【対談】逹瑯(MUCC) × KIRITO、シンガー同士のただならぬシンパシー「激動する時代の中で、長年立ち続けていることには理由がある」

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MUCCの逹瑯とKIRITO。ヴォーカリストであり、ソングライターであり、圧倒的な扇動力に裏打ちされた極上の存在感とユーモアセンスを併せ持つ、V系シーンを代表するフロントマンだ。両者は近年、ツーマン企画<Allen birthday presents KIRITO vs MUCC>やそれに伴う動画対談などで、親交の深めていたことは周知の通り。しかし今回、「シンガーとしてガッツリと深い話をしたことがなかったので、この対談でしてみたい」という逹瑯からのリクエストで、ここに逹瑯とKIRITOのシンガー対談が実現した。

◆逹瑯(MUCC) × KIRITO 画像

結成25周年を迎えたMUCCは、2022年夏開催の<「新世界」〜Beginning of the 25th Anniversary〜>を起点として、過去アルバム8作品の当時の世界観を踏襲しながら現在にステージを再構築しつつ、新曲リリースも行うツアー<Timeless>シリーズを同年10月より開催。12月28日に開催される東京国際フォーラム公演は、<Timeless>シリーズの最終公演であり、25周年イヤーのグランドファイナルとなる。加えて、同日には<Timeless>シリーズの会場限定シングル6曲に<Timeless>シリーズ全4本から当時の楽曲4曲を再録したアルバム『Timeless』をリリースする。

一方のKIRITOは、2022年1⽉の代々⽊第⼆体育館2dayをもってAngeloの活動を無期限休⽌。その3日後にはKIRITO名義によるソロ本格始動を宣言し、2023年11月15日にソロ通算4作目にしてKIRITO名義によるソロ本格始動から2作目となるアルバム『ALPHA』をリリースした。現在、同アルバムを掲げてツアー<KIRITO Tour 2023-2024「ALPHA-CODE」>を開催中だ。その初日の狂乱の模様は先ごろレポートしたとおりだが、いよいよ2024年1月6日および7日のSpotify O-EASTにてファイナルを迎える。

「PIERROTの止まり方って突然だった」をはじめとするストレートでキレ味鋭いトークは、逹瑯とKIRITOならではのもの。シンガーとしての立脚点の違いや共通項が浮き彫りとなった15000字のロングでディープなトークセッションをお届けしたい。長きにわたってシーンの第一線を駆け抜けてきた両者だが、アーティストとして決して足を止めることがなかった、その理由も明らかとなる。




   ◆   ◆   ◆

■逹瑯ってふざけてそうで真面目なんだな
■と思わされることが多い──KIRITO


──逹瑯さんがKIRITOさんと話したいということで、今回の対談が実現したわけですが、以前から仲がいいじゃないですか?

KIRITO:すごく仲いいですよ(笑)。

逹瑯:仲良くしてほしい感じですよね、僕は。

KIRITO:仲がいいつもりですよ、僕は。何回もチ●チンを見せてもらっているぐらいだから(笑)。

逹瑯:はい。ありがとうございます(笑)。

──(笑)。20年前の話になるんですが、お二人のバンド同士が初めて対バンしたのは、2003年8月7日に日本武道館で行なわれたイベント<Kingdom Rock Show>だったと思います。そのときに出演したのが、PIERROT、MUCC、Janne Da Arc、Plastic Treeでした。当時、どんな話をしたか覚えていますか?

逹瑯:そのときは、ちゃんとお話はさせてもらってないと思います。最後の全体の「お疲れさまでした」みたいな会のときに、本当に挨拶だけ。楽屋で、とにかくPIERROTのメンバーが怖かったんで(笑)。

KIRITO:いやいや、そんなことないと思いますけど(笑)。


▲逹瑯 (MUCC)

──PIERROTは当時、そんなに怖いオーラを出していましたっけ?

KIRITO:怖くはなかったですよね? むしろ平和でしたよね?

──平和だったかは分からないですけど。

KIRITO:うん、殺伐とした…という時代だったじゃないですか。PIERROTに限らず、いろんなバンドも(笑)。

逹瑯:そうでしたね、シーン全体的に。あの日、MUCCはトップバッターだったんですけど、Janne Da ArcとPlastic Treeがいるってことで、相当、戦闘モードだったと思うんですよ、皆さん。KIRITO(当時キリト)さんは特に戦闘モードで、バチバチだったと思う。ライヴ直後も、やっぱりピーンと空気が張り詰めている感じしました。

──KIRITOさんは、いわゆる対バンのとき、火花バチバチな感じを自ら望んでいたところもありますからね。

KIRITO:そうですね。それに、今みたいに対バンで仲良くセッションしてとか、そういうのとは違う時代でしたから。対バン相手を喰ってやる、みたいな。

──そんなバチバチの時代から、お二人がここまで急接近するまでにどんな出来事が?

逹瑯:それはすごく近年になってからですよ。俺、ちゃんとKIRITOさんとお話させてもらったのは、MERRYのガラがきっかけで。「ライヴ(<-Angelo Presents-「THE INTERSECTION OF DOGMA」>2012年8月17日@東京・SHIBUYA-AX)後の打ち上げでKIRITOさんと飲んでる」ってことで、混ぜてもらったのが初めてだったと思います。そのときガラに呼ばれたからじゃなくて、「行かせてくれ」って、俺は自分でお願いして行ったと思うんです。「KIRITOさんと飲んでみたい」って自分から突撃したと思います。

──話したいことが山盛りだったんですか?

