【インタビュー】加藤和樹、推し活最高!インパクト大の新曲「マシマシLove Call」完成

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■歌い継ぐっていうことをやっていきたい

──6月には<Kazuki Kato Concert Tour 2024 〜Respection〜>も開催されますが、こちらはRespection(カバー曲)をお届けするツアーになるのですね。

加藤和樹:自分の音楽を残すっていうことももちろん大事ですが、例えばミュージカルや歌舞伎、落語のように、“作品”は昔から受け継がれ、語り継がれていくじゃないですか。今舞台『西遊記』で歌舞伎の片岡愛之助さんと共演していますが、新作をやりつつ古典の歌舞伎も受け継いでいく──そうやって次の世代、次の世代って続いていってるわけで。最近いろんな場所でカバー曲を歌わせていただく中で、音楽もそうあってもいいんじゃないかなって思ったんですよ。もちろん名曲は名曲としてずっと残り続けるけど、それを新たに受け継いでいく、歌い繋いでいくっていう、そういうことをやっていきたいなってすごく感じるようになったんです。

──そういうお気持ちでカバー曲に向き合ってこられたんですね。

加藤和樹:みなさんの思い出だったり、当時の状況や景色、そういう思いもひっくるめて歌い繋いでいきたいっていう気持ちが芽生えてきたんですよね。僕もそうですけど、「なんでこの曲知ってるの!?」っていう若い子とか結構いるじゃないですか。親が好きで聴いてたからとか、そうやって自然に受け継がれてたりするんですよね。だからこそ、自分は歌い手として歌い継ぐっていうことをやっていきたいなって気持ちになってるんです。

──これだけ舞台やミュージカルを経験してきた加藤さんがおっしゃると、納得です。

加藤和樹:もちろん現代音楽もかっこよくてセンセーショナルで好きだけど、僕が目指すのは、誰もが口ずさめて、カラオケで歌えて、マイクの取り合いになる。聴くとジーンとくるというか、哀愁や懐かしさを感じるような歌詞の解釈を自分の声に乗せて、またちょっと違う角度から届けられたら……ってところなんです。僕もいろんな人のいろんなカバー曲を聴くし、例えばミュージカルでもいろんな役者さんが歌ってる楽曲を聴くわけですよ。同じ曲でも歌う人によって見える景色や感じ方が変わる。それってやっぱり面白いなと思うんですよね。

──同感です。

加藤和樹:去年、山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」をカバーして配信リリースさせていただいたんですが、山崎さんのファンの方が「今までこの曲のカバーを色々聴いたけど、加藤さんのカバーだけはスッと聴けました」ってコメントをくださって。すごく嬉しかったんですよ。カバーは絶対にNoだって言う人もいる中で、原曲ファンの方に「いいね」って言われることは何よりも嬉しいし、自分のアプローチの仕方や解釈は間違ってなかったんだなっていう自信にもなりましたしね。



──それこそ舞台やミュージカルもそうですが、加藤さんは原作や原曲と向き合って、じゃあ自分はどういう表現をするのかということを常に考えてこられてますからね。今のお話もすごく納得のエピソードです。

加藤和樹:一番大事なのはその曲の歌詞であり世界観だと思ってるので、音源としてお届けするときは、なるべくそこを崩さないようにしたいって思うんですよね。そしてフェイクとか癖みたいなところも、なるべくなくしたくないなと思っていて。それは、歌っている方の個性だから。でも意外と、自分だったらどうするかな?って考えるときも、結局はそこにたどり着くことが多いんですよね。「そうか、だからここでそうしたくなるのか」って理解できるというか。

──慣れ親しんでいる曲では特に「あれ、そこ違うな」って思うことがあります(笑)。

加藤和樹:ありますよね。だから癖とかポイントは残したいなって思うんです。そういう意味でも、やっぱりリスペクトっていうところを自分は忘れたくないなって思うんですよ。自分流にするということではなく、ベースがありながら自分のスパイスを加えるのがカバーだと思うので。

──だからカバー曲は、ピアノのフッキーさんとの一発録りが多いんですね。

加藤和樹:はい。フッキー(吹野クワガタ)とはもう10年ぐらいになるのかな。年齢も近いので遠慮せず「もっとこうしよう」とかディスカッションもできるし、彼のプレイは自分の呼吸にすごく合わせてくれるんです。レコーディングも一発録りですが、そのときに感じたその感情で吹き込むからライブと変わらないですよね。しかも、演奏がバンドなのか、オーケストラなのか、ピアノだけなのかでもアプローチの仕方が変わってくるから、同じ曲であっても表現の仕方はさまざまなんですよね。

──まさに、ライブ感ですね。

加藤和樹:フッキーとのレコーディングでも感じてますけど、やっぱりライブ=生きてるっていうのを実感できるものが、僕は一番好きですね。

──そこにお客さんの声が加わるとなると、より幸せですよね。

加藤和樹:完成するんです。そこでね。

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