【ライブレポート】手羽先センセーション、5人で立った日比谷野音「みんなのことも照らす光になりたい」

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《あの時あなただけが全てだった それなのに
全部夏に溶けちゃった ああ、まだ胸が痛くて まだ夏に会えないよ──》

真冬の日比谷野外音楽堂に「夏情気性」が響き渡る。それは季節外れではない。真冬であろうとも自分たちがステージに立てば、あたかも真夏であるかのような熱い場所にできる、そんな自信に満ち溢れたものだった。5人の力強い歌声と研ぎ澄まされたパフォーマンスで、野音を熱気で包み込んだのだ。

◆ライブ写真(38枚)

2024年1月27日、<手羽先センセーション7thワンマンライブ『スポットライト』>。2023年に行われた<手羽セン全国ツアー2023『行く先、手羽先』>のツアー初日にサプライズ発表となった本公演は、2021年より現在の5人体制となった手羽センにとって大きな意味をなすものになるだろう、そう思っていた矢先の日南遥の卒業発表だった。3月9日を以って現体制終了という、グループにとってひとつの物語の完結ともいうべき日を前に、大きな節目となるワンマンライブとなった。


5人がこのライブにかける想いは冒頭から伝わってきた。軽快なSEに合わせて颯爽と登場した5人。青のチェックを基調とした清閑な印象を受ける新衣装を纏い、ステージ中央に陣取る。しかしながらオーディエンスが見守る中、沈黙した。時間にすればほんの数秒であったと思うが、長く感じた。それは、自分たちの居場所であるステージを両足でしっかりと確認し、日比谷野音という大舞台と多くのオーディエンスに挑むための一呼吸、そう見えた。


「熱くなっていくぞ、行けるかぁー!」

突如、カワイレナの雄叫びによって堰が切られたようにライブは始まった。あたりも暗くなり始めた夕暮れ16時半過ぎ、吹き荒ぶ冷たい風もどこ吹く風、熱いエネルギーがステージから発せられる。6本の吹き出し花火とともに「夏情気性」の強いメロディがどこまでも突き抜けていく。三好佑季の絞り出すシャウトのような歌声に思わず歓声が上がった。


「みなさん、ぶち上がる準備できてますかぁー!? ここからは生バンドと一緒にお届けします!」

ノリの良いビートに合わせて、お馴染みの手羽センバンドがステージが登場。ダンサンブルなリズムに那須川(Dr)がキックを重ね、カドタリョウヤ(B)のスラップが炸裂する。451(G)の分厚いディストーションギターが壁を作って、エレクトロニックなナンバー「ウノウクノウカノウサノウ」の生バンドアレンジが攻め立てる。コミカルにキャッチーに歌い踊る5人を讃えるように、客席からの5色のペンライトが野音を彩った。


そのまま硬派なロックチューン「ノンフィクション」、コミカルながらもアッパーな「NARUNAI」とノリのいいナンバーを矢継ぎ早に投下。「朝焼けのButterfly」の泣きメロをエモーショナルになぞっていき、「さぁ、もっともっと手羽センと一緒に踊って楽しんでいきましょう!」と、佐山すずかの高らかな導きによって「ドラマチックメモリー」へと流れていく。5人は手を取り合い、ともにジャンプして、その深い関係性を見せつけるよう華麗に舞う。そして手羽センバンドのメンバーを1人ずつ、ソロ回しとともに紹介。アイドルらしい可憐さと、鋭利なバンドとの阿吽の呼吸のコントラストで魅了する。FLOW(作詞:KOHSHI、作曲:TAKE)から楽曲提供を受けた「言霊バイブレーション」まで、スタートから7曲ぶっ続け、アッパーなロック魂フルスロットルで攻めた。


1人ずつの自己紹介のあと、「真夏のワンマンは毎年開催させていただいているんですけど、真冬のワンマンは初めて」という日南の言葉から、「寒いけど、燃え尽きてやろうという気持ちです。みんなも同じだよね?」とカワイの問いかけに会場は大きく沸いた。「(寒くて)みんな顔色悪いけど、終わるころには血色良くなってるでしょう」と、佐山が笑いを誘う。「真冬のワンマンライブですが、季節なんて関係ないよね? 今ここが最高で最強の場所ですよねー? もっともっと声出していけますかぁー?」と茉城奈那の言葉から始まったのは「満開サクライロ」。とっぷり日も暮れた真冬の野音を桜色の照明が照らし、5人のたおやかな歌声とともに会場一面、春爛漫に染めあげられる。

手羽センバンドが捌け、5人だけのアイドルパワーがはじけた本ブロック。「虹色のキャンパス」では七色に輝く照明とともに煌びやかな多幸感で会場を包み込み、「プレシャスデイズ」「モブ」「未完成日記」と、キュートさとメランコリックな表情が交互に見え隠れするポップチューンを連投していった。


「1月23日で(現体制)3周年を迎えました。私たちにとってみなさんがかけがえのないものになっているように、みなさんにとっても私たち5人の存在がかけがえのないものになっていたら、すごく嬉しいなって思います」

佐山がそう語ると、現体制最後の新曲を披露。「スポットライト」と名付けられた新曲は、アイドルとしての苦悩と葛藤から得たもの、これまで5人で駆け抜けた軌跡と絆、そして強さを誇る、これまでの5人の集大成ともいうべき楽曲だった。