逹瑯:バンドを始めたばかりの頃、いろんな雑誌で表紙とかやっているPIERROTのことは、うちのメンバーみんな大好きだったんで。どんな話をしたいとか、どんな感じで行ったとかじゃなく、ただただPIERROTのKIRITOさんに会いたいと思って、飲んでいる場に行った気がしますね(笑)。



──それ以降、急激に仲良くなって?

逹瑯:いや、そういう交流の場が数年おきにあって、なんとなく俺のことを認識してくれているなって感じになっていったんです。その後、Angelo主催イベント(<-Angelo Presents-「THE INTERSECTION OF DOGMA」>2013年8月16日@東京・SHIBUYA-AX)で、ガッツリと対バンさせてもらって、そこから距離がグッと近くなったような気がしています。

──ハードルが高すぎる存在なんですか、KIRITOさんは。

逹瑯:というよりも、先輩と連絡先を交換させてもらっても、「遊びに行きましょう」って後輩から言いにくくないですか? 俺、気軽に誘える先輩って、Plastic Treeの竜太朗さんぐらい。KIRITOさんに「遊びましょう」って言うのは、ちょっと無理です(笑)。遊びたいんですけど(笑)。

KIRITO:言ってくれれば、いつでも。

──ものすごいバイクで駆けつけてくれそう。

KIRITO:いや、飲みに行くならバイクで行かないでしょ(笑)。それに今、バイクに乗ってないんですよ、俺。ちょっとケガしちゃったんで、やめようと。

逹瑯:えっ、完全にやめちゃったんですか? 乗りたくならないですか?

KIRITO:一回大ケガして、仕事にも支障をきたしたんで。自分の趣味でそういうことになるのはマズイと思って、レーシングバイクはやめましたね。

逹瑯:じゃ、新しい趣味を見つけなきゃですね〜。

KIRITO:本当にそういう時期。なんかないかなと思ってます。

逹瑯:どうですかキャンプは? 今、キャンプにハマり中なんです、俺。

KIRITO:いいですね、キャンプ。うちのサポートメンバーの海(G / vistlip)が、すごくキャンプ好きみたいで、情報はいろいろ聞くんです。

逹瑯:この間も海と一緒に行きました(笑)。海とAllen (サポートドラム / KIRITO, MUCC)も一緒にキャンプに。

KIRITO:そうなんだ!? 行きたい、一緒に。

逹瑯:せっかく大きいクルマに乗り換えたじゃないですか、KIRITOさんは。バッチリですよ。

KIRITO:あのSUVを1回も有効活用してないからね、今まで。たしかにアウトドアもいいですね。



▲<Allen birthday presents KIRITO vs MUCC>2023年9月4日@東京・Zepp DiverCity

──共通の趣味で、今後の距離もさらに近くなりそうですね。

逹瑯:そうですね。この間もAllenのバースディ企画(<Allen birthday presents KIRITO vs MUCC>2023年9月4日@東京・Zepp DiverCity)でKIRITOさんと対バンさせていただいたり、YouTube企画でお話したり、近年、いろんな接点も感じるんですよ。でも、まだガッツリと深い話をしたことなかったので、この対談でしてみたいなと思ったんです、今回。

──シンガー同士の深い話ということですね。

逹瑯:飲みに行ったりしても、シンガー同士って実は、あんまり歌の話はしないですよね?

KIRITO:しない。僕は特にしないから。

逹瑯:歌がどうのこうのって話しているヴォーカリストは周りには多いんですけど、俺も全然しないんで。ギタリスト同士だと楽器や音作りの話で盛り上がると思うんですけど、それとは違って歌は、出ない音は出ないから(笑)。かといって、“ノドをどんなケアしてますか?”って話を肴に飲みながらってのも気持ち悪いし(笑)。

KIRITO:飲みの場に逹瑯がいる、というシチュエーションは僕にとって当たり前な感じになっているんだけどね。飲みの場で僕はバカな話しかしないけど、ふと見ると、逹瑯を中心にミュージシャンが何人か集まっていて、逹瑯がけっこう真面目な話をしていることが多いなと。“人生とは?”とか“音楽とは?”とか。

逹瑯:そんな話してました? ウソだぁ〜(笑)!?

KIRITO:いや、逹瑯はけっこう真面目な話してるよ、酒を飲むと。そうすると僕はちょっと距離を置いて(笑)。逹瑯って、ふざけてそうですごく真面目なんだなと思わされることが多い。同時に、僕は年上なのに、いかに自分がバカみたいに生きているのかってことを思い知らされる(笑)。そういうことが多いですね。

逹瑯:そんな真面目な話をした記憶もないので、それは稀かも(笑)。ただ、後輩からなにか相談されることがあれば答えたり、直近のライヴや作品に関する話が後輩からあれば、話したりって感じですね。

KIRITO:僕はそれすらしないですから。なにを聞かれたって、はぐらかすんで(笑)。

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