【ライブレポート】デラックス×デラックス、「ありがとうー」が飛び交う百花繚乱大団円

演奏メンバー4名の総体重が540kgを超えるラージサイズバンド・デラックス×デラックスが、ワンマンライブツアー＜廻れ!! 百花繚乱ツアー ファイナル＞を完走した。

これは2023年3月から10月にかけて行われた全国ツアー＜廻れ!! 百花繚乱ツアー＞の追加公演にあたるもので、沖縄・ミュージックタウン音市場、大阪・梅田CLUB QUATTRO、東京・渋谷CLUB QUATTRO、愛知・名古屋CLUB QUATTROの全国4カ所で開催。この記事ではセミファイナルとして行われた東京公演の模様をお伝えする。


定刻を迎え客電が落とされると、きらびやかなミラーボールの回転とともにユーロビートテイストのダンサブルなオープニングSE「NOROSHI」が場内に響きわたる。フロアを埋め尽くしたカロリー（デラックス×デラックスファンの呼称）たちは待ってましたとばかりに一斉に盛大な手拍子を開始し、そこへひとりずつメンバーがステージに姿を現して所定の位置へスタンバイ。最後にアサガオ（Vo）がゆっくりとセンターポジションに君臨すると、場内はひときわ大きな歓声に包まれる。そして「お待んたせいたしました」の掛け声を契機にサクラ（Dr）が華麗なフィルインを打ち鳴らし、1980年代ジャパニーズディスコ歌謡を代表する1曲「フライディ・チャイナタウン」のカバーで華々しくライブの幕は切って落とされた。


サクラとスズラン（B）の生み出す堅実なビートに、スイレン（G）の奏でるウォームなオーバードライブサウンドが重なり、マニピュレーターを務めるコク（SP）が多彩な装飾音で彩りを添えていく。その堅牢なアンサンブルを土台にアサガオが伸びやかなヴォーカルを自由自在に響かせれば、シダ（SP）とラシ（SP）の2人がその両サイドでストイックなダンスパフォーマンスを展開。ほかではそうそう見ることのできないユニークなステージングによって、開始数秒で早くも会場全体をデラデラ色に塗り替えてみせた。






その後も「嘘とアイスコーヒー」や「抱かれてたいのよ」といったオリジナル曲群と「かもめが翔んだ日」や「古い日記」といったカバー曲群をバランスよく織り交ぜながら、小気味よくカロリーたちを踊り狂わせていくデラデラ。「イケズなやつさ」では1990年代トレンディドラマのテイストを誇張気味に取り入れたショートドラマ映像を挟み込むなど、妙に力の入った小ネタを手間暇惜しまず忍ばせる遊び心も忘れない。さらにその映像内で流れるテーマ曲が「イケズなやつさ」を限りなく「ラブ・ストーリーは突然に」に寄せたハイクオリティなリアレンジにしている芸の細かさも特筆すべきポイントだ。そのようにさまざまな趣向を凝らして盛り上げたあとには、スイレンがES-335をストラトキャスターに持ち替えて「真夜中のドア～stay with me」などのメロウな楽曲を連発する“じっくり聴かせる”ゾーンも設けられた。


MCでは今年1年の活動を振り返りつつ、全国ツアーでつかんだ手応えなども口にしたアサガオ。さらに将来的な展望としては「ライブ会場が数万人規模になっても皆さんから見えるように、もっと食べて大きくなろうと思ってます。ステージ上を満ち満ちにしたい」との野望を不敵な笑みで語り、「あんまりいないよね。フロアじゃなくてステージ側を満ち満ちにしてやろうっていうバンド」と笑わせる。そのうえで「もちろんフロアも満ち満ちにするよ？」と補足してオーディエンスの喝采を巻き起こすと、『NHK紅白歌合戦』や日本武道館、両国国技館など具体名を挙げて「いろいろ埋めていきたいなと思っておりますので、これからもデラックス×デラックスをよろしくお願いします」と高らかに言い放った。


ライブ終盤は最新曲「ブラックキャット・スウィング」や人気カバー曲「ダンシング・ヒーロー（Eat You Up）」など、デラデラの真骨頂とも言えるアッパーなディスコ歌謡ナンバーをこれでもかと畳みかけていく。そしてカロリーたちがタオルを高速回転させるラストナンバー「恋してよDISCO」で会場のボルテージを最高潮にまで引き上げ、7人は満足そうな表情を浮かべ、颯爽とステージ袖へ消えていった。

アンコールを要求する「マ～シマシ！」コールに応えて再登場したデラデラは、本編の勢いそのままにスカパンク風味のビートロック歌謡「アゲハのテーマ」をお見舞いする。続いて、タイトル“セクシー★ダイナマイト”懇切丁寧なコール＆レスポンス指導を経て、本ツアーで初披露となった新曲「セクシー★ダイナマイト」を妖艶にパフォーマンス。とどめに問答無用のデラデラ流ライブアンセム「一夜一夜に人見頃」を叩きつけ、この日のステージは大団円を迎えた…はずだった。




場内にクロージングSEが流れ、最後の挨拶を終えたメンバーたちがステージを退いたあとも、なぜかアサガオだけはなかなか袖へ引っ込もうとしない。そしておもむろにマイクを握り直すと「ごめん、あと1曲やっていい？」と唐突に言い放ってカロリーたちの驚喜の絶叫を呼び込んだ。「大事な曲を1曲やってないからさあ…」とその場でステージスタッフやマネージャーらに確認を取り、すっかり全部終わったつもりで楽屋へ戻っていたメンバーをステージに呼び戻す。2023年2月にメンバーそろって地元・沖縄からの上京を果たした彼らだけに、新たなホームタウンたる東京の地で「私たちの最初の曲」をやっておきたい気持ちになったのだという。


サクラによる「さっき大団円で終えたばかりじゃん、恥ずかしいよ（笑）」とのぼやきも交えつつ、7人は予定曲目になかった四つ打ちギターロック歌謡「飼いならされたいの」を晴れ晴れしくプレイ。まさかの展開にフロアは狂喜乱舞し、演奏が終わっても至るところから「ありがとうー」の声が飛び交い続けていた。



文◎ナカニシキュウ

なお、この公演の最後のMCでは2024年のライブツアーとなる＜瞬け★デラックス×プラネットツアー＞の開催が発表された。



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