『関ジャム』でも話題。2020年代J-POPのマスターピースになり得るアーティスト、TOMOO

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1月14日・21日に放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)にて、「プロが選ぶ2023年のマイベスト10曲」が発表された。3人の選者が、前年にリリースされた曲の中から独自の目線でランキングを作成する年始の恒例企画。今年はいしわたり淳治、蔦谷好位置、川谷絵音が自身の選んだ曲を紹介するとともに、音楽談義を繰り広げた。

プロの目線からヒット曲が分析されたり、注目のニューカマーが紹介されたりするため、例年注目を集めているこの企画では、2名以上の選者が同じアーティストを選ぶ“被り”が発生することがある。2019年はOfficial髭男dism、長谷川白紙。2020年は藤井風。2021年はVaundy、宇多田ヒカル、STUTS & 松たか子 with 3exes。2022年は水曜日のカンパネラ。そして2023年は、TOMOOの楽曲を2名の選者が選んだ。

TOMOOは、ポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsに所属している女性シンガーソングライター。6歳でピアノを始めると、父親の影響でコード弾きを始め、聴いたことがない楽曲の歌詞に自分でメロディをつけて歌っていたことをきっかけに作曲を始めた。オリジナル曲の制作を始めたのは、中学生になってから。高校時代に、YAMAHAが主催する国内最大規模のアマチュア音楽コンテスト「The 6th Music Revolution」のジャパンファイナルに進出。その後本格的に音楽活動をスタートさせた。

同業のミュージシャンや著名人がTOMOOの楽曲の魅力を世に発信し始めたのは、メジャーデビュー前の2021年ごろ。Official髭男dismの藤原聡、YOASOBIのikura、Vaundy、マカロニえんぴつのはっとりは、2021年8月リリースの「Ginger」を、三浦大知は2021年12月リリースの「スーパースター」を、自身のレギュラー番組やSNSで紹介した。聴く人を落ち着いた気持ちにさせてくれる歌声、メロディメーカーとしての腕前、歌詞の世界観、新旧J-POPへのリスペクトを感じさせるサウンド……と様々な角度から賞賛されたが、それはつまり、ある一面だけではなく、あらゆる要素が複合して生まれたTOMOOの音楽そのものが高く評価されていたことを意味する。



2022年8月のメジャーデビュー以降は配信シングルでのリリースが続いたが、2023年9月には、待望のフルアルバム『TWO MOON』がリリースされた。「Ginger」をはじめとしたインディーズ時代の楽曲から最新の楽曲まで、計13曲を収録した、キャリア初のフルアルバム。曲のテーマや制作時期はバラバラだが、二者択一では割り切れない真実を見ようとする心持ちがどの曲にも含まれていること、そして、自由に動き回る“丸”という形状に強さと可能性を見出したことから『TWO MOON』と名付けたという(※1)。今回『関ジャム』の企画で選ばれた2曲は、いずれも『TWO MOON』収録曲。2名の選者がそれぞれ違う曲を選んでいることが、全曲粒揃いのアルバムだということの証左だろう。

TOMOOのことを「ユーミンさん(松任谷由実)と中島みゆきさんの両方の才能を持ってる」と絶賛していた蔦谷は、「Grapefruit Moon」を自身のランキングの2位に選んだ。川谷も「これ、いい曲ですよね」と共感していた同曲を、蔦谷は「瞬間を切り取るだけではなく、時間の経過も感じさせる作詞作曲能力、歌唱表現に言葉を失うほど感動した1曲」と紹介。「少女でも大人でもない年齢に差し掛かった女性が、精神や肉体の変化と向き合っている曲」と解釈した上で、甘酸っぱさも苦さもある果物・グレープフルーツは楽曲のモチーフとしてあまりにも的確だと感嘆するとともに、歌詞にある〈夕方〉と〈昼間〉の対比は、現在と少女時代のメタファーなのではと指摘。また、サビに差し掛かる際のコード進行や、B♭→E♭という♭+1の転調でも、時間の経過やさりげない変化が表現されているとし、「天才ですよね、この人」と唸った。



