む蒸気機関車。そんなクリスマスムードたっぷりのオープニング映像から、全国10都市を回ったBabyKingdomのワンマンツアー<WHITE STEAM>の最終公演は幕開けた。

◆ライブ写真

自らを“MUSIC THEME PARK”と呼称し、毎回異なるコンセプトでリリース&ツアーを行っている彼らだが、今回のテーマは“ホワイトスチームパンク”。そのワード通りの装いで4人が登場し、「飛ばしていこうぜ!  1曲目はみんなの声があって成り立つ曲です」という咲吾(Vo)の煽りで「マワリマワッテ」が始まると、メンバー名をコールするオーディエンスの声とクラップ、そしてヘドバンが“最幸の人生”という歌詞にふさわしいハッピーな空間を創り上げていく。


以降も“MUSIC THEME PARK”を体現するように色とりどりの、けれど、いずれも文句なしにワクワクするアトラクションを次々に投下。咲吾いわく「俺たちの歌モノでもありバラードでもあり暴れ曲でもある最強ソング」という「めっちゃアーメン」は、なるほど、デスボイスで煽り立てながらもメロディックなサビはドストレートに“愛”を語り、それに乗って全力で踊るオーディエンスは身体中で“楽しい!”と叫んでいるかのよう。

ヘヴィからハッピー、ゴリゴリからキャッチーと、1曲の中で目まぐるしく色合いを変えるナンバーを支える楽器隊の演奏も巧みなら、次々にノリを変え、一糸乱れず振りを繰り出していくファンの喰らいつきようも見事だ。軽快なリズムでタオルを振る「モンスターガピンク」、一斉に飛び跳ね合唱する「TOY&MAGIC」と、晴れやかなナンバーで客席を沸かせながら、ギターの志記は「僕を楽しませてくれてありがとうございました」とツアーの感想を述べるあたり、バンドからファンに対する偽りのない愛情が早くも伝わってくる。


だからこそ、客席からステージに向けられる視線やリアクションが、こんなにも真っすぐなのだろう。LEDビジョンに雪の結晶やツリーが浮かぶ甘いクリスマスソング「アイシングシュガー」から一転、「あなたのハートを頂きましょう」と咲吾が宣言し、もにょ(B)がなめらかな指弾きで魅せるハードボイルドな「FAKE in PHANTOM」では、オーディエンスが豪快に左右モッシュ。「しっかり届けるから受け取ってくれよ!」と言う咲吾に応え、懸命に腕を左右に振る「Hello music」、ゴリゴリのベースソロから拳振りあがる「チョコレートキャンディパンチ」に、生きる強さを鼓舞する「AWAKING BEAT」ではヘッドバンギングの嵐が。

バンドの発信するものを懸命に受け止め、熱量を乗せて返すという理想的な相乗効果は、しかし目に見えるフィジカルなものだけに留まらない。咲吾がギター&ボーカルスタイルで歌うロッカバラード「アカツキ」にジッと耳を傾けていたかと思えば、続く「ハナムコペンギン」では歌い出しをトチってしまった彼に“もう1回!”コールを贈って笑いに変える。そんなファンの温かさがあるから、続くMCでも楽器隊がツアー中に咲吾が犯したミスの数々をいじりまくれるのだろう。


和やかなムードのまま突入した後半戦では、もにょの艶めかしいベースラインが夜景と相まってディスコナイトを創る「ちょうだい!君の心臓」、ドラムの虎丸も前に出てファンと共にパラパラを踊るユーロビート曲「監獄☆BEAT」など、LEDビジョンの映像効果も借りて華やかな世界を展開。「間違いなくライブで育った曲!」とブチ上げた「GOLD」ではスモークも噴き出し、志記の渾身のギターソロがクライマックスに向けて会場のテンションをグングン上げていく。こんな派手な演出もZeppというハコならではで、彼らの掲げる“MUSIC THEME PARK”をより精度高く実現してくれていた。

そして本編を締めくくったのは「この曲に自分たちのメッセージ、やりたいことを全部詰め込みました。生きていたら他人と同じようにできない自分に悩むこともあるだろうけど、それでいいんです。他人と比べなくていい。自分自身の幸せを見つけられるように、その後押しが少しでもできるように、この曲を書きました」と咲吾が語った最新シングル「PENGUIN DIVE」。空を飛べないペンギンも、自分の世界で自由に舞うことができる。だから“僕は僕であればいい 君は君であればいい”と歌われるキャッチーなアッパーチューンで、思う存分オーディエンスを跳ねさせ、踊らせる様は、胸躍るような多幸感でいっぱいだった。