そこで歌われた《眩しすぎる一筋の光》は、自信もなく何度も見失いかけたときに照らされた「あなたの光は」へと繋がり、さらにその光は「スターダストエンパシー」に昇華されていく。《誰かの夢破れて 誰かの夢叶って》と、凛としたカワイの落ちサビから、寄り添うように5人が紡ぐ大サビへ。この5人が描く未来が大きな眩い光となって夜空に解き放たれた。それはこれまで5人が進んできた道を表しているかのようであった。

そのまま、本編ラストの「僕らの未来」へ。この先、この5人が一緒にいる時間は限られているが、離れていても未来は続いていくのだ。それをしっかりと証明しながら、5人はステージを降りた。


アンコールは再び手羽センバンドとのステージを展開。三好のアカペラで始まった「僕と君とポラリス」。雄渾な三好と勇猛な佐山のボーカルがせめぎ合い、会場一体となるサビの振りが心地よい「I'm Believer」へと、寒空を忘れさせるよう、まだまだ熱気は上がっていく。後ろ姿を見せず明日の話をしようと歌う「あしたのはなし」をアッパーにキメると、1人ずつ今の気持ちを述べる。

「寒い中、手羽センのために集まっていただいて、愛されてるなと感じました」と日南。「この先も手羽センのことを愛していただけたら嬉しいです。私が関われるのはあと少しなんですけど、手羽センのために精一杯駆け抜けていきますし、私のことを好きでいてくれているみなさんに、目一杯笑顔で幸せになってもらえたら」と続けた。5人最後のワンマンで憧れだった野音に立てたことが嬉しいと語るカワイは「連れてきてくれてありがとう」と、客席に向かってあらためて礼をする。「みんなから見て、私たちは今日輝いて見えたでしょうか? 眩しい?」と問いかけると、オーディエンスは大きな歓声と拍手で応えた。そしてこの3年間、迷ったこともあったが、みんなという1人ひとりの光が私たちを照らし導いてくれたからこそ、このステージに立てていると感謝。「みんなからたくさん光をいただいているぶん、みんなのことも照らす光になりたいと思います」と強く宣言した。



「この5人最後のワンマンライブということで、昨日は6時間しか寝れませんでしたぁ。私より寝れてない人この中にいる? こんなにいるの!? みんな緊張してたんだね!」と無邪気に問いかけた茉城は、「今日の5人をしかと目に焼き付けてほしい」と、“気温が6度くらい上がるMC(by 佐山)”で会場を和ませる。「この5人でたくさんライブをさせていただいたんですけど、こんなに終わってほしくないワンマンは初めて」だという三好は、「自分たちもみなさんも後悔のないライブを作っていきたい」と語った。

佐山は、昨年10月に本公演の発表があってからの熱量をここまで持って来られるのか本当に心配だったが、「このステージに立った瞬間にみんなの熱気とパワーがすごくて、負けてられないとパフォーマンスさせていただきました」と満足げに口にする。日比谷小音楽堂でライブをしていたころより意識していた大音楽堂にこの5人で立てたことが嬉しい、この5人だから見ることができた景色が今日であると話す。さらに「手羽先センセーションはみなさんの心を揺さぶることができるのが強み」だと口にし、「みなさんにとって私たちが嘘じゃない、本当の存在だったということをパフォーマンスで証明できていたら本望です」と締めると、「本当に最後の最後のラストスパート」だと、声を上げた。




そして「スポットライト」をバンドセットアレンジで再び披露。先ほどよりも、強く、逞しく、5人のアイドルとしての生き様を表した歌詞を噛み締めるように歌う。レーザーによってステージ上部に映し出された歌詞が聴く者の心に刻まれていく。

《眩しすぎる一筋の光 作られた嘘だらけのこの場所で
いつも横目で見てた 君の声が聞こえた その日から前を向けたよ》

日南がその締めの節を歌うと、5人がお互いの存在を確かめるように見つめ合い、手を取り合っていく。そして最後はその手を高く翳しながら合わせていった。アイドルを応援するということは彼女たちが放つ輝きを見届けることなのかもしれない。今、ステージの5人は紛れもなく最高の輝きを放っている。



最後に贈られた「ハロー、ブランニューミー」。《この瞬間に目の前にいるあなたをただ笑顔にしたい》と、野音いっぱいのオーディエンスを笑顔にした。

ここまで止まることなく5人で走り続けてきた手羽先センセーションは、大きな覚悟を決めた。日南遥の卒業公演であり、現体制ラストとなる公演、3月9日まで今まで見たことのない最高の輝きを魅せ続けてくれるんだ、それを確信したワンマンライブだった。

取材・文◎冬将軍
写真◎ミヤタショウタ、ポテヤマムラ

セットリスト

1.夏情気性
2.ウノウクノウカノウサノウ
3.ノンフィクション
4.NARUNAI
5.朝焼けのButterfly
6.ドラマチックメモリー
7.言霊バイブレーション
8.満開サクライロ
9.虹色のキャンパス
10.プレシャスデイズ
11.モブ
12.未完成日記
13.スポットライト
14.あなたの光は
15.スターバーストエンパシー
16.僕らの未来へ

en1.僕と君とポラリス
en2.I'm Believer
en3.あしたのはなし
en4.スポットライト
en5.ハロー、ブランニューミー

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