さらに蔦谷は、歌詞の注目ポイントとして〈もう苦いのも食べられると 気がついた頃に思う それはさ、豊かさ?鈍さか? なんてね〉というフレーズをピックアップ。「小さい頃は苦手だった食べものを、気づいたら食べられるようになっていた」という経験は多くの人に馴染みあるものだが、いくら普遍的な現象とはいえ、味覚にまつわる体験をここまで掘り下げて描いた歌詞はあまり見たことがない。そしてこういった経験は、成長の指標として扱われがちであるため、〈それはさ、豊かさ?鈍さか?〉という問いかけと着眼にハッとさせられる。蔦谷も言っていたように、〈なんてね〉と照れが入っているのも絶妙だ。



続いて、「Super Ball」がいしわたりのマイベスト1位に選ばれた。いしわたりは、TOMOOについて「自分のオリジナルな理屈や考えを歌で伝えようとすると、説明文みたくなってしまって、聴いた時にもたついてしまう事があるのですが、彼女は、自分の思いを自然な言葉の中で、涼しげに歌として伝えられてしまう才能の持ち主という感じがします」と分析。いしわたりが、他の曲ではあまり聴いたことのない、TOMOOオリジナルのメッセージとしてピックアップしたのは、2番サビのラストと楽曲のラストに配置されている〈丸いままつらぬいて〉というフレーズだ。直前で〈“槍出せ 角出せ”はいらない〉と歌っているのも相まって、キャッチーで、リスナーに強い印象を残すフレーズと言えるだろう。

その上で、いしわたりは、1番Aメロの〈おさまりのいい 綺麗なビルじゃ/まるで馴染まない ちゃちなボールを/ポケットの中 一個隠して歩いてる〉というフレーズの秀逸さについて語る。「四角いオフィスビル⇔丸いスーパーボールという対比を一瞬で伝えて、その先の〈丸いままつらぬいて〉に繋げている」と指摘するとともに、「スーパーボールの躍動感とか、全て計算され尽くしている気がする」「これって特殊な才能、素晴らしい才能だなと思います」と感嘆したいしわたり。風景描写の中に自分の理論や心情を織り交ぜるというのは、他の曲でも見られる、TOMOOならではの手法だ。



例えば、モラトリアム期間の終わりを歌った「17」では、大人になっていく中で湧いてくる寂しさや、「寂しいけど、きっと前に進めているはずだ」という感覚を、溶けたアイスの染みや、暗闇の中で光を放ちながら佇む自動販売機に託している。「Cinderella」の〈最寄り駅に着いたら 霧雨がタクシーの列冷やしてる〉というフレーズでは、主人公の気持ちが冷めていく様子も表現されている。このことについては以前筆者がインタビューの場で指摘したが、TOMOOは、普段から、自分が無意識に考えていたことを景色の中に見出すことが多いのだという(※2)。「レコーディングスタジオにあった黒いスピーカーに、白くて丸いウーファーがついているのを見て、“あ、2つの月に見える!”と思ったことが大本のきっかけ」「そこから連想して、あとからいろいろな意味付けをした」というアルバムタイトル発想時のエピソード(※3)も象徴的だ。



TOMOOのみずみずしい感性と稀有な才能によって形作られたアルバム『TWO MOON』は、2020年代のJ-POPのマスターピースとして永く愛されることだろう。そして今後彼女がどんな作品を発表するのかも楽しみだ。

文◎蜂須賀ちなみ

※1、3 https://natalie.mu/music/pp/tomoo04
※2 https://eyescream.jp/music/130285/

New Digital Single「Present」


2024年2月14日(水)リリース
https://tomoo.lnk.to/PresentPR

<TOMOO LIVE HOUSE TOUR 2024>


2024年
6月20日(木)東京・Zepp Haneda (TOKYO) Open 18:00 / Start 19:00 
6月28日(金)大阪・Zepp Namba(OSAKA) Open: 18:00 / Start: 19:00
7月3日(水)愛知・Zepp Nagoya  Open: 18:00 / Start: 19:00

▼チケット料金
1階スタンディング 6,500円(税込)/2階指定席 7,500円(税込)

▼チケット販売
〈FC先行(抽選)〉
1月30日(火)〜2月12日(月・祝)23:59
ご入会・ログインはこちら: https://tomoo-fc.jp/

<TOMOO OFFICIAL FAN CLUB LIVE "Itʼs YOU!" vol.1>

2024年3月16日(土) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
Open 16:30 / Start 17:00

▼チケット料金
指定席 6,500円(税込)
※FC会員様限定の公演です。一般発売の予定はございません。

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