“アンコール!”ならぬ“延長営業!”の声が響くなか、まずはペンギンが棲む南極から洞窟を抜け、たどり着いた“サーカス”が新たなコンセプト=アトラクションになることをビジョンで告知。サーカスらしい派手で奇抜な衣装に身を纏った新ビジュアルに、新MVのメイキング映像も流れ、「8周年イヤーということで無限大に広がる年にしたい」と3枚目のフルアルバム『FUNNY∞CIRCUS』を来年3月にリリースすること。そして、同時に始まる全国ツアー『INFINITY of CLOWN』の全19本が一気に告知された。ツアーファイナルは6月4日の新宿BLAZE。今まで何度も立ってきた思い入れの深い会場が2024年7月に閉館するということで、「どうしても最後にワンマンがしたい」とファイナルの舞台に選んだそうだ。ちなみに志記いわく「僕が頑張れば、アルバムは今までで一番曲数が多いかもしれません」とのことなので期待したい。


延長営業では客席一面に扇子が舞う「我武者ライジング」、ビジョンの中から肉食恐竜が向かってくる「君はヴィーナス」と目にも鮮やかな景色を作り出し、1stシングルとして始動時からバンドを引っ張ってきた暴れ曲「ハイカラ」では、オーディエンスのジャンプでフロアの床が割れそうなほど。楽しそうに踊り、頭を振って、ビジョンに“かっこいいギターソロ”との文字が浮かべば、ソロをかます志記に咲きまくる――そんなファンの姿は「MUSIC THEME PARKは僕らだけで作るものではない。一緒に作っていきましょう」と前半戦で咲吾が告げた言葉への返答のように思われた。最後に「これからも俺たちの音楽が誰かに寄り添っていけるように」と贈られた「誰かのヒーロー」ではビジョンに歌詞が映し出され、オーディエンスも大合唱。“誰が何を言ったって ここは僕の人生”“僕の代わりは僕しかいない”――そんなリリックの持つメッセージは「PENGUIN DIVE」と何ら変わるものでなく、彼らの活動が一貫したモットーによって支えられていることを確信させてくれた。

「僕たちの存在がみんなの生きる力になるように歌い続けていきますから、みんなも楽しく、好きなように生きていってください。人生の主役はみんなですから、これからもみんなが笑顔で生きていけますように」

ツアーを終えた高揚感の中で咲吾が絞り出した台詞が、今度はサーカスという舞台で、どう形になっていくのだろうか?「終わりは始まり。これからも全然止まる気はないので突っ走っていきたい」とたくましく言い切った彼の言葉を信じるなら、それは空中ブランコや猛獣使いのように、ハラハラドキドキさせながらも喝采を招くものになりそうだ。

取材・文◎清水素子
写真◎清水ケンシロウ

セットリスト

1.マワリマワッテ
2.めっちゃアーメン
3.モンスターガピンク
4.TOY&MAGIC
5.アイシングシュガー
6.FAKE in PHANTOM
7.Hello music
8.チョコレートキャンディパンチ
9.AWAKING BEAT
10.アカツキ
11.ハナムコペンギン
12.ハイ逮捕
13.ちょうだい!君の心臓
14.監獄☆BEAT
15.GOLD
16.PENGUIN DIVE

en1.我武者ライジング
en2.君はヴィーナス
en3.ハイカラ
en4.誰かのヒーロー

3rd album『FUNNY∞CIRCUS』

2024年3月13日(水)2type Release

<BabyKingdom spring oneman tour『INFINITY of CLOWN』>

2024 年
3月16日(土)OSAKA MUSE
3月20日(水・祝)SHIZUOKA Sunash
3月23日(土)柏 PALOOZA
3月24日(日)mito LIGHT HOUSE
3月30日(土)仙台 MACANA
4月6日(土)広島 SECOND CRUTCH 4 月 7 日(日)高松 DIME
4月13日(土)岐阜 Club Roots
4月14日(日)KYOTO MUSE
4月20日(土)札幌 Crazy Monkey
4月21日(日) 札幌 Crazy Monkey
4月28日(日)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3 5 月 4 日(土)新横浜 NEW SIDE BEACH!!
5月6日(月祝)新潟 GOLDENPIGS BLACK STAGE
5月11日(土)HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
5月15日(水)INSA Fukuoka
5月19日(日)神戸 VARIT.
5月25日(土)名古屋 Electric Lady Land

TOUR FINAL
6月4日(火)新宿 BLAZE

チケット情報(※ファイナル公演を除く)
【前売 / 当日】¥5,500/¥6,000(税込)※Drink 代別
【e+プレオーダー】2024年1月22日(月)12:00〜2024年1月29日(月)23:59
【一般発売】 2024年2月12日(月)12:00~
※ファイナル公演のチケット情報は後日解禁

<もにょバースデーONEMAN LIVE 『もにょとチートデイ 2024』>

【日程】2024年5月23日(木)
【会場】OSAKA MUSE
【開場 / 開演】17:30 / 18:00
【前売 / 当日】¥5,500/¥6,000(税込)※Drink 代別
【e+プレオーダー】 2024年2月13日(火)12:00〜2024年2月20日(火)23:59
【一般発売】2024年3月16日(土)12:00~

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス